【ゴードン編】アセスメントの書き方!看護実習記録を例文で解説

【ゴードン編】アセスメントの書き方!看護実習記録を例文で解説

ゴードンの11の機能的健康パターンを用いたアセスメントが書けない…」

 

実習記録で行き詰まっている看護学生さんに向けて、ゴードンの機能的健康パターンを使ったアセスメントの書き方について、11パターン別の記録例とあわせて解説します。

 

まずは11の機能的健康パターンについての解説が見たいという方は、次の記事を参考にしてみてください。

 

 

監修:長島俊輔(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師)

執筆協力:平田友希(看護師・ライター)

 

 

ゴードンの機能的パターンを使った情報収集【3つのポイント】

アセスメントの精度を上げるカギは、情報収集です。まずは、情報をうまく集めるための3つのコツを押さえましょう。

 

1目的を意識しよう

情報収集を始める前に、「何のためにこの情報を集めるのか」を意識しておきましょう。たとえば糖尿病で血糖コントロール不良の患者さんなら、以下のように必要な情報を整理していきます。

 

  • 血糖コントロールの状態を知る必要がある
    血糖値を収集
  • 治療への理解度や自己管理への意識を確認したい
    食事と服薬状況を収集

 

11パターンのうち、特にどの分類の情報を重点的に集めるべきかは、患者さんによって異なります。情報収集の目的を考えられると、優先的に集めるべき情報が分かり、限られた時間の中で効率よく情報収集ができるようになります

 

 

2カルテと患者さんの両方から集めよう

情報は、カルテと患者さんの両方から収集します。

 

カルテからは主に、現在までの経過、検査データ(血液検査・画像検査など)、既往歴、治療内容などの客観的な情報を集めます。

 

一方で、「食欲がない」「眠れない」「不安がある」といったS情報(主観的データ)は、患者さんに直接聞くことで得られます。

 

また、患者さんは自身の状態や変化に気づいていないこともあり、話を聞くだけでは得られない情報もあります。表情や歩き方、食事の様子などをよく観察することも、重要な情報収集の方法です。

 

特に11パターンのうち、「自己知覚ー自己概念パターン」や「価値ー信念パターン」に分類される情報は、注意深く観察していないと収集できないことがあります。このほか、バイタルサインの測定やフィジカルイグザミネーションも必要不可欠です。

 

 

3答えやすい質問から深掘りしよう

ゴードンの11パターンは、基本的には質問・診察しやすい順番で並んでいます。ただ、あまりに順番を意識しすぎると、会話が不自然になりやすいです。

 

答えやすい質問から始めて患者さんの緊張をほぐし、「いつから?」「どんなとき?」と少しずつ掘り下げていきましょう

 

<不自然な聞き方>

「まず、疾患・治療への理解度と服薬状況について聞かせてください」
「次に、食事と水分の摂取量、食欲の変化について教えてください」

 

<自然な聞き方>

学生:最近、食欲はどうですか?
患者さん:なんか最近あまり食べられていなくて…
学生:そうなんですね。いつ頃から気になっていますか?

 

ゴードンの情報の解釈・分析【3ステップ】

情報が集まったら、次はアセスメントを書く段階です。以下の順番で進めることを意識すると、ぐっと書きやすくなります。

 

1「正常」か「逸脱」かを判断しよう

ゴードンの11の機能的健康パターンでは、情報を以下の3つに分類して分析するのが特徴です。

 

  • 機能的パターン(うまく機能している状態:適切な状態)
  • 機能不全パターン(機能不全を示す状態:適切ではない状態)
  • 潜在的機能不全パターン(機能不全のリスクがある状態:適切だが今後悪化する可能性のある状態)

 

まずはこの分類の土台となる、「正常」か「正常から逸脱」かの判断から始めましょう

 

検査データには基準値があります。収集した情報を基準値と比較し、「正常」か「逸脱」かを判断するのが第一歩です。基準値がないデータの場合は、入院前や治療前の状態と比較してみましょう。

 

たとえば、HbA1cのように基準値がある項目は数値で判断できますが、「食欲」や「活動量」のように基準値がない情報は、患者さん本人の「いつもの状態」と比べると、「正常か逸脱か」が判断しやすくなります。

 

 

2「逸脱」の原因、背景を探ろう

「正常から逸脱」と判断した情報について、次はその原因や背景を探ります

 

ただし、11パターンの中には、「自己知覚ー自己概念パターン」や「価値ー信念パターン」のように、信頼関係ができてからでないと集めにくい情報もあります。実習の初期段階では、原因や背景まで十分に探れないこともあるでしょう。

