難病看護師とは?資格取得方法や役割、求められるスキルを解説

看護師が取りたい資格図鑑「難病看護師」を解説する記事のMV

難病看護師は、現在の医療では治療することが極めて困難な「難病」看護のスペシャリストです。

 

この記事では、難病看護師の資格取得の方法や求められるスキル、メリットなどを詳しく紹介します。

 

 

 

難病看護師とは

難病看護師は、難病看護のプロフェッショナルを養成するための資格です。日本難病看護学会が認定・運営しています。

 

難病看護師の資格取得によって、難病に関する専門的な知識、看護技術、福祉サービスの活用方法に関する理解などが得られます。

 

2013年の制度開始から毎年30~50人の難病看護師が誕生しており、日本の難病看護の資質向上に貢献しています。

 

 

難病看護師の資格を取るには

難病看護師の資格は、指定された講習を受講し、修了試験に合格することで取得できます。申請の方法から登録までの流れについて詳しく紹介します。

 

出典:日本難病看護学会「難病看護師制度

 

難病看護師の申請資格は?

難病看護師の資格を取得するには、まずは日本難病看護学会に申請資格があることを証明する必要があります。

 

申請には、以下の条件を満たしていなければなりません。

 

  • 看護師として5年以上の実務経験
  • 難病看護領域の3年以上の実務経験
  • 日本難病看護学会への入会

 

申請時には履歴書や推薦状、看護師免許証の写しのほか、所定のフォーマットを利用して「実践報告書」を作成します。

 

実践報告書は、1事例につきA4用紙2枚ほどの文章を2事例用意する必要があります。

 

合否の判定にも使用されますので、早めの段階から報告書作成の計画を立てておいた方がよいでしょう。

 

申請条件や提出書類について詳しくは日本難病看護学会の公式サイトを確認しましょう。

 

 

 

難病看護師の資格審査は?

提出した書類をもとに、学会の認定委員会によって申請資格の審査が行われます。審査によって認定資格が認められると、郵送で以下の2点が送られてきます。

 

  • 研修会の受講決定通知書
  • 認定審査料の請求書

 

なお、認定審査料は2024年2月時点で30,000円です。

 

 

「認定研修会」の内容は?

試験の前に、日本難病看護学会が開催する16時間の「認定研修会」を受講します。

 

研修は、難病に関して基礎から実践で必要な知識まで学べる内容です。具体的には、以下のようになっています。

 

「認定研修会」のカリキュラム

科目 研修内容
基礎科目 1.人権と倫理
2.難病とは何か(制度・難病対策含む)
3.対象の理解
4.マネジメント
疾病と治療の理解 1.疾患の理解
2.症状と障がい
3.治療
4.治療薬の理解
看護実践 1.フィジカルアセスメント
2.看護計画の立案と評価
3.日常生活の援助と医療処置
4.生活場面・状況別支援
5.療養場所による看護実践の特徴
難病の地域保健 1.難病の地域アセスメント
2.難病における保健所の役割
3.難病医療ネットワーク
4.地域ケアシステムの構築
5.患者会の支援

出典:日本難病看護学科「難病看護師制度

 

講義はオンデマンド方式、演習はzoomによるオンライン方式で実施されます。

 

 

「修了試験」の内容は?

修了試験は、東京の指定会場で、対面のみで実施されます。試験時間は1時間です。4択もしくは3択からの選択式で、研修会で学んだ内容が30問出題されます。

 

合否は、修了試験後に届く「認定審査結果通知書」によってわかります

 

なお、難病看護師の資格の有効期限は5年間で、更新が必要です。更新は5年目の期限内に行います。

 

 

難病看護師取得のメリット

ここからは、難病看護師を取得するメリットについて詳しく解説していきます。

 

難病看護師取得のメリットを解説した図版。1)難病看護に自信を持てる、2)転職する際の強みになる、3)院外や地域でも活躍できる

 

1難病看護に自信を持てる

資格取得の過程で難病の患者さんに関わる知識やスキルが身につくため、自分の看護に自信を持てるようになります。

 

難病看護では、難病の病状・病態を看護師が理解するのが難しく、それによって患者さんへの説明・コミュニケーションもうまくいかないといったケースが少なくありません。

 

難病看護師の資格取得前に行う試験対策や試験前に受講する「認定研修会」での学習と演習で、難病の特徴や治療方法に特化して学ぶことができます

 

専門的な知識や技術を深められれば、病状・病態の理解も進み、難病の患者さんに対して自信を持って看護を行うことができるでしょう。

 

 

2転職する際の強みになる

難病看護師の資格を取得すると、専門性の高い知識と経験を持っていると証明でき、転職する際のアピールポイントにすることができます。

 

病院や施設によっては資格手当を設けているため、給料アップにつながることもあるでしょう。

 

 

3院外や地域でも活躍できる

難病看護師は、難病の患者さんが地域で療養生活を送りやすくするために、院外や地域で積極的に活動する役割があります。

 

例えば、難病の患者さんを受け持つ訪問看護ステーションの相談を受ける、院外の医療従事者や難病の患者さんのご家族を対象とした研修会を開くなど、難病看護師の専門性はさまざまな場で役立てられます。

 

院外や地域での活動は自身のキャリア構築につながり、難病の患者さんやご家族が生活しやすい環境の構築にも貢献できるでしょう。

 

 

難病看護師に求められるスキルとは

難病看護師にはどのようなスキルが必要なのでしょうか。ここでは、難病看護師に求められるスキルについて詳しく紹介します。

 

難病看護師に求められるスキルを解説した図版。1)難病に関する専門的な知識・スキル、2)メンタルサポートのためのコミュニケーション能力、3)チームケアを先導するリーダーシップが必要

 

1専門的な知識・スキル

 難病看護師は、難病に関する知識を持ち、患者さんとご家族に制度やサービスの活用を助言したり、関係機関との連携を深めたりする役割を担います。

 

難病は疾患によってさまざまな症状があり、それぞれの症例数も多くありません。また、長期にわたり療養を必要とする病気ですが、進行の度合いは患者さんによって大きく異なります。

 

個々の患者さんのニーズに合わせた適切な看護を提供するには、難病看護師が持つ専門的な知識やスキルが求められます。

 

 

2メンタルサポートのためのコミュニケーション能力

難病看護師は、患者さんやご家族の抱えきれない不安を把握し、表出しやすいように働きかける必要があります。

 

そのため、難病看護師には知識やスキルだけでなく、コミュニケーション能力も求められます。

 

患者さんやご家族の不安を傾聴し、よりよい療養生活を送れるようにサポートすることが難病看護師の重要な役割です。

 

 

3チームをまとめるリーダーシップ

難病の患者さんが最適な療養環境を整えられるように、難病看護師にはリーダーシップが求められます。

 

難病の患者さんのケアでは、自分に専門的な知識・スキルが身についているだけでなく、チームメンバーや多職種も十分な知識を持っていることが重要です。

 

そのため、難病看護師はチームメンバーや多職種に対して教育や研修を行い、関係者が十分な知識を持てるようにリーダーシップを発揮する必要があります。

 

 

まとめ

難病看護師は、専門的な知識やスキルを身につけているため、難病の患者さんやご家族に対して質の高い看護を提供できます

 

難病看護に携わる看護師さんのスキルアップにおすすめの資格です。活躍の場が院内外に広がり、やりがいにもつながるでしょう。

 

執筆:看護roo!編集部

 

 

 

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