【ヘンダーソン編】アセスメントの書き方!看護実習記録を例文で解説

【ヘンダーソン編】アセスメントの書き方!看護実習記録を例文で解説

ヘンダーソンの看護理論を使ったアセスメントが書けない…」

 

実習記録で行き詰まっている看護学生さんに向けて、ヘンダーソンの看護理論を使ったアセスメントの書き方を解説します。

 

情報収集・解釈分析のコツから、すぐに使えるテンプレート、基本的ニード14項目別の記録例まで、実習記録に役立つ内容をまとめました。

 

まずは基本的ニード14項目についての解説が見たいという方は、次の記事を参考にしてみてください。

 

 

監修:長島俊輔(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師)

執筆協力:平田友希(看護師・ライター)

 

 

ヘンダーソンの看護理論を用いた情報収集【3つのポイント】

アセスメントをスムーズに進めるためには、情報収集が大切なポイントです。ヘンダーソンの看護理論に沿って、情報を集める3つのコツを見ていきましょう。

 

1注目すべき情報を整理しておこう

基本的ニード14項目で、それぞれ特にどの情報に注目して収集すべきかは、患者さんの状態によって異なります。

 

情報収集を始める前に、優先的に質問・観察すべき項目を整理しておきましょう

 

【例】脳梗塞で右片麻痺がある患者さんの場合

 

  • 「適切に飲食する」
    →食事の摂取量、自助具の使用状況
  • 「身体を動かし、よい姿勢を保つ」
    →麻痺側の可動域、移乗の自立度
  • 「身体を清潔に保つ」
    →整容・更衣の自立度

 

疾患や治療内容からあらかじめ、アセスメントの際に大切になる情報を予測しておけると、「情報不足で分析ができない…」といった壁にぶつかりにくくなります。

 

 

2心理・社会面の情報が不足しないようにしよう

基本的ニードの14項目は、呼吸や食事、排泄といった身体的な項目だけでなく、信仰や仕事、人間関係といった心理的・社会的なものまで含みます

 

後で必要な看護を考える際、もし心理的・社会的な項目の情報が不足していると、その患者の特徴に合ったケアを考えにくくなってしまいます。

 

実習では、収集がしやすい身体面の情報に偏りがちですが、ぜひ心理面・社会面の情報収集も意識してみましょう。

 

【質問例】

  • 「趣味や楽しみにしていることはありますか?」
  • 「どのようなお仕事をされていました(されています)か?」
  • 「退院後の生活で、心配なことはありますか?」

 

表情が暗い、黙ってしまうといった様子も貴重な情報です。会話の内容だけでなく、観察からも情報を集めましょう。

 

 

3患者さんの性格や習慣、希望も知ろう

ヘンダーソンは、自立への意欲を高めるためには、患者さんの習慣や希望を看護に取り入れることが効果的としています。

 

診断名や検査データ、治療方針などの「病理的状態」はカルテで確認できますが、患者さんの性格や習慣、希望などの「常在条件」は、患者さんやご家族との会話から見えてくることが多い情報です。

 

情報収集の際は、言葉だけでなく、表情や動作、沈黙にも着目して、患者さんのパーソナリティや本音を知ろうとする姿勢を大切にしてみましょう。

 

「常在条件」の情報収集

睡眠と休息をとる
<S情報>
「23時に寝ようとしたけど、2時間くらいしか寝られなかった。5時に目が覚めた」
「特に心配なことはない。動いてなくて疲れてないし、しょうがないよね」
(妻)「弱音を吐くのを嫌う人で…本当は病気に対して不安があるんだと思います」
<O情報>
・目の下にくま。
・「心配してない」と話しているが、笑顔はなく表情は固い。

 

S情報(主観的データ)とO情報(客観的データ)の関連性を意識して情報収集すると、患者さんの本当の思いを汲み取る手がかりになります。

 

ヘンダーソンの情報の解釈・分析【3ステップ】

情報が集まったら、次は文章にしていく段階です。次の順番で進めると、アセスメントが書きやすくなります。

 

1その人固有の「ニードの充足状態」を整理しよう

基本的ニードが充足している(満たされている)状態は、患者さんによって異なります。

 

まずは、対象の患者さんにとっての「ニードの充足」とは何かを整理してみましょう。


整理する際は、以下の情報と比較するのが基本です。

 

「ニードの充足状態」の整理

情報 充足した状態 現状
検査値の基準値 安静時のSpO2:96〜99% 酸素2L/分投与下で96%、労作時は88%前後まで低下
入院前の習慣 入院前は3食きちんと食べられていた 食事中の息切れにより摂取量が6〜7割にとどまっている
発達段階 72歳・老年期相応の身体機能レベル 労作時の息切れやSpO2低下により、体力の低下がある

 

このほか、患者さん自身が入院前と入院後、治療前と治療の変化をどう捉えているかにも着目すると、その人固有のニードの満たし方が解釈しやすくなります。

 

 

2充足・未充足を判断しよう

14の基本的ニードそれぞれに対して、「充足」か「未充足」かを判断します。

 