 

その場合は、無理に原因を決めつけず、「原因・背景は不確定である」ことを記録に明記し、あとであらためて確認することが大切です。

 

 

3パターン同士のつながりを意識しよう

ゴードンの11パターンは、それぞれが独立しているわけではありません。たとえば、以下のように関連性を見つけられます。

 

相互に関連し合う機能的健康パターン。機能的健康パターンが関連していることを示す図版。食事摂取量が低下「栄養-代謝パターン」、倦怠感・筋力低下「活動ー運動パターン」、精神的不安定「コーピングーストレス耐性パターン」、睡眠障害「睡眠ー休息パターン」は、それぞれ影響し合っている。

 

アセスメントを書くときは、複数のパターンのデータを関連づけながら根拠を示すと、より深い分析になります。また、1つの情報が、複数のパターンに当てはまるケースも少なくありません

 

ゴードン11パターン別|実習記録の書き方と記録例

ここからは、各パターンのS情報(主観的データ)・O情報(客観的データ)、解釈・分析(A:アセスメント)の例を解説します。書き方に迷っているパターンから確認してみてください。

 

アセスメントの型(テンプレート)が見たい方は、こちらをご覧ください。

 

【患者さんの事例】

年齢・性別:58歳・男性

職業:会社員(営業部長)

性格:管理職としての自負が強く、人に弱みを見せることが苦手

家族構成:妻・子ども2人と同居

嗜好品:喫煙歴20年。(20本/日)、18年前に禁煙。ビール3缶(350ml)/日

趣味:晩酌をしながらテレビでスポーツ観戦

信仰:特定の信仰はなし

診断:2型糖尿病・糖尿病性腎症・糖尿病性末梢神経障害・糖尿病網膜症(軽度)

現病歴:53歳の健診でHbA1cの異常を指摘されたが、多忙を理由に精査を受けず経過。定期受診も本来より間隔が空き、2年に1回程度となっていた。1ヶ月前から両下腿浮腫が出現し、軽快しないため受診。HbA1c 10.2%、下腿浮腫の増悪による精査・加療目的で入院。入院2週間経過。

ADLの状況:ADLは自立しているが、両下肢のしびれ・感覚鈍麻がありふらつきを感じることがある。夜間は尿意で2〜3回中途覚醒することがある。血糖自己測定・インスリン自己注射の導入について不安があり、「こんなに細かい管理を自分にできるか」と話している。

治療方針:血糖コントロール目的でインスリン導入予定。食事療法・生活指導を実施し、退院に向けて自己注射手技の指導を行う。

 

1. 健康知覚ー健康管理パターン

患者さんが「自分の健康をどう認識し、どう管理しているか」を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 疾患・治療への理解度
  • 服薬状況・自己管理の実施状況
  • 受診行動(定期受診しているか)
  • 喫煙・飲酒・食習慣

 

健康知覚ー健康管理

<主観的データ(S)>
「インスリンって何で打つの?」(疾患・治療への理解度)

「忙しく定期健診を受けられない年もあった」(受診行動)

「薬は飲んでいるけど、食事制限は必要ないと思っていた」(服薬状況・自己管理)

 

<客観的データ(O)>
・HbA1c:10.2%、BMI:29.3

・2型糖尿病の診断から5年

・定期受診は2年に1回

・服薬管理は本人が実施

・20〜40歳でタバコ20本/日、ビール3缶(350ml)/日(喫煙・飲酒・食習慣)

 

<解釈・分析(A)>
「インスリンって何で打つの?」や「食事制限は必要ないと思っていた」という発言からも治療に対する理解や認識が十分ではなく、糖尿病についての疾患理解に問題がある状態(逸脱)だといえる。


また、現在HbA1c 10.2%・BMI 29.3 であり、自己管理についても不十分な状態(逸脱)だと考えられる。
これは、「忙しく定期健診を受けられない年もあった」(定期受診は2年に1回)といった情報の通り、糖尿病に関する知識不足や関心の低さによって、治療の重要性への理解や生活習慣の改善が進まなかったことが原因と考えられる。


このまま疾患理解や自己管理が不十分な状態が続くと、血糖コントロール不良が続き、合併症の悪化や自己管理の困難につながる可能性がある。


したがって、糖尿病の病態や治療の目的を理解してもらうための教育、食事療法の必要性を伝える支援、定期受診の重要性を踏まえた受診行動の調整支援が必要である。

 

Point

「知識があるかどうか」だけでなく、「実際に行動できているかどうか」の両面から情報を集めましょう。

 

