正答率が低い問題10|第113回看護師国家試験

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第113回看護師国家試験 正答率が低い問題10

 

https://www.kango-roo.com/work/9680/

2024年3月22日14時、厚生労働省は「第113回看護師国家試験」の合格発表を行いました1)

 

看護roo!のデータをもとに正答率が低かった問題を紹介します。

 

※看護roo!が実施した『ライブ合格判定サービス』の利用者5万839人のデータを用いています。なお、小数点第二位以下は四捨五入しています。

 

 

 

1 正答率11.0%【午前問題77】

最も正答率が低かったのは、小脳の解剖生理に関する【午前問題77】です。

 

【午前問題77】小脳の機能はどれか。

1.睡眠と覚醒
2.姿勢反射の中枢
3.振動感覚の中継
4.随意運動の抑制
5.下行性の疼痛抑制

 

厚労省の正答は「4.随意運動の抑制」でしたが、「2.姿勢反射の中枢」を選択した人が9割近くに上りました。

 

小脳は姿勢反射の調整を行っており関与はしていますが、姿勢反射の中枢は「中脳」です。

 

 

2 正答率11.2%【午後問題76】

2番目に正答率が低かったのは、直腸の解剖生理に関する【午後問題76】です。

 

【午後問題76】直腸の構造で正しいのはどれか。

1.陰窩には胚細胞が存在する。
2.粘膜の表面には絨毛がある。
3.縦走筋は結腸ヒモを作る。
4.肛門管は血管が少ない。
5.肛門管は内腔が広い。

 

厚労省の正答は「1.陰窩には胚細胞が存在する。」でしたが、解答が複数の選択肢で割れ、特に「3.縦走筋は結腸ヒモを作る。」を選択した人が約4割で最も多くみられました。

 

3の選択肢の縦走筋が結腸ヒモを作ること自体は合っていますが、問題は結腸ではなく直腸の構造について問うているため、不正解となっています。

 

 

3 正答率11.7%【午前問題27】

3番目に正答率が低かったのは、舌の解剖生理に関する【午前問題27】です。

 

【午前問題27】舌の模式図を示す。味蕾が少ない部位はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

味蕾が少ない部位を問う問題の画像

 

厚労省の正答は「2.②」の舌の真ん中部分ですが、「4.④」の舌の両奥の外側部分を選択した人が4割強、「3.③」の舌の奥が3割、「1.①」の舌先が2割弱と、解答にばらつきがみられました。

 

 

4 正答率11.9%【午後問題45】

4番目に正答率が低かったのは、針刺し事故に関する【午後問題45】です。

 

【午後問題45】ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に汚染された注射針による針刺し事故の感染率で正しいのはどれか。

1.40%
2.10%
3.2%
4.0.3%

 

厚労省の正答は「4.0.3%」ですが、解答が割れ、「2.10%」と解答した人が4割強、「3.2%」と解答した人が2割強、「2.10%」を選択した人が約2割でした。

 

針刺し事故による感染率は、B型肝炎ウイルスが30%程度、C型肝炎ウイルスが3%程度であるのに対し、HIVは0.3%程度といわれており2)、その理解を問う問題でした。

 

 

5 正答率16.5%【午前問題76】

5番目に正答率が低かったのは、乳房の解剖生理に関する【午前問題76】です。

 

【午前問題76】乳房について正しいのはどれか。

1.月経前に乳房が張りやすいのはエストロゲンの影響である。
2.乳腺周囲の平滑筋はオキシトシンによって弛緩する。
3.乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。
4.乳房は褐色脂肪組織である。
5.乳管は乳汁を産生する。

 

厚労省の正答は「3.乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。」ですが、解答が複数の選択肢で割れ、「1.月経前に乳房が張りやすいのはエストロゲンの影響である。」を選択した人が最も多く、4割を超えていました。

 

乳房が張りやすいのはプロゲステロンの影響です。

 

 

6 正答率19.1%【午後問題79】

6番目に正答率が低かったのは、もやもや病に関する【午後問題79】です。

 

