CVライン挿入中、側管から点滴を接続しようと三方活栓をオープンにしたら、ライン内に空気が吸い込まれた!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、CVライン挿入中、側管から点滴を接続しようと三方活栓をオープンにしたら、ライン内に空気が吸い込まれた場合について解説します。

和田 秀一

福岡徳洲会病院 看護部
集中ケア認定看護師

 

 

 

患者にCVライン挿入中、側管から点滴を接続しようと三方活栓をオープンにしたら、ライン内に空気が吸い込まれたことに焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

中心静脈カテーテルによる空気塞栓を予防する最大のポイントは、中心静脈カテーテルの処置をする際にクランプをすることです。
クランプをすれば、もし三方活栓を大気に開放しても空気が引き込まれることはありません。
また、座位で中心静脈カテーテルの処置をしないようにします。
仰臥位に比べ座位での中心静脈カテーテルの処置は上半身の静脈圧低下により空気の混入の可能性が高くなってしまいます。

 

POINT
  • 中心静脈カテーテルは高カロリー輸液や腫瘍用薬、カテコラミンの投与、血液透析など多くの目的で使用されています。
    中心静脈カテーテルの合併症はさまざまですが、中でも空気塞栓は生命を脅かす、とても重大な合併症の1つであり、注意が必要です。

 

 

起こった状況

症例

患者Aさんは、絞扼性腸閉塞で入院し緊急で手術をされました。

全身状態は改善傾向ですが、腸管安静のため絶食となり、中心静脈カテーテルから高カロリー輸液を投与中です。

 

Aさんは離床のため主に車椅子に乗って過ごしています。

看護師は車椅子に乗ったAさんに高カロリー輸液の側管から抗菌薬を投与しました。

 

その際、三方活栓が大気開放となりカテーテル内に空気が入っていくのが見えてしまいました。

どうしたらよいかわからず困っています。

 

 

どうしてそうなった?

安静臥位時の中心静脈圧の正常は大気圧を0とした場合5〜10cmH2O程度です。

 

上半身を起こすと、重力により血液は下方に移動するため下半身の静脈圧が上昇し、上半身の静脈圧が低下します(図1)。

 

図1仰臥位から座位への変化

仰臥位から座位への変化を表した図

 

そのため、座位のまま中心静脈カテーテルの三方活栓を大気に開放すると空気を引き込んでしまいます。

 

血管内に混入した空気は、血管の閉塞を引き起こしてしまい、空気塞栓と呼ばれる状態となります。

 

空気塞栓はで起これば脳梗塞、肺で起これば肺塞栓となり、生命が危険な状態となることがあります。

 

 

どう切り抜ける?

1 空気が入っていくのが見えたら

中心静脈カテーテルに空気が混入した場合、すぐにカテーテルをクランプしましょう。


次に、患者さんを左側臥位にして心臓へ空気を送り、心臓から肺動脈へ空気を送り込みやすくし、肺動脈から空気が吸収されるように努めます。

 

また、脳血管での空気塞栓の発生を防ぐために、患者さんの頭を低くした体勢をとってもらいます。

 

2 患者さんの意識状態、呼吸状態を観察する

中心静脈カテーテルから血管内に混入した空気は重力の影響で血管を逆流し、脳へ達することで空気塞栓による脳梗塞を引き起こす可能性があります。

 

脳梗塞を来すと意識消失、上下肢の麻痺、失語などの脳血管障害を引き起こします。

 

また、混入した空気が右房に入り、右室から肺動脈へ到達し、末梢側に空気が詰まることで肺空気塞栓となります。

肺空気塞栓を起こすとショックが起こり、低酸素血症となって呼吸状態が悪化します。

 

そのため、空気塞栓を引き起こした場合、意識状態と呼吸状態をより注意して観察する必要があります。

 

3 空気塞栓を起こさないために

中心静脈カテーテルから空気塞栓を起こさないためには、側管から点滴を投与する際は必ずクランプをする必要があります。

 

また、閉鎖式点滴ラインを使用するのも有効的となっています。

自分の施設のルールやマニュアルを徹底しましょう。

 

図2空気塞栓を起こさないために

空気塞栓を起こさないための方法を表した図

 

 

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参考文献 閉じる

1) 日本医療機能評価機構 医療事故情報収集事業 第43回報告書.(2024/3/18アクセス)

2) 徳嶺譲芳,箱根雅子,辻大介:中心静脈穿刺の空気塞栓「空気読んで!」.Lisa別冊 2021;28(2):193-197.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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