充足・未充足の判断

基本的欲求 状況 充足/未充足
正常に呼吸をする 安静時SpO2は96%(酸素投与下)で維持されているが、労作時に88%前後まで低下し息切れが出現する 未充足
睡眠と休息をとる 睡眠時間は5時間程度で、夜間の咳嗽による中途覚醒が繰り返されている 未充足
自分の信仰にしたがって礼拝する 特定の信仰はなく、入院生活において信仰に関連する制約や困りごとはない 充足
遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する 病室でのテレビ視聴(野球観戦)という楽しみが確保されており、余暇活動は一定程度維持できている 充足

 

未充足に限らず、充足していると判断する際にも、そう考える根拠を記載することが大切です。

 

 

3体力・意思力・知識の面から原因を分析しよう

未充足と判断した基本的ニードについて、「体力」「意思力」「知識」の3つの視点で原因を分析します。

 

【例】「2.適切に飲食する」が未充足の原因は?

 

  • 体力:右片麻痺で箸やスプーンをうまく持てず、食事に時間がかかる
  • 意思力:介助を嫌い、自力で食べられるようになりたいという気持ちがある
  • 知識:左手での食べ方や自助具があることを知らない

 

3つの視点で分析すると、体力と知識が欠けていることが、未充足の原因になっていると見えてきます。

 

ヘンダーソンの14項目別|実習記録の書き方と記録例

ここからは、14の基本的ニードごとに、観察ポイントと記録例を紹介します。以下の事例をもとに、S・O情報と、解釈・分析(A:アセスメント)の仕方を確認しましょう。

 

アセスメントの型(テンプレート)が見たい方は、こちらをご覧ください。

 

【患者さんの事例】

<常在条件>

年齢・性別:72歳・男性
職業:元会社員(65歳で定年退職)
性格:几帳面で真面目、人に頼ることが苦手
家族構成:妻(70歳)と二人暮らし。子ども2人は独立し、遠方に在住。
嗜好品:喫煙歴40年(20本/日)、3年前に禁煙。飲酒はほとんどなし。
趣味:ゴルフ、野球観戦
信仰:特定の信仰はなし

 

<病理的状態>

診断名:COPD(慢性閉塞性肺疾患)stage III
現病歴:労作時の息切れが増悪し、SpO2低下(88%)のため入院。在宅酸素療法(HOT)の導入目的。入院1週間経過。
ADLの状況:安静時SpO2:96%(酸素2L/分投与下)。歩行時・排泄時など労作により息切れが出現し、一部介助が必要。食欲はあるが、食事中に息切れが出て摂取量が減ることがある。夜間は咳嗽により中途覚醒することがある。
在宅酸素療法の導入に不安を感じており、「こんな機械をつけて家に帰れるのか」と話している。
治療方針:在宅酸素療法(HOT)の導入(安静時:2L/分、労作時:3L/分)。気管支拡張薬の吸入継続。去痰薬の内服。理学療法士による呼吸リハビリテーションの実施。退院に向けた患者指導。

 

1.正常に呼吸する

呼吸機能が正常に保たれているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 呼吸数・呼吸音・呼吸機能
  • 酸素飽和度(SpO2
  • 自覚症状(息切れ、咳、痰など)
  • 喫煙歴

 

正常に呼吸する

<主観的情報(S)>
「ちょっと動くだけで息が切れてしまうんです」(自覚症状・息切れ)
「夜中に咳き込んで目が覚めることがありますよ」(自覚症状・咳)
「3年前にタバコはやめましたよ。でもこんなことになってしまって」(喫煙歴)
「息を吸うのは普通にできるんですが、吐くのがうまくできない感じで」(自覚症状・呼吸困難)
「痰が絡むことも多くて、なかなか出しにくくて困っています」(自覚症状・痰)


<客観的情報(O)>

  • 安静時SpO2:96%(酸素2L/分投与下)
  • 歩行・排泄時など労作によりSpO2低下(88%前後)、息切れ出現
  • 呼吸数:20回/分(安静時)
  • 呼吸音:両肺野で雑音あり
  • 喫煙歴40年(20本/日)、3年前に禁煙
  • 黄色粘稠痰の喀出あり、排痰困難
  • 在宅酸素療法(HOT)導入予定

 

<解釈・分析(A)>
「ちょっと動くだけで息が切れてしまう」「息を吐くのがうまくできない感じ」という発言や、労作時にSpO2:88%前後まで低下すること、黄色粘稠痰の喀出や排痰困難がみられることから、正常な呼吸を維持できていない状態(未充足)と考えられる。


これは、40年間の喫煙歴があり、COPDによる気流閉塞が生じていることにより、十分な換気やガス交換が行えず、労作時に低酸素血症や排痰困難を生じていることが原因と考えられる。また、効果的な喀痰方法がまだ実践・理解できていない。


一方、3年前から禁煙を継続していることは、呼吸機能のさらなる悪化予防につながる強みである。


このまま呼吸機能の未充足な状態が持続すると、低酸素血症の進行や痰の貯留による呼吸器感染症、COPDの増悪、ADLの低下が予想される。


したがって、在宅酸素療法(HOT)の適切な使用に向けた指導や、呼吸状態の観察、排痰を促進する援助が必要である。

Point

COPDの患者さんなど、安静時と労作時でSpO2が大きく変わることもあります。安静時だけでなく、動いたときの呼吸状態もあわせて確認しましょう。

2.適切に飲食する

食事・水分を適切に摂取できているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 食事摂取量・食事形態
  • 嚥下機能
  • 栄養状態(体重・BMI・TP・Albなどの血液データ)
  • 水分摂取量
  • 食事摂取の動作やセルフケアの状況

