准看護師「資格は違うのに仕事は同じ」の矛盾は解消できるのか?医師会の提案

 

日本准看護師連絡協議会が立ち上がるなど、准看護師を取り巻く環境が大きく動きつつある中、日本医師会は「看護師と准看護師の業務内容を明確に区分すべき」という、一歩踏み込んだ新たな提言を行いました。

 

異なる資格であるにも関わらず、同じ業務を行っている現状の矛盾をついた報告書には、どのような提案がなされているのでしょうか?

 

医師会3つの提案

 

・看護師と准看護師の業務内容を明確に分ける

・看護師などの包括的指示の下、准看護師自身の判断で実施できる行為を設定する

・将来的には准看護師にも「特定行為」のような仕組みを創設する

 

提言は、日本医師会の医療関係者委員会がまとめた「地域包括ケアシステムにおける多職種連携の推進について―多職種の役割をいかに引き出すか―」に盛り込まれたものです。

 

 

「教育内容が違うなら、業務内容も分けるべき」

看護師と准看護師は、国家資格と都道府県知事の認可という資格取得方法の違いや名称の違いはあるものの、業務内容に明確な区別はありません。

 

実際の医療現場でも両者は同様の業務を行っている場合が多く、線引きはされていないのが現状です。

 

こうした状況に対して医師会は「両者の教育内容の違いから考えると、高度な知識・技能が必要な看護行為は看護師が行うべき」として、業務内容に“棲み分け”“が必要と指摘しました。

 

 

狙いは准看護師の“役割拡大”

医師会の主張では、業務を明確に区分することで、看護師は本来の業務に専念することができ、准看護師は地域包括ケアシステムの中でより積極的に活躍することができるようになるというものです。

 

診療の補助と療養上の世話のうち、看護師が担うのは高度な「知識」「判断」技能」を必要とする行為。

 

具体的には「看護のアセスメント」「看護診断」「看護計画」「看護介入」「看護評価・修正」――などは、看護師が行うべきとしています。

 

医師会が業務の区分を主張する目的は、「准看護師の役割を狭めるのではなく、役割を拡大」することです。

 

 

准看護師自身の判断で行える行為を

その具体的な方法として、医師・看護師の包括的指示の下で「准看護師自身の判断で行える行為を明確にすべき」と提案しています。

 

また看護師の特定行為についても触れ、同様の仕組みを准看護師に導入することも提案しました。

 

報告書ではアメリカの看護師と准看護師の業務分担を紹介することで、2つの資格の棲み分けについて解説しています。

 

 

アメリカでは両者の役割分担は明確

アメリカには日本の看護師に相当するRegistered Nurse(RN)と准看護師に相当するLicensed Vocational Nurse(LVN)またはLicensed Practical Nurse (LPN)があります。

 

RNは看護学士を持ち、国家試験の合格者。これに対してLVNは中等教育機関の卒業証書と1年間の州認可の教育プログラム終了によってなることが可能です。

 

 

准看護師の4割は介護施設に就労

両者は就業場所がそもそも異なり、RNの多くが病院などの医療機関で働くのに対して、LVNはおよそ4割が老人ホームなどの介護施設で働いています。

 

アメリカの労働省の職業ハンドブックには両者の業務内容の違いが明確に示されています。

 

RNの役割は患者教育や公衆教育、患者および家族へのアドバイスと精神的支援など。

 

具体的には「病歴の記録」「投薬」「看護計画の作成」「他の医療職との連携」「医療機器の操作」「外傷管理と家族への説明」「自宅療養についての説明」――などです。

 

LVNは「健康状態のモニター」「包帯交換やカテーテル挿入などの初歩的看護ケア」「入浴・着衣介助」「患者の思いを傾聴して医師・看護師へ伝達」――など、基本的ケア・療養体制を提供します。

 

 

准看護師がコメディカルスタッフへ指示することも

業務内容は州条約で決められていて、州によって実施できる項目とできない項目が異なります。

 

例えば「投薬」や「点滴」は、できる州とできない州があります。

 

また、研修を積んで経験が豊富な准看護師は、他の准看護師やコメディカルスタッフへ指示が出せると規定する州もあるようです。

 

 

准看護師の特定行為には“手順書不要”のご都合主義

このようにアメリカの例を示しながら、医師会は「さらなる在宅医療推進のためには准看護師が自分自身の判断で実施できる行為が定められることが必須」と結論付けます。

 

今回の医師会の報告書は、異なる資格であるにも関わらず同一の業務を行うという、看護師と准看護師の矛盾をついた格好になっています。

 

指摘には一理ある一方で、「准看護師に特定行為のような仕組みを導入した場合、高度な行為でないため“手順書”は不要」とするなど、雇用者に都合のよい仕組み作りも透けて見えます。

 

2025年に向けたマンパワー不足の解消に向けて、各団体が知恵を出し合うのは大切です。

 

ですが現場の看護師・准看護師の想いを抜きにして、より良い仕組み作りは難しいといえるでしょう。

 

【ライター:横井 かずえ】

 

(参考)日本医師会平成26・27年度医療関係者検討委員会報告書(pdf)

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