知識があっても行動につながっていない場合は、動機や妨げとなっている要因も確認できると、看護問題が絞りやすくなります。

 

また、健康知覚ー健康管理パターンに分類される情報は、ほかのパターンにも分類できるケースが少なくありません。

2. 栄養ー代謝パターン

食事・水分の摂取状況と、体重・皮膚・血液データなど代謝に関わる状態を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 食事摂取量・食欲の変化
  • 水分摂取量
  • 重の変化(入院前との比較)
  • 血液データ(アルブミン、総タンパク、ヘモグロビンなど)
  • 皮膚の状態(乾燥・浮腫・褥瘡リスク)
  • 嚥下機能

 

栄養ー代謝パターン

<主観的データ(S)>

「ご飯の量とか甘いものとか、正直あまり気にせず食べたいだけ食べてきました」(食事摂取量・食欲の変化)

「外食が多かった。会社でお昼ご飯を食べるときはコンビニの弁当やカップ麺が多い」(食事摂取量・食欲の変化)

「栄養バランスはあまり気にしたことがない。野菜ジュースはよく飲むけど」(食事摂取量・食欲の変化)


<客観的データ(O)>

・体重:85kg(BMI 29.3)

・アルブミン:3.6g/dL

・食事摂取率:9〜10割

・食事内容:外食中心。タンパク質・脂質摂取量が多い傾向。野菜摂取量は少なめ。

・随時血糖:入院時288mg/dL

・両下腿に浮腫(+)。

・糖尿病食(エネルギー制限)・腎臓食(タンパク制限・塩分制限)開始。


<解釈・分析(A)>

「食べたいだけ食べてきた」、「外食やコンビニ弁当が多い」、「栄養バランスは気にしたことがない」という発言や、BMI 29.3、随時血糖 288mg/dL、両下腿の浮腫(+)、野菜摂取量が少ないといった情報から、食事量や内容が偏っており、栄養-代謝パターンは不適切(逸脱)な状態であると考えられる。

 

これは、忙しさによる外食の多さや食事内容への関心の低さ、糖尿病に合った食事療法への理解不足が原因と考えられる。また、タンパク質や脂質の多い食事は、浮腫の悪化や腎臓への負担にもつながっていると考えられる。

 

このまま食事内容の偏りが続くと、血糖コントロールの悪化、腎機能の低下、浮腫の増悪、心血管疾患のリスク増大につながる可能性がある。


したがって、食事療法の目的や必要性を理解してもらうための栄養指導、外食時のメニュー選びの支援、野菜の摂取量を増やすための具体的な食事調整などのサポートが必要である。

 

Point

食事は摂取量だけでなく、内容も確認しましょう。食事制限がある場合は、患者さんがその内容を理解し実践できているかも大切な確認ポイントです。

 

食欲が低下している場合は、悪心・疼痛・気分の落ち込みなど複数の原因が重なることもあるため、他のパターンとあわせて確認しましょう。

3. 排泄パターン

排便・排尿の状況を評価するパターンです。「機能の変化」と「排泄の自立度」の両面から確認します。

 

主な収集項目

  • 排便回数・性状(ブリストルスケール)
  • 排尿回数・尿量・性状
  • 下剤・排尿補助薬の使用状況
  • 排泄の自立度(介助の有無)
  • 失禁・尿閉の有無

 

排泄パターン

<主観的データ(S)>

「夜中に2〜3回トイレに起きる。昼間も近い気がする」(排尿回数・尿量・性状)


<客観的データ(O)>

・夜間頻尿2〜3回

・1日尿量:1,800mL

・尿タンパク(1+)

・Cr:1.3mg/dL

・eGFR:45.4mL/min/1.73㎡

・排便は2日に1回

・普通便

・排泄動作は自立

 

<解釈・分析(A)>
「夜中に2〜3回トイレに起きる」、「昼間も近い気がする」という訴えや、1日尿量1,800mL、尿タンパク(1+)、eGFR 45.4mL/min/1.73㎡といった腎機能低下を示す所見から、排尿パターンに変化がみられた状態(逸脱)であると考えられる。


これは、糖尿病性腎症による腎機能の低下によって尿量が増えたり、排尿のリズムが変化したことが原因と考えられる。また、夜間頻尿が続くことで睡眠の質も低下しており、休息-睡眠パターンにも影響していると考えられる。


このまま排尿パターンの変化が続くと、夜間頻尿尿による睡眠障害が進んだり、日中の疲労感が強くなる可能性がある。


したがって、排尿状況や腎機能の継続的な観察、夜間頻尿が睡眠に与える影響の評価、糖尿病性腎症に合わせた水分管理や生活指導が必要である。

 