 

適切に飲食する

<主観的情報(S)>
「食欲はあるんですけど、食べていると息が切れてきて」(食事中の症状)
「全部食べるのはしんどくて、いつも残しています」(食事摂取量)
「体重が最近減ってきている気がして」(体重変化の自覚)


<客観的情報(O)>

  • 食事摂取量:6〜7割程度
  • 食事中にSpO2低下(90%前後)、息切れ出現することがある
  • 体重:入院時より1.2kg減少
  • BMI:19.8
  • 嚥下機能に問題なし

 

<解釈・分析(A)>
「食欲はあるんですけど、食べていると息が切れてきて」「全部食べるのはしんどくて、いつも残しています」という発言や、食事摂取量が6〜7割程度であること、食事中にSpO2が90%前後まで低下し息切れが出現すること、入院時より1.2kgの体重減少がみられることから、必要な栄養を十分に摂取できていない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる労作時の呼吸困難のため、食事中に十分な食事量を摂取できず、必要な栄養を確保できていないことが原因と考えられる。

一方、食欲があり、食べたいという意欲があることは、栄養状態の改善につながる強みである。

このまま栄養状態の未充足な状態が持続すると、低栄養や体重減少が進行し、筋力や体力の低下、ADLの低下が予想される。

したがって、食事中の呼吸状態に配慮した食事方法の指導や、十分な栄養摂取を促す援助、体重や食事摂取量の継続的な観察が必要である。

Point

COPDの患者さんにとって、食事も息切れが生じやすい動作のひとつです。一度にたくさん食べるより少量を数回に分けるなど、食事方法の工夫を提案するのも看護ケアになります。

3.あらゆる排泄経路から排泄する

排便・排尿などの排泄機能が適切に保たれているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 排便・排尿の回数、性状
  • 排泄方法(自立・一部介助・全介助)
  • 尿意・便意の有無
  • 腹部症状(腹痛・腹部膨満感など)
  • 下剤などの使用状況
  • 排泄に関するセルフケア能力

 

あらゆる排泄経路から排泄する

<主観的情報(S)>
「トイレに行くだけで息が切れてしまうんですよ」(排泄方法・ADL)
「便は2日に1回くらいですかね」(排便回数)
「一人でトイレに行けないのが情けなくて」(排泄方法・ADL)


<客観的情報(O)>

  • 尿意・便意ともにあり
  • トイレ歩行時にSpO2低下(88%前後)、息切れ出現
  • 排泄動作は見守り〜一部介助
  • 排便:2日に1回、普通便

 

<解釈・分析(A)>
「トイレに行くだけで息が切れてしまう」「一人でトイレに行けないのが情けなくて」という発言や、トイレ歩行時にSpO2が88%前後まで低下し息切れが出現することから、自立して排泄を行えない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる労作時の呼吸困難により、排泄動作に必要な体力が低下していることが原因と考えられる。また、労作時の息切れを予防・軽減するための適切な呼吸法や休憩の取り方に関する理解がまだ十分でない。

一方、尿意・便意が保たれており、自分でトイレに行きたいという意欲があることは、排泄動作の自立につながる強みである。

このまま排泄の未充足な状態が持続すると、自らトイレに行けないことで自己肯定感の低下につながる可能性がある。

したがって、呼吸状態を観察しながら安全に排泄できるよう、口すぼめ呼吸や動作時の休息方法の指導、排泄環境の整備を行う援助が必要である。

Point

排泄は羞恥心を伴いやすい項目です。「できているかどうか」だけでなく、介助を受けることへの心理的な負担にも目を向けると、より個別性のあるアセスメントになります。

4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

身体を動かし、活動や移動、姿勢保持ができているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • ADL(歩行・移乗・体位変換)の自立度
  • 麻痺・骨折の有無
  • 関節可動域、筋力、MMT
  • 安静度
  • 労作時の呼吸状態
  • 活動への意欲

 

身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

<主観的情報(S)>
「少し歩くだけで息が切れて、途中で休まないといけないんです」(労作時の呼吸状態)
「入院前はゴルフで18ホール歩いていたのに、今では廊下を歩くのもやっとで」(労作時の呼吸状態)
「リハビリは頑張りたいと思っています」(活動への意欲)
「階段はもう何年も前から一段一段ゆっくりじゃないと上れなくなっていましたよ」(ADL)


<客観的情報(O)>

  • 歩行時にSpO2低下(88%前後)、息切れ出現
  • 歩行は見守りレベル、長距離歩行は困難
  • 病棟内歩行は休憩を挟みながら可能
  • 理学療法によるリハビリ実施中
  • 入院前はゴルフを月2〜3回実施していたが、現在は中断

 

