認定看護師としての働き方
認定看護師の働き方
最後に、認定資格をとった看護師さんのそれぞれの働き方をご紹介しましょう。
認定看護師の働き方は、施設によって、また個人によって様々です。というのも、現状認定看護師の活動として特別に定義されているものは無く、各自が認定看護師の役割『実践・指導・相談』を果たすべく、施設と話し合いながら新たな働き方を作り出しているためです。
- Aさん(緩和ケア認定看護師)
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緩和ケアチームに所属(専従勤務)
- 週1回、各種医療スタッフからなる緩和ケアチームで病棟をラウンド
- 緩和ケアの必要な患者および家族に対する直接ケア(病棟・外来)
- 緩和ケア相談窓口を開設
- 在宅療養が可能な患者に関して訪問看護師との連携
- 診療所からの患者さんのケアに関する質問に対応
- 緩和ケアリンクナースの育成
- 院外セミナーの講師
- Bさん(皮膚・排泄ケア認定看護師)
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外科・泌尿器科病棟に所属
- 病棟勤務をしながら、週1回認定看護師としての活動日を設け、医師・栄養師・薬剤師などと連携して褥瘡回診やストーマ外来を実施
- 病棟・外来看護師から随時相談を受け、スタッフとともに直接ケア。
- 月1回、院内勉強会を開催
- Cさん(感染管理認定看護師)
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感染対策室に所属(専従勤務)
- 院内をラウンドし、感染対策上の問題がないか点検。
- 感染症発生者を把握し、適切な感染対策が行えているかの確認。
- 感染対策に必要なマニュアルを作成・改訂
- 院内感染の発生率を調査し、感染対策が適切かどうかの確認。
- 病院職員の針刺し予防やワクチン接種など、職業感染を予防。
- 院内学習会を開催
- Dさん(認知症看護認定看護師)
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回復リハビリテーション病棟に所属
- 特別な活動時間は設けず、日々の業務の中で認知症看護を展開。病棟スタッフ、リハビリスタッフに対して対応の仕方、考え方を伝える。
- 院内のスタッフに対して研修会を実施
以上、4例ご紹介しましたが、認定看護師の働き方の特徴として、教育指導の機会が多いこと、また組織を横断しての活動が多いことがあげられます。活動範囲は病棟・外来さらには診療所や訪問看護ステーションとの連携や外部向けコンサルテーションと幅広く、看護師だけでなく医師・コメディカルなど多くの職種と協同で活動するため、その影響力は大きく、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。
認定看護師になって何が良かった?
認定看護師になることの一番の魅力は、やはり自分の興味がある分野での高度な知識とスキルが身に付くことでしょう。また資格を取ることで、その分野で継続的に活動ができるのも大きなポイントです。
「自分の領域については先生よりも詳しいので、治療および看護にあたって対等に話し合うことができる。」
「実践している看護は同じでも、根拠に基づいてきちんと説明できるようになったことで以前よりも信頼が得られるようになった。」
「全国に仲間がいることで、インターネットや誌面だけではなかなか得られない情報交換ができる。実際に他病院で実践されている、すぐに使える内容が多いので非常にためになる。 」
もうひとつのポイントは教育課程を通して看護の原点に立ち返れることです。
多くの認定看護師が「自分の看護観を見つめなおす機会になった。」と言います。
資格取得には、時間も費用もかかりますが、半年かけて「自分はどんな看護をしたいのか」を明確にしておくのは、長いキャリアの中で貴重な指針となるでしょう。
日々、高度化・専門化が加速している医療現場。インターネットの普及で患者自身も病状に詳しく、時にはあふれる情報に混乱している患者に出くわすケースもあるでしょう。
「自分を頼る患者さんの役に立ちたい」「もっと幅広いケアを身に付けたい」と望む看護師さんにとって、認定看護師教育課程は、実践的・専門的な知識が身に付く最良の手段と言えます。
少しでも興味があるなら、早速自分の興味のある分野についてリサーチを始めましょう。意思のあるところに必ず道は開きます。
働かないと資格失効!?認定看護師資格の更新について
認定看護師はそのレベル保持のため5年ごとの認定更新制を施行しています。
この更新審査にも受験資格があり、過去5年間の看護実践と自己研鑚の実績が問われます。
ただ資格を持っているだけで、勤務実績が無い場合には資格は失効してしまいます。
(病気その他やむを得ない理由がある場合は、認定期間の延長申請が可能です)
更新審査にあたっては審査料3万円と各種申請書類、さらに認定料2万円が必要です。
認定看護師の資格更新について
(日本看護協会のサイトに移動します)