Point

排便の観察は、回数だけではなく、「いつ出たか」「どんな形か」「本人が苦しそうにしていないか」も含めて観察しましょう。ブリストルスケールを使って性状を客観的に記録すると、アセスメントに根拠が出やすくなります。

 

夜間頻尿がある場合は、日中との回数の差も記録しておくと状態把握に役立ちます。

4. 活動ー運動パターン

日常生活動作(ADL)の自立度と、活動量・運動機能を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • ADLの自立度(食事・移動・更衣・入浴・排泄)
  • 活動制限の有無と理由
  • バイタルサイン(動作時の変動)
  • 転倒リスク(歩行状態・筋力・バランス)
  • 入院前の運動習慣との比較

 

活動ー運動パターン

<主観的データ(S)>

「足がしびれていて、歩くとふらつく感じがする。以前より疲れやすくなった」(転倒リスク:歩行状態・筋力・バランス)

「立ち上がるときは、転ばないように何かにつかまるようにしている」(ADLの自立度:移動)


<客観的データ(O)>

・食事・更衣:自立

・移動:独歩可能だが歩行時にふらつきあり。病棟内歩行時は看護師の見守りを要する。立ち上がる際はベッド柵や手すりをつかむなど、自身でも転倒予防行動をとっている

・入浴:シャワー浴時、立位保持にやや不安があり見守りを要することがある

・排泄:動作は自立

・両下肢に感覚鈍麻あり

・握力:36kg(左右差なし)

・入院前は通勤・外回りで1日約8,000歩歩いていたと発言あり

 

<解釈・分析(A)>

「足がしびれて歩くとふらつく」、「立ち上がるときに何かにつかまる」という訴えや、両下肢の感覚鈍麻、入浴時の立位保持への不安といった情報から、活動・運動の面で転倒リスクが高まっている状態(逸脱)と考えられる。

 

これは、糖尿病性末梢神経障害によって感覚が低下し、バランスが取りにくくなっていることが主な原因と考えられる。また、入院によって活動量が減っていることで、体力の低下や疲れやすさにつながっていることも考えられる。

 

一方で、「転ばないように何かにつかまるようにしている」という発言や、立ち上がるときに手すりを使うなど、本人が自分で転倒のリスクを自覚し、自発的に予防行動を取れている点は強みといえる。また、握力が36kgあり、筋力が保たれていることも活動を続けるうえでの強みである。

 

このまま転倒リスクが高い状態が続くと、夜間頻尿による排泄時の転倒や、活動量のさらなる低下、筋力低下の進行につながる可能性がある。

 

したがって、歩行や立位時の見守り、環境整備による転倒予防、段階的に活動量を増やす支援、感覚鈍麻に合わせた安全な移動方法の指導が必要である。

 

Point

活動-運動パターンは「できること・できないこと」を具体的に記録することが大切です。

 

「歩けない」ではなく「平地10mの歩行に介助が必要」「段差の昇降は不可」のように細かく記録することで、看護介入の根拠になります。

 

入院前との変化も比較して記録しておきましょう。

5. 睡眠ー休息パターン

睡眠の質・量と、日中の休息状態を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 睡眠時間・就寝・起床時刻
  • 中途覚醒の有無と原因
  • 睡眠薬の使用状況
  • 入院前の睡眠状況との比較

 

睡眠ー休息パターン

<主観的データ(S)>

「夜中にトイレで何度も起きて、そのあとなかなか寝付けない。昼間もぼーっとしている」(中途覚醒の有無と原因)

「家ではビールを飲んで寝ていたので、それができないとよけいに寝つけない気がする」(入院前の睡眠状況との比較)

 

<客観的データ(O)>

・夜間睡眠時間:約4〜5時間

・中途覚醒2〜3回(夜間頻尿による)

・入院前は飲酒後に入眠する習慣があったとの発言あり

・睡眠導入剤使用なし

・日中の傾眠あり

 

<解釈・分析(A)>
「夜中にトイレで何度も起きて、そのあと寝付けない」、「昼間もぼーっとしている」という訴えや、夜間睡眠4〜5時間、中途覚醒2〜3回、日中の傾眠、入院前は飲酒で入眠していたという情報から、睡眠の質が下がっていて休息が十分に取れていない状態(逸脱)と考えられる。

 

これは、夜間頻尿によって何度も途中で目が覚めてしまうことや、入眠のきっかけにしていた飲酒が入院中はできないことで睡眠リズムが変わってしまったことが原因と考えられる。