<解釈・分析(A)>
「少し歩くだけで息が切れて、途中で休まないといけない」「入院前はゴルフで18ホール歩いていたのに、今では廊下を歩くのもやっとで」という発言や、歩行時にSpO2が88%前後まで低下し息切れが出現すること、長距離歩行が困難であることから、十分に身体を動かすことができていない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる呼吸機能の低下により労作時に呼吸困難や低酸素血症を生じていることに加えて、活動中の息切れを和らげる呼吸法や効果的な休憩の取り方についての理解が十分でないことが原因と考えられる。

一方、「リハビリは頑張りたい」と活動への意欲を示していることは、活動・運動能力の維持・向上につながる強みである。

このまま活動・運動の未充足な状態が持続すると、筋力や体力の低下、ADLの低下が予想される。

したがって、呼吸状態を観察しながら安全に活動できるよう、リハビリテーションの継続や呼吸法を取り入れた活動方法の指導、日常生活動作への援助が必要である。

Point

活動量の低下は筋力低下や廃用症候群につながります。「9. 環境の危険因子を避ける」の項目とあわせて、転倒リスクの評価も忘れずに行いましょう。
また、常在条件を把握しておくことで、意思力やその人固有のニードの満たし方を考えやすくなります。
今回の例では、「入院前はゴルフで18ホール歩いていた」という情報から、現在の活動制限による喪失感の大きさや、リハビリへの意欲が見えてきます。

5.睡眠と休息をとる

睡眠の質・量や、休息が十分に取れているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 睡眠時間・睡眠の質
  • 入眠困難、中途覚醒の有無
  • 日中の眠気、疲労感
  • 睡眠環境(病室の環境変化など)
  • 疼痛・掻痒感など睡眠を妨げる要素の有無
  • ストレスの状況

 

睡眠と休息をとる

<主観的情報(S)>
「夜中に咳き込んで目が覚めることがあって」(睡眠を妨げる要素・中途覚醒の有無)
「ぐっすり眠れた感じがしないんですよね」(睡眠の質)
「昼間もなんとなくだるい感じがして」(日中の疲労感)


<客観的情報(O)>

  • 夜間睡眠時間:5時間程度
  • 夜間の咳嗽による中途覚醒:2〜3回/日
  • 日中に傾眠傾向あり
  • SpO2:夜間も酸素投与継続中

 

<解釈・分析(A)>
「夜中に咳き込んで目が覚めることがあって」「ぐっすり眠れた感じがしないんですよね」「昼間もなんとなくだるい感じがして」という発言や、夜間睡眠時間が5時間程度であること、夜間の咳嗽による中途覚醒が2〜3回みられること、日中に傾眠傾向がみられることから、十分な睡眠と休息が確保できていない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる夜間の咳嗽により睡眠が中断されていることが原因と考えられる。

このまま睡眠・休息の未充足な状態が持続すると、日中の疲労感や倦怠感の増強、活動意欲の低下、リハビリテーションの進行や回復への影響が予想される。

したがって、夜間の咳嗽を軽減するための援助や睡眠環境の調整、睡眠状況や日中の活動状況を継続的に観察することが必要である。

Point

夜間の排泄による中途覚醒は、「3. あらゆる排泄経路から排泄する」の項目とも関連していることも多いです。ある項目の未充足が別の項目に影響することは少なくないため、項目同士のつながりも意識してみましょう。

6.適切な衣類を選び、着脱する

衣類を自分で選び、着脱できているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 衣類の選択・準備の状況
  • 着脱動作の自立度
  • 季節や状況に応じた衣類の調整

 

適切な衣類を選び、着脱する

<主観的情報(S)>
「服を着替えるだけで息が切れてしまって」(着脱動作の自立度)
「どんな服を着るかは自分で決めていますよ」(衣類の選択・準備の状況)
「ボタンを留めるのに時間がかかってしまうんです」(着脱動作の自立度)


<客観的情報(O)>

  • 衣類の選択は本人が行っている
  • 上衣の着脱時にSpO2低下(88%前後)、息切れあり
  • ボタンの留め外しに時間を要するが、自力で実施
  • 衣類の着脱は自分でできるが、酸素チューブの再装着は看護師が実施している

 

<解釈・分析(A)>
「服を着替えるだけで息が切れてしまって」「ボタンを留めるのに時間がかかってしまう」という発言や、上衣の着脱時にSpO2が88%前後まで低下し息切れがみられること、酸素チューブの再装着に看護師の介助を要していることから、自力で安全に更衣を行うことが困難な状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる労作時の呼吸困難を生じていることに加えて、息切れを軽減するための更衣動作の工夫や呼吸法についての理解が十分でないこと、また酸素チューブの適切な取り扱い・装着方法がまだ十分に身についていないことが原因と考えられる。

一方、衣類の選択を自分で行い、更衣動作も自力で実施しようとしていることは、更衣動作の自立につながる強みである。

このまま更衣の未充足な状態が持続すると、更衣時の低酸素血症や疲労の増強、ADLの低下が予想される。

したがって、呼吸状態を観察しながら息切れを軽減できる更衣方法や動作の工夫を指導するとともに、酸素チューブの適切な装着方法を習得できるよう援助することが必要である。

Point

着脱は、片手でも対応しやすい衣類(前あき、面ファスナーなど)を提案することで、自立度を上げやすい項目です。自助具の提案もあわせて検討してみましょう。

7.環境の調整により体温を正常範囲に維持する

体温が正常に保たれ、衣類・環境調整によって体温管理ができているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 体温
  • 暑さ・寒さへの自覚と対応
  • 寝具・衣類の調整状況
  • 血液データ(WBC、CRP)