【午後問題79】もやもや病について正しいのはどれか。

1.脳動静脈の奇形である。
2.浅側頭動脈の狭窄が原因である。
3.代償性の側副血行路が形成される。
4.ポリオウイルスの感染が関与する。
5.Willis〈ウィリス〉動脈輪への血栓塞栓で生じる。

 

厚労省の正答は「3.代償性の側副血行路が形成される。」ですが、「1.脳動静脈の奇形である。」を選択した人が4割近くに上りました。

 

もやもや病は原因不明の進行性の脳血管閉塞です。一方、脳動静脈奇形は先天性疾患です。

 

 

7 正答率19.3%【午前問題82】

7番目に正答率が低かったのは、労働者災害補償保険法に関する【午前問題82】です。

 

【午前問題82】労働者災害補償保険法に規定されている保険者はどれか。

1.国
2.事業主
3.市町村
4.都道府県
5.健康保険組合

 

厚労省の正答は「1.国」ですが、「2.事業主」を選択した人が4割を超えていました。

 

労働者災害補償保険法の第二条で「労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。」と定められています。

 

 

8 正答率24.6%【午前問題51】

8番目に正答率が低かったのは、高齢者の医療の確保に関する法律に関する【午前問題51】です。

 

【午前問題51】高齢者の医療の確保に関する法律の内容で正しいのはどれか。

1.医療の給付は市町村が行う。
2.高齢者は一律3割の医療費を自己負担する。
3.40歳以上の被保険者と被扶養者にがん検診を行う。
4.後期高齢者の医療給付の内容は国民健康保険と同じである。

 

厚労省の正答は「4.後期高齢者の医療給付の内容は国民健康保険と同じである。」ですが、「1.医療の給付は市町村が行う。」と解答した人が6割を超えていました。

 

高齢者の医療の確保に関する法律の第六十五条で、後期高齢者医療の療養の給付は保険医療機関等が行うとされています。

 

 

9 正答率27.9%【午前問題28】

9番目に正答率が低かったのは、労働力人口に関する【午前問題28】です。

 

【午前問題28】労働力調査における平成22年(2010年)と令和3年(2021年)の男性と女性の労働力人口の比較で正しいのはどれか。

1.男性、女性とも減少している。
2.男性、女性とも増加している。
3.男性は減少し、女性は増加している。
4.男性は増加し、女性は減少している。

 

厚労省の正答は「3.男性は減少し、女性は増加している。」ですが、「2.男性、女性とも増加している。」と回答した人が半数を超えていました。

 

平成22年の労働力人口は、男性は 3822 万人、女性は 2768 万人。 令和3年の労働力人口は、男性は3803万人、女性は3057万人。

男性は減少し、女性は増加しています。

 

 

10 正答率29.8%【午後問題95】

10番目に正答率が低かったのは非ホジキンリンパ腫の状況設定問題である【午後問題95】です。

 

次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤を自覚した。大学病院で非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され化学療法導入目的で入院した。
バイタルサイン:体温37.1℃、呼吸数16/分、脈拍84/分、整。
身体所見:顔面に浮腫を認める。
検査所見:Hb12.8g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.1g/dL
胸部造影CT:縦郭リンパ節腫大による上大静脈の圧迫を認める。

 

【午後問題95】AさんはR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を受けた。 AさんのR-CHOP療法の初日に生じる可能性がある合併症はどれか。

1.脱毛
2.口内炎
3.低血糖
4.好中球減少症
5.腫瘍崩壊症候群

 

厚労省の正答は「5.腫瘍崩壊症候群」でしたが、「4.好中球減少症」「3.低血糖」「2.口内炎」の4つの選択肢で解答がかなり割れていました。

 

R-CHOP療法の初日に起こり得る合併症であることがポイントです。好中球減少症もR-CHOP療法の合併症ですが、投与から1~2週間たってから起こり得る合併症で、時期が異なります。

 

***

 

第113回看護師国家試験で正答率が低かった問題としては、解剖生理や社会保障に関する問題が多くみられました。

 

看護roo!編集部 坂本朝子

 

 

 

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