 

このまま睡眠の質が低い状態が続くと、疲れがたまりやすくなったり、日中の活動量が減ったりするだけでなく、日中の集中力も下がり転倒リスクも高くなる可能性がある。

 

したがって、夜間頻尿の状況に合わせた排泄環境の調整や、入眠のための習慣づくり、日中の休息の取り方の調整が必要である。また原因となっている排泄パターンや認知‐知覚パターンへの介入と合わせて対応していくことも求められる。

 

Point

眠れているかどうかだけでなく、「何時頃眠れましたか?」「夜中に目が覚めましたか?」と具体的に聞くと、アセスメントに必要な情報が得られやすいです。

 

病室の騒音や照明など環境要因も睡眠に影響するため、観察しておきましょう。

6. 認知ー知覚パターン

意識・見当識・感覚機能・痛みの知覚を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 意識レベル(JCS・GCS)
  • 見当識(時間・場所・人物)
  • 疼痛の有無・程度・性状(NRS・VAS)
  • 視力・聴力・コミュニケーション能力
  • 知機能の変化

 

認知ー知覚パターン

<主観的データ(S)>

「両足がじんじんしびれている。夜になると特に気になって眠れないこともある」(疼痛の有無・程度・性状)

「しびれは足の裏から指先にかけてずっとある感じ。消えることはない」(疼痛の有無・程度・性状)

「最近、目がかすむ感じがして、細かい字が見えにくいことがある」(視力・聴力・コミュニケーション能力)

 

<客観的データ(O)>

・両下肢(足底〜足趾)に持続的な感覚鈍麻・しびれあり

・NRS:安静時3/10・夜間4/10

・意識清明、見当識正常

・鎮痛剤使用なし

・眼科受診にて糖尿病網膜症(軽度)の指摘あり

 

<解釈・分析(A)>

「両足がじんじんしびれている」、「夜になると特に気になって眠れない」、「目がかすむ」という訴えや、両下肢の持続的なしびれ・感覚鈍麻、NRS 3〜4/10などから、疼痛や感覚の異常、視覚機能の低下がみられる状態(逸脱)であると考えられる。

 

これは、糖尿病性末梢神経障害による感覚の異常や、糖尿病網膜症による視覚機能の低下が原因と考えられる。また、夜になるとしびれが強くなることで、睡眠が妨げられている可能性もある。

 

このまま疼痛や感覚異常、視覚低下が続くと、睡眠障害の悪化や活動量の低下、転倒リスクの増加などの可能性が懸念される。

 

したがって、疼痛やしびれの評価と管理、夜間の症状への対応、視覚低下に合わせた環境調整、糖尿病性神経障害や網膜症についての教育的支援が必要である。

 

Point

疼痛の強さ(NRS)だけでなく、タイミングや場所、持続時間も合わせて記録しましょう。疼痛が他のパターン(睡眠・活動・気分)に与えている影響も意識しながら情報収集できると、関連した看護問題が抽出しやすくなります。

 

なお、このパターンでは疼痛のほかに、視力・聴力の低下や認知機能の変化も評価します。補聴器や眼鏡の使用状況、会話の理解度なども合わせて確認しておきましょう。

7. 自己知覚ー自己概念パターン

病気や入院による自己イメージの変化、不安・抑うつ、自尊感情を評価するパターンです。患者さんの内面に関わる内容が多いため、信頼関係を築いたうえで話を聴くことが大切です。

 

主な収集項目

  • 疾患や入院に対する思い・受け止め方
  • ボディイメージの変化(手術後・外見の変化など)
  • 自尊感情・自己効力感の変化
  • 不安・抑うつの有無

 

自己知覚ー自己概念パターン

<主観的データ(S)>

「自分の管理が悪いから悪化させてしまった。家族にも心配かけて、情けない」(疾患や入院に対する思い・受け止め方)

「浮腫でズボンがきつくなって、自分の体がこんなに衰えているとは思わなかった」(ボディイメージの変化)

「このまま悪くなって透析とかになったらと思うと、正直怖い」(不安・抑うつの有無)

 

<客観的データ(O)>

・自責的な発言が複数回聞かれる

・表情に暗さあり、ため息が多い

・本人によると、入院前は職場・家庭ともに中心的な役割を担っていた

・体型の変化に驚いた様子の発言あり

・病状の進行(透析導入など)に対する不安の訴えあり

 