 

環境の調整により体温を正常範囲に維持する

<主観的情報(S)>
「暑いとか寒いとかは、特に気になっていないですよ」(暑さ・寒さへの自覚と対応)
「布団の調整は自分でできています」(寝具・衣類の調整状況)


<客観的情報(O)>

  • 体温:36.5℃(同一時間帯で安定)
  • 発汗異常なし
  • 寝具・衣類の調整は自力で実施できている

 

<解釈・分析(A)>
「暑いとか寒いとかは、特に気になっていない」「布団の調整は自分でできています」という発言や、体温が36.5℃で安定していること、発汗異常がみられないこと、寝具や衣類の調整を自力で実施できていることから、体温を正常範囲に維持できている状態(充足)と考えられる。

今後、COPDの増悪や呼吸器感染症を発症した場合には、発熱などにより体温調節が困難となる可能性もある。

したがって、体温や発汗の状態を継続的に観察するとともに、体調の変化が生じた場合には室温や寝具・衣類を調整できるよう援助する。

Point

この項目は、体温そのものだけでなく「環境を自分で調整できるか」という視点も含まれます。体温が正常でも、環境調整の自立度に注目すると見落としを防げます。

8.身体を清潔に保ち身だしなみを整え皮膚を保護する

清潔保持や整容、皮膚の保護ができているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 清潔保持の状況(入浴・清拭・洗面など)
  • 整容の自立度・意欲
  • 皮膚・爪の状態(発赤・乾燥・損傷の有無)

 

身体を清潔に保ち身だしなみを整え皮膚を保護する

<主観的情報(S)>
「シャワーを浴びるだけでぐったりしてしまって」(清潔保持の状況)
「身だしなみはきちんとしていたいんですよね」(整容の自立度・意欲)
「足がむくんでいて、靴下を履くのも一苦労で」(皮膚・爪の状態)


<客観的情報(O)>

  • シャワー浴は一部介助(息切れあり、SpO2低下88%前後)
  • 整容(洗面・髭剃り)は自力で実施、時間を要する
  • 下腿に軽度浮腫あり、皮膚に発赤・損傷なし
  • 皮膚乾燥傾向あり

 

<解釈・分析(A)>
「シャワーを浴びるだけでぐったりしてしまって」という発言や、シャワー浴時に息切れが出現しSpO2が88%前後まで低下すること、一部介助を要していることから、自力で十分に身体の清潔を保持することが困難な状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる労作時の呼吸困難により、清潔を保持するために必要な体力が不足していることが原因と考えられる。

一方、「身だしなみはきちんとしていたいんですよね」と発言しており、整容は自力で実施できていることは、清潔保持の自立につながる強みである。

このまま清潔の未充足な状態が持続すると、清潔保持が十分に行えず、皮膚乾燥や下腿浮腫の悪化による皮膚トラブルや、自己肯定感の低下が予想される。

したがって、呼吸状態を観察しながら安全に清潔を保持できるよう、シャワー浴時の援助や動作方法の工夫を行うとともに、皮膚状態を継続的に観察することが必要である。

Point

清潔保持は患者さんの羞恥心にも配慮が必要な項目です。また、感覚障害や麻痺がある患者さんは皮膚トラブルに気づきにくいことがあります。自覚症状の訴えだけに頼らず、皮膚の状態を直接観察しましょう。

9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

安全に過ごせているか、転倒・事故などのリスクを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 転倒・転落リスク(移動能力、バランス)
  • 危険認識力、判断力
  • 療養環境の状態(室温・湿度や騒音など)
  • 環境整備の状況(手すり、ベッド柵など)
  • 自傷・他害のリスク

 

環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

<主観的情報(S)>
「息が切れると、ふらっとすることがあって」(転倒・転落リスク)
「ナースコールを押すのも、なんだか申し訳なくて」(危険認識力、判断力)
「危ないとはわかっているんですけどね」(危険認識力、判断力)


<客観的情報(O)>

  • 労作時にSpO2低下(88%前後)、ふらつきあり
  • ナースコールを押さず一人で動こうとした場面が複数回あり
  • ベッド柵設置済み、離床センサー使用中
  • 判断力・認知機能に問題なし

 

<解釈・分析(A)>
「息が切れると、ふらっとすることがあって」「ナースコールを押すのも、なんだか申し訳なくて」「危ないとはわかっているんですけどね」という発言や、労作時にSpO2が88%前後まで低下しふらつきがみられること、ナースコールを押さずに一人で動こうとした場面が複数回みられることから、安全を確保した行動をとることが困難な状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる労作時の低酸素血症に伴うふらつきや、援助を求めることへの心理的な抵抗感が原因と考えられる。

一方、危険性を認識しており、判断力や認知機能に問題がないことは、安全な行動の獲得につながる強みである。

このまま安全の未充足な状態が持続すると、転倒・転落による外傷の可能性もある。

したがって、ナースコールをためらわず使用できるよう心理的な支援を行うとともに、安全な療養環境を整備し、労作時の見守りや援助を行うことが必要である。

Point

危険性をわかっていても、自尊心や遠慮から一人で行動してしまう患者さんは少なくありません。「なぜ一人でやろうとするのか」という背景まで考えると、その人に合った声かけの仕方を考えやすくなります。

