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2016年05月26日

JCS(ジャパン・コーマ・スケール)|知っておきたい臨床で使う指標[1]

臨床現場で使用することの多い指標は、ナースなら知っておきたい知識の一つ。毎回一つの指標を取り上げ、その指標が使われる場面や使うことで分かること、またその使い方について解説します。

根本 学
埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科診療部長

 

JCS(Japan Coma Scale)

今回の指標はJCS。JCSは1974年に「Ⅲ-3度方式」として発表されましたが、1975年に「3-3-9度方式」となり、1991年にJCSと改訂されました。

〈目次〉

 


JCS(Japan Coma Scale)

JCS Japan Coma Scale

 

JCSを主に使う場面と使用する診療科

JCSは院内だけでなく、病院前救護(プレホスピタル)の場も含めて広く使用されています。
救急外来や集中治療室では日常的に使用されており、医師、看護師であれば誰もが知っておかなければなりません。

 

JCSで何がわかる?

JCSは脳血管障害や頭部外傷の急性期にある意識障害患者の意識レベル、特に脳ヘルニアの進行を知ることに長けています。
「覚醒」を軸に、誰もが同じように評価できることを目的に開発された指標です。

意識状態を「昏迷/半昏睡/昏睡/深昏睡」と表現したり、「なんとなくおかしい/ぼーっとしている/まったく返事をしない」などと言っても、どのような状態かを厳密に伝えるのは難しいです。

特に脳血管障害(脳梗塞、クモ膜下出血など)や頭部外傷の急性期では、時間経過とともに意識レベルが変化するため、共通した評価方法で記録しておくことが重要です。

JCSを使い評価することで、誰もが意識状態を把握することが可能となり、状態の変化を見逃さないようにすることができます。

ただし、一次性脳障害、特に脳血管障害や頭部外傷の重症度や緊急度、あるいは進行度を知る目的で作成された評価指標であるため、精神状態を評価するには適していません。

 

JCSの使い方

かつてⅢ-3度方式あるいは3-3-9度方式とされていたように、JCSでは意識レベルを大きく「Ⅰ:刺激しないでも覚醒している」「Ⅱ:刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む」「Ⅲ:刺激しても覚醒しない」の3つに分け、それぞれに対してさらに細かく3段階の状態が決められています。

一般的には「Ⅰ-3」や「Ⅱ-20」あるいは「Ⅲ-300」と記載されていることが多いですが、正しくは「JCS 1」、「JCS 20」、「JCS 300」と記載します。

なお、意識が清明な場合は「0」と表現し(JCS 0)、不穏状態であれば「R:restlessness」、失禁があれば「I:incontinence」(JCS 20-RI、JCS 200-I)、無動性無言症(akinetic mutism)や失外套症候群(apallic state)があれば「A」を付記します(JCS20A、JCS200RA)。

 

さらにプラスα

JCSは「覚醒」を軸に主に急性期意識障害患者の状態を評価するために作成された指標であるため、二次性意識障害(肝性脳症、アルコール中毒など)や遷延性意識障害では正確に評価することは難しい。

 

実際に使ってみよう

症例1

24歳の男性。交通事故で搬送されてきた。
呼びかけで開眼せず、大きな声で呼びかけながら痛み刺激を加えると、かすかに開眼するがすぐに目を閉じてしまう。JCSを使って意識レベルを評価してください。

答え:JCS 30

「呼びかけで開眼せず」ということから覚醒していない状態、すなわち自発開眼はないと判断できるのでⅡ桁。

次に「呼びかけでは開眼せず、大きな声で呼びかけながら痛み刺激でかすかに開眼する」ということから30と判断できる。

→JCSを確認

 

症例2

56歳の女性。
いつもと様子が違うのに家族が気付き、自家用車で救急外来を受診した。自発開眼はしているが自分の名前や生年月日が言えない。着衣を観察すると失禁していることが分かった。JCSを使って意識レベルを評価してください。

答え:JCS 3-I

自発開眼していることからⅠ桁。自分の名前や生年月日が言えないので3と判断する。さらに「失禁」しているためIを付記する。

→JCSを確認

 

症例3

78歳の男性。高血圧性脳出血の診断で集中治療室に入院となった。
日勤者からの申し送りで意識レベルはJCS 10。午後10時過ぎに意識レベルを評価したところJCS 200-Iであったためすぐに当直医師に連絡した。このときの患者の状態は?

答え

JCSが200であることからⅢ桁、つまり刺激しても覚醒せず、痛み刺激に対して少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする状態。

→JCSを確認

 

 


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