<解釈・分析(A)>

「自分の管理が悪いから悪化させてしまった」、「家族にも心配かけて情けない」という自責的な発言や、浮腫による体型の変化へのショック、透析への不安、表情の暗さやため息の多さなどから、自己概念が低下し、不安が強くなっている状態(逸脱)と考えられる。

 

これは、糖尿病が悪化したことへの自責感や、体型の変化によってこれまでの自己イメージが揺らいでいること、さらに病状が進むことへの恐怖が原因と考えられる。また、入院前は職場や家庭で中心的な役割を担っていたため、その役割を果たせないことで心理的な負担を大きく感じていると考えられる。

 

このまま自責感や不安が続くと、療養意欲が下がったり、治療に消極的になったりする可能性がある。

 

したがって、自責感に寄り添いながら病状の経過を正しく理解できるよう支援すること、将来への不安を軽くするための情報提供や相談支援が必要である。

 

Point

このパターンは、患者さんが自分から話してくれるとは限りません。「入院してみて、気持ちはいかがですか?」「気になっていることや不安なことはありますか?」といった、オープンな質問から始めてみましょう。

 

表情・態度・涙など、非言語的なサインも大切なO情報になります。

8. 役割-関係パターン

家庭・職場・社会での役割と、入院による役割変化、家族関係・サポート体制を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 家族構成・キーパーソン
  • 家庭内・職場での役割
  • 入院による役割変化と本人の受け止め方
  • 家族の協力体制・面会状況
  • 社会的サポートの有無

 

役割-関係パターン

<主観的データ(S)>

「部下のことが心配で。自分がいないと仕事が回らないと思うと、こんなに長く休んでいられない」(職場での役割)

 

<客観的データ(O)>

・58歳、会社員(営業部長)

・妻・子ども2人と同居

・入院2週間経過

・面会は妻が週2〜3回

・職場からの連絡が入ることあり

 

<解釈・分析(A)>

「自分がいないと仕事が回らない」、「こんなに長く休んでいられない」という発言や、営業部長として強い責任感を持っていること、職場から連絡が入る状況などから、職場での役割への負担が大きく、入院によって役割を果たしにくいと感じている状態(逸脱)と考えられる。

 

これは、管理職としての責任感の強さや、職場への影響を心配する気持ち、役割を果たせないことによる喪失感が原因と考えられる。また、入院が2週間続いていることで、役割から離れる不安がさらに強くなっていると考えられる。

 

このまま役割への不安や焦りが続くと、療養に集中しづらくなったり、治療への意欲が下がったり、精神的な負担が大きくなる可能性がある。

 

したがって、役割喪失感に寄り添いながら療養の必要性を理解できるよう支援すること、職場との連絡調整について相談できる環境づくり、家族との関係を活かした心理的サポートが必要である。

 

Point

「誰が面会に来ているか」だけでなく、「家族とどんな会話をしているか」「家族からどんな言葉をかけられているか」も観察しましょう。

 

入院が長期化すると、家族関係や家庭内の役割分担が変化することもあります。必要に応じて、家族へのサポートも視野に入れましょう。

9. セクシュアリティー生殖パターン

性と生殖に関する機能・満足感・疾患や治療による影響を評価するパターンです。

 

主な収集項目

  • 疾患や治療(手術・化学療法・放射線など)がセクシュアリティ・生殖機能に与える影響の有無
  • 本人が感じている不安・関心の有無
  • 月経状況・妊娠・出産歴

 

セクシュアリティー生殖パターン

<主観的データ(S)>

(直接的な訴えなし)

 

<客観的データ(O)>

・既婚、子どもは2人

 

<解釈・分析(A)>

セクシュアリティ・生殖に関する直接的な訴えはなく、現時点ではセクシュアリティ・生殖に関する問題はみられない(正常)と考えられる。また、セクシュアリティ・生殖に影響するような原因も見られないことから、療養中は大きな支障が出る可能性は低いと考えられる。

 

したがって、必要に応じてプライバシーや性生活に関する相談ができる環境を整え、本人が話しやすいタイミングで情報を得られるよう支援していく。

 

Point

質問しにくいと感じるかもしれませんが、婦人科・泌尿器科疾患や、ストーマ造設・化学療法など身体イメージに影響する治療では重要な項目です。

 

疾患に直接関連しない場合や訴えがない場合は、無理に聞き出さなくても問題ありません。

10. コーピングーストレス耐性パターン

現在のストレス要因と、ストレスへの対処法、サポート体制を評価するパターンです。患者さんの内面に関わるため、ある程度の信頼関係が必要になります。

 