10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションをもつ

感情や意思を表現し、他者と意思疎通ができているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 言語的コミュニケーション能力(構音障害の有無など)
  • 感情表出の状況
  • 家族・医療者との関係性
  • 聴力・視力、補聴器やメガネの有無

 

自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションをもつ

<主観的情報(S)>
「こんな機械をつけて家に帰れるのか、正直不安で」(感情表出の状況)
「家族には心配をかけたくないから、あまり弱音は言えなくて」(感情表出の状況)
「先生や看護師さんには、思ったことは話せていますよ」(家族・医療者との関係性)
「子どもたちは遠くに住んでいるから、なかなか会えなくて寂しいです」(家族・医療者との関係性)
「妻には迷惑をかけてしまって、申し訳ない気持ちで」(感情表出の状況)


<客観的情報(O)>

  • 構音障害なし、言語的理解・表出ともに問題なし
  • 子どもは遠方に在住、面会は少ない
  • 妻が主な面会者で、週数回来院している

 

<解釈・分析(A)>
「こんな機械をつけて家に帰れるのか、正直不安で」「家族には心配をかけたくないから、あまり弱音は言えなくて」という発言や、子どもが遠方に住んでおり面会機会が少ないことから、不安や思いを十分に表出できていない状態(未充足)と考えられる。

これは、家族に心配をかけたくないという思いに加えて、在宅酸素療法に伴う機器管理や退院後の療養生活に関する知識・理解がまだ十分でないことが、不安を強めている原因と考えられる。

一方、医療者に対しては思いや不安を伝えることができ、言語的理解・表出にも問題がないことは、不安の軽減や退院後の療養生活への適応につながる強みである。

このまま不安や思いを十分に表出できない状態が持続すると、退院後の在宅酸素療法への不安が増大し、療養生活への適応困難や精神的負担の増加が予想される。

したがって、不安や思いを表出しやすい関係性を継続して築くとともに、在宅酸素療法に関する正確な情報提供や家族を含めた支援体制の調整を行うことが必要である。

Point

この項目では、言語機能の有無だけでなく、「何を・誰に・どこまで表現できているか」を丁寧に見ることが大切です。


「話せている」という言葉の裏に、言えていない気持ちが隠れていることもあります。表情や話し方などの様子も観察してみましょう。

11.自分の信仰に従って行動する

信仰や、その人が大切にしている価値観に従って行動できているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 信仰の有無
  • 慣習的な行動
  • 大切にしている価値観や考え方
  • 入院生活での制約の有無(治療・食事など)

 

自分の信仰に従って行動する

<主観的情報(S)>
「特定の宗教はないですね」(信仰の有無)
「家族が健康でいてくれることが一番大切ですよ」(大切にしている価値観)
「お盆やお正月にお墓参りするくらいですかね」(慣習的な行動)


<客観的情報(O)>

  • 特定の宗教・信仰なし
  • 入院生活において信仰に関連する制約や要望の訴えなし

 

<解釈・分析(A)>
「特定の宗教はないですね」「家族が健康でいてくれることが一番大切ですよ」という発言や、入院生活において信仰に関連する制約や要望がないことから、自身の価値観を大切にしながら生活できている状態(充足)と考えられる。

今後、病状の悪化や療養生活の長期化により、精神的な不安や生きる意味・価値観について考える機会が増えた場合には、精神的支援が必要となる可能性もある。

したがって、患者さんが大切にしている価値観や生活習慣を尊重しながら、必要時には精神的な支えとなる関わりを行う。

Point

信仰がない場合でも、その人が大切にしている価値観や考え方を確認しておくことは、個別性のあるケアにつながります。入院中に慣習的な行事や儀式が制限される場合は、代替手段を一緒に考えることも大切です。

12.達成感をもたらすような仕事をする

仕事や役割を通じて達成感を得られているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 職業歴、現在の役割
  • 達成感・やりがいの有無
  • 疾患・入院による役割への影響

 

達成感をもたらすような仕事をする

<主観的情報(S)>
「長年営業として働いてきたことは、今でも誇りに思っていますよ」(職業歴)
「退職してからも、昔の同僚とゴルフを続けていたんですよ。それが楽しみでね」(達成感・やりがいの有無)
「こんな体になって、もう同僚にも会いづらくて」(疾患・入院による役割への影響)


<客観的情報(O)>

  • 65歳で定年退職、元会社員
  • 退職後も月1〜2回、元同僚とゴルフを続けていた
  • 入院により、ゴルフや同僚との交流が途絶えている

 

<解釈・分析(A)>
「こんな体になって、もう同僚にも会いづらくて」という発言や、入院によりゴルフや元同僚との交流が途絶えていることから、これまで大切にしていた社会的つながりを維持できていない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる活動制限や入院生活が原因と考えられる。

