最終更新日 2019/08/20

狂犬病

狂犬病とは・・・

狂犬病(きょうけんびょう、rabies)とは、狂犬病ウイルスを保持するさまざまな哺乳類動物(イヌ、ネコ、コウモリなど)に噛まれたり引っ掻かれたりすることで起こる感染症である。人畜共通感染症の一つであり、全数報告対象である4 類感染症に定められている。

発展途上国ではイヌなどの動物による咬傷が原因の感染が多い。また咬傷が原因でない感染(大気に浮遊する粒子状となったエアロゾルとしてウイルスを吸い込んで感染)や、組織や臓器の移植での感染もまれに存在する。

アジア、アフリカでは狂犬病のイヌからの感染が多い。しかし、狂犬病ウイルスはイヌだけでなく、南米では野生の吸血コウモリ、北米およびヨーロッパなどではキツネ、アライグマ、スカンクなどの野生動物が保菌していることがある。

基本的に、ヒトからヒトに感染することはないため、患者から感染が拡大することはない。

【症状】
ウイルスはまず、噛まれた創傷部付近の筋肉細胞内で増殖し、やがて末梢神経細胞に侵入する。そして神経線維を中枢神経に向かって徐々に上行し、最終的に炎を発症して様々な神経症状を引き起こす通常、潜伏期間は1~3カ月で、最初は風邪に似た症状(頭痛、嘔気、倦怠感、微熱、咽頭痛)で発症する。その後、ウイルス感染部位を中心に特徴的な神経所見(感覚障害、疼痛、掻痒感)が出現する。初期症状が出現してから数日後に脳炎の発症、麻痺、痙攣などの神経症状が出現する。やがて呼吸障害などの出現によって昏睡状態となる。

【検査・診断】
診断には狂犬病の可能性のある動物に接触した(噛まれた、舐められた、引っ掻かれたなど)という接触機会があったかどうかが重要である。また、皮膚生検や唾液、脳脊髄液から直接ウイルスを検出することにより診断を確定することもある。鑑別診断のために頭部MRIや髄液検査を行うことも大切である。

【治療法】
現在、発症後の有効な治療法はなく、発症するとほぼ100%の確率で患者は死亡する。狂犬病ウイルスに曝露後、早期に曝露後予防接種(PEP)と適切な抗狂犬病ウイルス免疫グロブリンを投与すると、発症を防げることが報告されている。

【予防】
わが国は、狂犬病予防法の施行によって狂犬病の撲滅に成功した。このことから近年日本国内での感染例の報告はないが、旅行先などで感染する輸入例が時折報告されている。渡航の際は事前に狂犬病の予防接種を3回行い、現地では危険な動物に近づかないことが予防となる。

 

引用参考文献
1)“狂犬病”.厚生労働省.
2)“狂犬病対応ガイドライン2013”.厚生労働省.
3)“平成25年 政府行動計画・ガイドラインを踏まえた「医療機関における新型インフルエンザ等対策立案のための手引き」”.厚生労働省.
4)“2018年02月06日更新 狂犬病・予防接種のための新しい推奨事項-WHO” .厚生労働省検疫所FORTH.
5)“狂犬病”.日本旅行医学会.
6)“狂犬病とは”.感染症・予防摂取ナビ® .

執筆: 畑 菜摘

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科 救命救急センター

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