ドラマ『透明なゆりかご』清原果耶・瀬戸康史インタビュー|産婦人科の光と影を見つめる

看護師として働く中で、産婦人科にどのようなイメージをもっていますか?

この夏、産婦人科を舞台にしたドラマ『透明なゆりかご』が放映されます。

本作で描かれるのは、喜ばしいだけではない、シビアな産婦人科の真実。

どんな気持ちでその厳しさに向き合ったのか、看護師見習い役の清原果耶さん、院長役の瀬戸康史さんに伺いました。

 

ドラマ『透明なゆりかご』に出演する清原果耶さんと瀬戸康史さんとかんごるーの全身ショットの写真。

 

 

看護師見習いを演じるうえでの覚悟

ドラマに対する思いを真剣な眼差しで語る清原果耶さんの写真。

 

ドラマ『透明なゆりかご』の主人公アオイは、高校の准看護学科に通う17歳。

この役柄を演じるにあたり、清原さんは看護学校に出向いて指導を受けたそうです。

 

清原:アオイは准看護学科で専門教育を受けている設定です。それに対して自分は無知すぎると思ったので「蓄えられるだけの知識を入れておこう」と覚悟を決めました。

 

なので、クランクインの前に看護学校に行き、実習を受けさせていただいたんです。

新生児を抱く方法や、沐浴、ミルクの飲ませ方などを学びました。

 

 

初めての医師役、最初に撮影したシーンが中絶手術だった

初めての医師役を演じるにあたり、印象に残ったシーンを話す瀬戸康史さんの写真。

 

アオイのアルバイト先、由比産婦人科の院長を演じるのは瀬戸康史さん。

撮影現場では、密な確認作業を大切にしているそうです。

 

瀬戸:初めての医師役で、初日の撮影がAUS(人工妊娠中絶手術)でした。

事前に勉強しようにも、出産にまつわる参考動画はあっても、中絶手術のものはないんです。

なので、現場に入って医療監修の先生(現役の産科医や看護師)から聞くしかありませんでした。

 

わからないところは、その都度、先生に聞いていきました。

器具の使い方や、分娩時の声のかけ方などすべてを細かく確認しています。

何しろわからないことだらけなので、撮影は毎回緊張感があります。

 

 

明るいイメージから一転、演じてみて知った産婦人科の奥深さ

清原:産婦人科に対するイメージは、出産の喜ばしい場面ばかりで、他のことは何も知らなかったんです。

台本を読んだ時、未受診妊婦や中絶にまつわる議論など、こんなにもずっしりと重たい現実があることを知りました。

 

産婦人科に対するイメージと現実とのギャップについて語る清原さんと瀬戸さんの写真。

 

瀬戸:僕も産婦人科には、どちらかというとハッピーなイメージをもっていました。

でも、台本を読んだ時、ボロボロ泣いてしまったんです。

助からない命について、中絶の背景について、読めば読むほど胸が詰まりました。

 

妊娠・出産という喜ばしい出来事だけじゃなく、さまざまな疾患を抱えて受診する患者さんがいることは、よく考えたら当たり前です。

ただ、これまで身近ではなかったので、衝撃を受けました。

 

 

“重い”テーマ。だからこそ、目をそらさないで見てほしい

作品に対する思いを語る瀬戸康史さんの写真。

 

瀬戸:僕の知り合いが原作を読んで『つらいからもう見たくない』と言っていました。

見ないという選択もあるけれど、勇気を出して目を向けてみれば、知ることができる現実がある。

それが、命や人生に対するより深い愛情につながることもあると思うんです。

 

重いテーマって、決して悪いことじゃない。

目をそらしたくなる現実に目を向ける大切さも、この作品が教えてくれるんじゃないかと思います。

 

 

自分が感じることを大切に演じたアオイ

ドラマ『透明なゆりかご』のワンシーン。赤ちゃんを抱きかかえようとする母親とそれを見守る清原さん演じるアオイ。

 

清原:今回、アオイを演じるにあたって、自分が台本を読んで感じた素直なリアクションも大切にしています。

 

専門教育を受けているとはいえ、17歳の女の子です。

患者さんと同じ感覚を持ち、患者さんと距離が近い存在としてアオイを演じたいと考えています。

 

瀬戸:僕から見てもアオイは物事をすごくピュアに受け止めるキャラクターです。

「知識があるから」と、患者さんに上から目線になる人もいると思うんですけど、彼女はそうじゃないです。

本当に寄り添って、接している人物なのだと思います。僕が演じる由比先生も同じです。

 

 

威厳よりも信頼感を重視した院長役

笑顔で撮影シーンの思い出を語る瀬戸さんと清原さんの写真。

 

瀬戸:院長役を演じるにあたっては、威厳よりも信頼できる人物としての姿を大切にしています。

由比先生はアオイと同じように患者さんの目線で物を言う人で、優しさがあるから厳しいことも伝えられる人物なんだと思います。

 

患者さんや看護師さんへの発言ひとつとっても、確かな医学知識に裏付けられていることが、伝わるように演じています。

 

 

命の喜びと、その責任のはざまで

振り返りこちらをじっと見つめるアオイのワンシーン。

 

清原:産婦人科では、命を支え、育てる現場にいられることの幸せも感じられると思います。

でもその分、看護師になるには大きな責任も預かる覚悟が必要なんですよね。

 

楽しいことばかりではないけれど、人として成長できる現場で過ごしたいからと、看護師を目指す方もいると思います。

このドラマを見て、一緒に頑張ってもらえるような作品を作りたいです。

 

瀬戸:看護師の方々には、日頃自分たちがしている仕事への誇りを感じてもらえたらと思います。

僕たちは、ドラマを通して疑似体験をしていますが、それだけでも胸が痛くなったり、嬉しかったりと本当にいろんな感情が湧き起こります。

喜びと責任のはざまにある大変なお仕事だと思いますが、その分とても尊い。

 

このドラマをみて、その尊さや仕事への誇りを感じてもらえたら嬉しいです。

 

 

ドラマ10「透明なゆりかご」(NHK総合)

ドラマ『透明なゆりかご』のPR写真。命と出会い、命を見送る。町の小さな産婦人科医院での物語。毎週金曜よる10時放送。原作 沖田✕華、脚本 安達奈緒子、キャスト 清原果耶、瀬戸康史、酒井若菜、マイコ、葉山奨之、水川あさみ、原田美枝子、他

◯毎週金曜よる10時

◯原作:沖田✕華

◯脚本:安達奈緒子

◯キャスト:清原果耶、瀬戸康史、酒井若菜、マイコ、葉山奨之、水川あさみ、原田美枝子、他

 

清原果耶(きよはら・かや)

2002年1月30日生まれ。

「アミューズオーディションフェス2014」グランプリ。

2015年9月からNHK連続テレビ小説『あさが来た』にレギュラー出演し、女優としてデビュー。

その後『3月のライオン』『ちはやふる -結び- 』など話題作に多数出演。 

 

瀬戸康史(せと・こうじ)

1988年5月18日生まれ。

近年の出演作品にドラマ「海月姫」(18年)や映画「ミックス。」(17年)などがあり、舞台「関数ドミノ」(17年)では文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。

今後は映画「寝ても覚めても」が9月1日に公開。10月から放送開始の連続テレビ小説「まんぷく」では神部茂役を演じる。

 

文/白石弓夏(看護師)

撮影/田実雄大(bridge)

編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

 

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