主な収集項目

  • 現在感じているストレス・不安の内容
  • これまでのストレス対処法(趣味・相談相手など)
  • ソーシャルサポートの有無と活用状況
  • コーピングの有効性

 

コーピングーストレス耐性パターン

<主観的データ(S)>

「仕事のことも体のことも考え出すと止まらなくて、気が休まらないんです。妻には心配かけたくないから、あまり言えないけど」(現在感じているストレス・不安の内容)

「家では晩酌しながら野球中継を見るのが唯一の息抜きだったけど、ここではそれもできないから」(これまでのストレス対処法)

 

<客観的データ(O)>

・不安の訴えあり

・夜間中途覚醒が複数回確認されている

・面会時、妻との会話は日常的な話題が中心

・入院前は飲酒をしながらのスポーツ観戦がストレス発散方法だったとの発言あり

 

<解釈・分析(A)>

「考え出すと止まらない」、「気が休まらない」という訴えや、妻に心配をかけまいとして不安を言えない状況、夜間の中途覚醒が続いていること、日中の不安の訴えなどから、ストレスが高く、十分に対処できていない状態(逸脱)と考えられる。

 

これは、仕事と病状の両方への不安や、家族への気遣いから気持ちを表に出しにくいこと、さらに入院中はこれまでのストレス対処法(晩酌しながら野球を見る)ができないことが原因と考えられる。また、不安やストレスは、入眠や睡眠の妨げとなることから休息-睡眠パターンにも影響していると考えられる。

 

このままストレスが高い状態が続くと、不安がさらに強くなったり、睡眠障害が悪化したり、治療に集中しづらくなったり、精神的な負担が積み重なる可能性がある。

 

したがって、不安の内容を安全に表出できる環境づくり、入院中でも実施可能なストレス対処法の提案、家族とのコミュニケーション支援、睡眠状況の評価と休息の調整が必要である。

 

Point

「どんなときに不安を感じますか?」「不安なとき、どうやって気持ちを落ち着かせていますか?」といった質問を試してみてください。

 

「音楽を聴く」「散歩する」など、ストレスの対処法がある場合は、入院中にも活用できる環境を整えるヒントになります。

11. 価値ー信念パターン

患者さんが人生で大切にしていること・信念・生きがいを評価するパターンです。治療の意思決定にも影響するため、丁寧に確認しましょう。

 

主な収集項目

  • 人生で大切にしていること・生きがい
  • 治療に影響する価値観(手術拒否・輸血拒否など)
  • 宗教的信念・文化的背景
  • 今後の生活に対する希望・目標

 

価値ー信念パターン

<主観的データ(S)>

「部下のためにも早く職場に戻りたい。自分にしかできない仕事があると思っているので」(人生で大切にしていること・生きがい)

「透析まではいきたくない。それだけは避けたい」(今後の生活に対する希望・目標)

 

<客観的データ(O)>

・職場復帰への強い意欲を繰り返し表明している

・透析回避を目標とした発言あり

・特定の宗教的制約なし

・治療経過と復帰の見込みについては主治医から説明済み

 

<解釈・分析(A)>

「部下のためにも早く職場に戻りたい」、「自分にしかできない仕事がある」という発言や、「透析は避けたい」という目標などから、仕事への使命感と病状悪化を防ぎたいという価値観がしっかりと形成されている状態(正常)と考えられる。

 

職場復帰への強い思いがあり、「透析は避けたい」という明確な目標も持っているため、治療や自己管理への意欲につながる価値観が確立している点は強みといえる。一方で、回復が思ったように進まない場合には、心理的に落ち込んだり、失望感が強くなる可能性もある。

 

したがって、本人の価値観を尊重しながら現実的な目標を一緒に考えていけるよう支援すること、治療の見通しを適切に共有して心理的負担を軽くすること、価値観を治療意欲につなげられるような相談支援が求められる。

 

Point

「大切にしていること」「生きがい」は、いきなり聞くと唐突に感じられることがあります。

 

「退院後はどんな生活を送りたいですか?」「今、一番気になっていることは何ですか?」といった自然な質問からつながることが多いです。

 

患者さんの価値観を理解することで、個別性のある看護計画を立てるヒントになります。

アセスメントのテンプレート

「例文を見ても、情報の解釈・分析がうまく書けない」という学生さんは、ぜひ次のテンプレートを活用してみてください。穴埋めしていくだけで、論理的な文章を書くことができます