一方、長年営業職として働いた経験を誇りに思い、退職後もゴルフを通じて人とのつながりを維持していたことは、自己肯定感や社会復帰への意欲につながる強みである。

このまま役割・社会的関係の未充足な状態が持続すると、社会的孤立感の増大や自己効力感の低下、意欲低下や抑うつ状態につながることが予想される。

したがって、患者さんが大切にしてきた人間関係や趣味を尊重しながら、息切れをコントロールして退院後も社会とのつながりを維持できる方法を一緒に検討する援助が必要である。

Point

退職後の患者さんでも、趣味や家庭内での役割が「達成感」の源になっていることがあります。職業歴だけでなく、現在の生活の中での役割にも目を向けてみましょう。


入院中にできなくなったことだけでなく、退院後にどう役割を取り戻せるかという視点でアセスメントすると、看護計画の方向性が見えやすくなります。

13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する

趣味や娯楽活動に参加できているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 趣味・娯楽活動の内容
  • 入院中の余暇の過ごし方
  • 普段の休日の過ごし方
  • 認知機能

 

遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する

<主観的情報(S)>
「野球観戦が好きで、シーズン中はよくテレビで見ていましたよ」(普段の休日の過ごし方)
「病室でもテレビで野球は見られるから、それだけが楽しみですよ」(入院中の余暇の過ごし方)
「早く家に帰って、ゆっくり野球を見たいですね」(普段の休日の過ごし方)


<客観的情報(O)>

  • 入院中もテレビ視聴は可能で、野球シーズン中は観戦している
  • 入院前はゴルフを月1〜2回楽しんでいたが、現在は中断している

 

<解釈・分析(A)>
「早く家に帰って、ゆっくり野球を見たい」という発言や、入院前に行っていたゴルフが中断していることから、これまで楽しんでいた余暇活動を十分に行えていない状態(未充足)と考えられる。

これは、COPDによる身体機能の低下や入院生活による活動制限が原因と考えられる。

一方、入院中も野球観戦という楽しみを見つけ、余暇活動を継続できていることは、療養生活の中で気分転換を図るための強みである。

このまま余暇活動の未充足な状態が持続すると、気分転換の機会が減少し、意欲低下や精神的ストレスの増大につながることが予想される。

したがって、患者さんが楽しみにしている活動を尊重しながら、身体状況に合わせて可能な余暇活動を取り入れ、療養生活の質を維持できるよう援助することが必要である。

Point

入院中は趣味そのものができなくても、代わりとなる楽しみがあるかを確認すると、QOLの維持に目を向けたアセスメントにつながります。

14.正常な発達及び健康を導くような学習をし好奇心を満足させる

健康や治療について学び、理解できているかを評価する項目です。

 

主な収集項目

  • 健康に関する知識
  • 疾患・治療への理解度
  • 学習意欲
  • リハビリ・生活指導への取り組み姿勢

 

正常な発達及び健康を導くような学習をし好奇心を満足させる

<主観的情報(S)>
「在宅酸素って、家でも機械をつけていないといけないんですか?」(疾患・治療への理解度)
「外出するときも持ち歩かないといけないんでしょうか」(疾患・治療への理解度)
「禁煙して3年になりますが、それでもこんなことになるんですね」(疾患・治療への理解度)
「退院後の生活がどうなるのか、もう少し詳しく教えてほしいんですが」(学習意欲)
「息が苦しくなったとき、どうすればいいのか知りたくて」(生活指導への取り組み姿勢)


<客観的情報(O)>

  • 在宅酸素療法の使用方法について説明を求める発言が複数回みられる
  • 携帯用酸素ボンベの操作方法について質問する場面あり
  • 酸素流量の調整方法について確認すると、正確に答えられない場面あり
  • 息切れ時の対処法(口すぼめ呼吸など)については理学療法士から指導中
  • 退院後の生活指導に対して質問あり

 

<解釈・分析(A)>
「在宅酸素って、家でも機械をつけていないといけないんですか?」「退院後の生活がどうなるのか、もう少し詳しく教えてほしいんですが」という発言や、酸素流量の調整方法を正確に理解できていないことから、疾患や治療に関する必要な知識を十分に習得できていない状態(未充足)と考えられる。

これは、在宅酸素療法を導入するにあたって、使用方法や退院後の生活管理について十分な知識を習得できていないことが原因と考えられる。

一方、退院後の生活について積極的に質問し、息苦しさへの対処法を知りたいという学習意欲があることは、自己管理能力の向上につながる強みである。

このまま疾患・治療に関する知識・理解の未充足な状態が持続すると、vの自己管理が不十分となり、呼吸状態の悪化や再入院につながることが予想される。

したがって、患者さんの学習意欲を活かしながら、在宅酸素療法の使用方法や酸素流量管理、息切れ時の対処法、退院後の生活上の注意点について段階的に指導することが必要である。

Point

学習意欲が高い患者さんでも、すべての情報を一度に理解できるとは限りません。理解が不十分な部分を見極め、優先順位をつけて説明することが大切です。


また、家族の協力が必要な場合も多いです。在宅酸素療法のように自宅での管理が必要な治療では、患者さんだけでなく家族へも説明の機会を設けることを意識してみましょう。

 

アセスメントのテンプレート

アセスメントの書き方に悩んでいる方は、テンプレートを活用してみましょう。

アセスメントのテンプレート。ヘンダーソンVer。1.状態の判断。「S情報・O情報」がみられることから、「充足or未充足」と考えられる。2.原因の分析(未充足の場合のみ)。これは、「患者さんが直面している問題や課題・周囲の要因」が原因と考えられる。※体力・意思力・知識の何が欠けているのかを意識して書こう!3.強み(ある場合のみ)。一方、「患者さんの言動・状態」という強みがある。4.今後の見通し。このまま「未充足な状態」が持続すると「予測されるリスクや課題」が予想される。5.必要な援助。したがって、「必要な看護介入」が必要である。※②で挙げた体力・意思力・知識の不足を補うためのケアを書こう!

