2020/05/25 のクイズ

◆看護技術の問題◆Eさんに対する食事介助法として、適切でないのはどれでしょうか？

1. 「食事に異物が入っている」という訴えに対しては、誤解を招かないよう、きっぱりと否定する。
2. できるだけ窓際や灯りの下など、明るい場所で食事を取ってもらう。また模様のないシンプルな食器を使用する。
3. 食べない理由を親身な態度で患者さん本人に聞き、その理由に応じて薬剤調整や食形態の変更などを医師に依頼する。
4. Eさんと普段接しない第三者に関わってもらう。

挑戦者8444人　正解率25%

Eさんのように、「食事に何か変なものが入っている」という「幻視」はレビー小体型認知症の主要症状の一つです。配膳される食事に対する言動も、幻視からくる妄想によって引き起こされているものだと考えられます。

1.　「食事に異物が入っている」という訴えに対しては、誤解を招かないよう、きっぱりと否定する。: 正解
レビー小体型認知症の患者さんにとって、自分が見ている幻視や誤認を否定、指摘されることは、他者に自分が理解されない不安や怒りにつながるので、このような対応は適切ではありません。食事に異物が入っているという訴えに対しては、否定せず、受容的な態度や共感的な対応を行います。
2.　できるだけ窓際や灯りの下など、明るい場所で食事を取ってもらう。また模様のないシンプルな食器を使用する。: 不正解
レビー小体型認知症の幻視や錯視は、夕方や夜に出現します。つまり、薄暗い環境が誘因となるため、部屋の明るさを十分確保するようにします。食器の模様や凸凹、クロスの模様なども、幻視や認知機能障害の誘因となるため、できるだけ避けるよう注意する必要があります。また、ご飯にふりかけなどをかけると、虫や異物と誤認することがあるので、配膳前にかけないようにします。
3.　食べない理由を親身な態度で患者さん本人に聞き、その理由に応じて薬剤調整や食形態の変更などを医師に依頼する。: 不正解
レビー小体型認知症の初期、中期においては、物忘れはありますが、記憶障害が軽度である場合が多いため、食べない理由などについて、しっかり話ができることが少なくありません。その理由を傾聴しながら、医師に薬剤調整を依頼したり、管理栄養士に食事内容や食形態を相談したりすることで、食事ができるよう援助することが必要です。
4.　Eさんと普段接しない第三者に関わってもらう。: 不正解
認知症の人は身近な介護者に強い症状を示すことが多いです。そのため、普段接していない人や医師など、社会的権威者などに関わってもらうなどの場面をつくることもしばしば有効です。

引用参考文献など

1）山田律子．公益社団法人日本看護協会編．認知症者の日常生活のアセスメントとケア．認知症ケアガイドブック．照林社，2016，130-137．
2）堀下友行．大塚恒子編．原因疾患や周辺症状（BPSD）へのケア技術．精神科ナースのための認知症看護，2015，117-127．
3）大塚恒子ほか．一般財団法人仁明会精神衛生研究所監．認知症の看護レビー小体型認知症の事例．老年精神医学高齢患者の特徴を踏まえてケースに臨む．精神看護出版，2013，184-188．
4）工藤澄子．坂田三允総編．認知症生活安定への援助．精神看護エクスペール10　高齢者の精神看護．中山書店，2005，131-132．
5）北村伸．認知症の基礎知識編．週刊朝日MOOK すべてがわかる認知症2016．朝日新聞出版，2016，90-103．