アセスメントのテンプレート。ゴードンVer.。1.状態の判断:「S情報・O情報」がみられることから、「正常or逸脱」と考えられる。2.原因の分析(異常の場合のみ):これは、「患者さんが直面している問題や課題・周囲の要因」が原因と考えられる。3.強み(ある場合のみ):一方で、「患者さんの言動・状態」という点は、強みと考えられる。4.今後の見通し:このまま「逸脱の状態」が持続すると、「予測されるリスクや課題」につながる可能性がある。5.必要な援助:したがって、「必要な看護介入」が求められる。

【例】

1.「夜中に何度も目が覚める」との訴えがあり、睡眠時間は4時間程度であった。このことから、睡眠の質・量ともに不足している状態(逸脱)と考えられる。


2.これは、「人が多くて落ち着かない」「寝ようとしても足が痛くて…」という発言の通り、入院に伴う環境の変化や両下肢の疼痛によるものと考えられる。


3.一方で、日中に軽い運動を取り入れようとしている点は、強みと考えられる。


4.このまま睡眠不足が持続すると、日中の活動低下や回復遅延につながる可能性がある。


5.したがって、疼痛緩和や睡眠環境の調整が求められる。

 

情報の解釈・分析の段階では、「どのような看護介入が必要か」を必ずしも書かないといけないわけではありません。

 

また、患者さんの強みについてもなければ記載は不要です。

 

一方で、必要な情報が不足している場合は、「〜について情報を収集する必要がある」と書き出しておきましょう。

 

【一覧表】ゴードンの11の機能的健康パターンと項目例

パターン 収集項目
健康知覚─健康管理 ・疾患・治療への理解度
・服薬状況・自己管理の実施状況
・受診行動(定期受診しているか)
・喫煙・飲酒・食習慣
栄養─代謝 ・食習慣
・食事摂取量・食欲の変化
・水分摂取量
・体重の変化(入院前との比較)
・血液データ(栄養:アルブミン・総タンパク・ヘモグロビンなど、免疫:WBC・CRPなど)
・皮膚の状態(乾燥・浮腫・褥瘡リスク)
・摂食・嚥下機能
排泄 ・排便回数・性状(ブリストルスケール)
・排尿回数・尿量・性状
・下剤・排尿補助薬の使用状況
・排泄の自立度(介助の有無)
・失禁・尿閉の有無
活動─運動 ・ADLの自立度(食事・移動・更衣・入浴・排泄)
・活動制限の有無と理由
・バイタルサイン(呼吸機能・循環機能、動作時の変動)
・血液データ(RBC, Hb, Htなど)
・転倒リスク(歩行状態・筋力・バランス)
・入院前の運動習慣との比較
睡眠─休息 ・睡眠時間・就寝・起床時刻
・中途覚醒の有無と原因
・睡眠薬の使用状況
・日中の眠気・倦怠感
・入院前の睡眠状況との比較
認知─知覚 ・意識レベル(JCS・GCS)
・見当識(時間・場所・人物)
・疼痛の有無・程度・性状(NRS・VAS)
・視力・聴力・コミュニケーション能力
・認知機能の変化
自己知覚─自己概念 ・疾患や入院に対する思い・受け止め方
・ボディイメージの変化(手術後・外見の変化など)
・自尊感情・自己効力感の変化
・不安・抑うつの有無
役割─関係 ・家族構成・キーパーソン
・家庭内・職場での役割
・入院による役割変化と本人の受け止め方
・家族の協力体制・面会状況
・社会的サポートの有無
セクシュアリティ─生殖 ・疾患や治療(手術・化学療法・放射線など)がセクシュアリティ・生殖機能に与える影響の有無
・本人が感じている不安・関心の有無
・月経状況・妊娠・出産歴
コーピング─ストレス耐性 ・現在感じているストレス・不安の内容
・これまでのストレス対処法(趣味・相談相手など)
・ソーシャルサポートの有無と活用状況
・コーピングの有効性
価値─信念 ・人生で大切にしていること・生きがい
・治療に影響する価値観(手術拒否・輸血拒否など)
・宗教的信念・文化的背景
・今後の生活に対する希望・目標

 

監修

神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科 講師長島俊輔

2010年 京都大学 卒、2010~2013年 京都大学医学部附属病院(看護師)、2018年 京都大学大学院医学研究科博士課程 修了、2018年 京都大学大学医学研究科 助教、2019~2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部助教、2022年 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 講師(現職)。著書に『系統看護学講座 専門分野 基礎看護学[4] 臨床看護総論 』『よくわかる 看護研究の進め方・まとめ方 第3版』。

 

編集:北井寛人(看護roo! 編集部)

デザイン:原田 誠一朗

 

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