【例】

  1. 術後の筋力低下によりふらつきがみられることから、転倒のリスクが高まっている状態(未充足)と考えられる。
  2. これは、手術による安静期間が長く、下肢筋力が低下していることが原因と考えられる。
  3. 一方、「転ばないように気をつけなきゃ」という発言があり、転倒の危険性を認識できていることは強みである。
  4. このまま筋力低下の状態が持続すると、転倒による骨折やADLの低下、入院の長期化が予想される。
  5. したがって、段階的なリハビリによる筋力回復を図るとともに、安全に離床できる機会を確保していく必要がある。

 

テンプレートの文言は、そのまま使用する必要はありません。情報に合わせて調整しましょう。


「②原因の分析」は未充足と判断した場合のみ記入します。また、「③強み」が見つからない場合は、無理に書く必要はありません。


「②原因の分析」と「⑤必要な援助」は、体力・意思力・知識の何が不足していて、それぞれをどのように補うことができるかという視点で書きましょう。


情報が足りない部分は、「〜について情報を収集する必要がある」と書いておくと、不足に気づいた記録として活用できます。


ゴードンや、ロイを使ったアセスメントの書き方にも悩んでいる方は、以下の記事を参考にしてみてください。

 

【一覧表】ヘンダーソンの14の基本的ニードと項目例

基本的ニード 収集項目
1. 正常に呼吸をする ・呼吸数・呼吸音・呼吸機能
・酸素飽和度(SpO2
・自覚症状(息切れ、咳、痰など)
・喫煙歴
2.適切に飲食する ・食事摂取量・食事形態
・嚥下機能
・栄養状態(体重・BMI・TP・Albなどの血液データ)
・水分摂取量
・食事摂取の動作やセルフケアの状況
3.あらゆる排泄経路から排泄する ・排便・排尿の回数、性状
・排泄方法(自立・一部介助・全介助)
・尿意・便意の有無
・腹部症状(腹痛・腹部膨満感など)
・下剤などの使用状況
・排泄に関するセルフケア能力
4.身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する ・ADL(歩行・移乗・体位変換)の自立度
・麻痺・骨折の有無
・関節可動域、筋力、MMT
・安静度
・労作時の呼吸状態
・活動への意欲
5.睡眠と休息をとる ・睡眠時間・睡眠の質
・入眠困難、中途覚醒の有無
・日中の眠気、疲労感
・睡眠環境(病室の環境変化など)
・疼痛・掻痒感など睡眠を妨げる要素の有無
・ストレスの状況
6.適切な衣類を選び、着脱する ・衣類の選択・準備の状況
・着脱動作の自立度
・季節や状況に応じた衣類の調整
7.衣類の調整と環境の調整により、体温を生理的範囲内に維持する ・体温
・暑さ・寒さへの自覚と対応
・寝具・衣類の調整状況
・血液データ(WBC、CRP)
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する ・清潔保持の状況(入浴・清拭・洗面など)
・整容の自立度・意欲
・皮膚・爪の状態(発赤・乾燥・損傷の有無)
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を侵害しないようにする ・転倒・転落リスク(移動能力、バランス)
・危険認識力、判断力
・療養環境の状態(室温・湿度や騒音など)
・環境整備の状況(手すり、ベッド柵など)
・自傷・他害のリスク
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションをもつ ・言語的コミュニケーション能力(構音障害の有無など)
・感情表出の状況
・家族・医療者との関係性
・聴力・視力、補聴器やメガネの有無
11.自分の信仰にしたがって礼拝する ・信仰の有無
・慣習的な行動
・大切にしている価値観や考え方
・入院生活での制約の有無(治療・食事など)
12.達成感をもたらすような仕事をする ・職業歴、現在の役割
・達成感・やりがいの有無
・疾患・入院による役割への影響
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する ・趣味・娯楽活動の内容
・入院中の余暇の過ごし方
・普段の休日の過ごし方
・認知機能
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる ・健康に関する知識
・疾患・治療への理解度
・学習意欲
・リハビリ・生活指導への取り組み姿勢

 

監修

神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師長島俊輔

2010年 京都大学 卒、2010~2013年 京都大学医学部附属病院(看護師)、2018年 京都大学大学院医学研究科博士課程 修了、2018年 京都大学大学医学研究科 助教、2019~2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部助教、2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 講師(現職)。著書に『系統看護学講座 専門分野 基礎看護学[4] 臨床看護総論 』『よくわかる 看護研究の進め方・まとめ方 第3版』。

 

編集:北井寛人(看護roo! 編集部)

デザイン:原田 誠一朗

 

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