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2013年09月27日

タンザニアの妊産婦を救いたい!国際医療の現場に生きる助産師・マガフ範子さん【1】

「タンザニアで働いていた助産師に会える」と聞いて、取材陣が案内されたのは、ある産婦人科の病室。

 

ドアを開けると、小さな赤ちゃんを抱えた女性がそこにいました。

 

彼女がマガフ範子(なおこ)さん。

 

日本から約1万1千キロ離れた場所、アフリカ大陸にあるタンザニアで約3年間、日本人助産師として活動しました。

 

なんと取材日は、第二子であるダマス君の産後3日というタイミング。

 

「ちょうど授乳しておなか一杯になったから、静かに寝てくれてよかった」と、笑うマガフさんは優しい母の顔。

 

“1,000人の妊婦さんのうち、5~6人は亡くなってしまう”という過酷なタンザニアの地で働いていたイメージとは、どうしてもギャップがあります。

 

しかし、「私自身、こうして日本の恵まれた環境での出産を経験すると、タンザニアのことを思わずにはいられません。ここだったら、みんな助かるのに・・・」

と話すマガフさんは、やはり世界を知る「助産師」の顔でした。

 

今回のインタビューでは、タンザニアで活動をする中で感じたこと、母となって変わったこと。そして、これからのことなど、マガフさんにお話を伺ってきました。

 

タンザニア赴任時のマガフさん

 

第1回:妊産婦を救えない厳しい現実

 

「1つ1つの命を自分に選ぶ権利があるのか・・・」

「ンダラ病院」の小児病棟

 

子どものころ、ヒロインが看護師になるアニメ『キャンディ・キャンディ』にあこがれて、看護師を目指したというマガフさん。国際援助などにも関心があり、海外で働きたいという思いも強かったそう。

 

2つの思いがつながったのは、看護大学に入学した後でした。

 

「助産師のほうが、海外で働けるチャンスが多いわよ」との大学教授からの助言を受けて、助産師と保健師の資格を取得。

 

そして卒業後に3年半の臨床経験、さらに大学院での2年間を経たのちに、2007年9月、満を持してタンザニアの地に立ちました。

 

最初の赴任先は、タンザニア・中西部のタボラ州。200床を構える「ンダラ病院」の分娩室でした。

タボラ州は、タンザニアで最もインフラ整備が遅れており、教育や健康の水準が低い場所。

 

そこでは、日本の病院とは全く違う、厳しい医療環境がマガフさんを待っていました。

 

「病院には、電気も水道も満足にそろっていませんでした。電気は太陽光発電でまかない、水は雨季(10~4月)に貯めた水でやりくりをして、何とかオペを回していました」

 

日本とタンザニアのギャップに、マガフさんはとまどったと言います。

 

「必要な物品も全く足らないため、日常的なケアはおろか、救急時の蘇生さえうまくいきませんでした。

 

例えば、マラリアになり、重症貧血に陥った赤ちゃんが5人いても、投与できる輸血パックの数は1つしかなく、『それを誰にあげるのか』を選ばなきゃいけない。毎日が過酷な選択の連続。『1つ1つの命を、自分に選ぶ権利があるのか・・・』、そんな葛藤が続きました」

 

もともと分娩介助がしたくて助産師になったマガフさん。タンザニアでも、安全な分娩のお手伝いをすることが、ミッションだと考えていたそう。

 

しかし、分娩室で亡くなるたくさんの妊婦さんや赤ちゃんを目前にして、助けることができない自分に、やるせなさと、もどかしさを感じるようになりました。

 

妊婦健診で救える命がある

もがく日々のなかで、マガフさんは、ある妊婦さんと出会いました。

 

「17歳の妊婦さんでした。彼女が病院にやってきたとき、ひどい高血圧で、意識もほとんどなくて。妊婦健診も受けていないから、血圧コントロールはおろか、妊娠何週目かもわからない状態。

 

『この大きさだと30週ぐらいかな?』と推測するしかなくて。でも、推測できたとしても、もう手遅れで・・・」

 

すぐに帝王切開をしましたが、赤ちゃんを助けることはできず、母親も追いかけるように息を引き取りました。その17歳の妊婦さんのことが、今でも忘れられないと言います。

 

「本当に悔しかったです。早い段階で妊婦健診をしていれば助かる命でした。だけど、彼女のおかげで気づけたことがありました。

 

妊婦健診を徹底すれば、妊産婦死亡も、母子感染のリスクも減らせる・・・タンザニアの妊婦さんと赤ちゃんを救うためには、分娩室で待っているだけじゃダメだと思ったんです」

 

マガフさんは、分娩介助ではなく、妊婦健診活動に注力を入れることを決意し、次の赴任先「イプリ保健センター」へ向かいました。

 

【第2回に続く】妊産婦死亡阻止ための2つの活動

 

【看護roo!編集部】


【目次】

(1)妊産婦を救えない厳しい現実

(2)妊産婦死亡阻止ための2つの活動

(3)野菜作りで妊婦さんの鉄分補給!?

(4)活動中の給料や休日、今後の目標

 

【マガフ範子(なおこ)さん】

助産師。大学卒業後、3年半の病院での臨床経験、さらに大学院での2年間を経て、JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)に入職。2007年9月から海外派遣ナースとして、アフリカ大陸にあるタンザニア・タボラ州にあるイプリ保健センターに赴任。妊産婦死亡率を下げるために、妊産婦への検診活動や産褥ケアなどの母子保健活動を行った。約3年間の任期を終え、2010年11月に帰国し、JOCSを退職。その後結婚をし、現在はボツアナ共和国在住で、2児の母。

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コメント一覧(22)

22ここあ2014年08月30日 00時51分

テレビでみました!

21匿名2014年08月22日 12時39分

すごい。バイタリティあるなぁ。

20匿名2014年07月20日 00時52分

ボツアナに住んでるんですか!現地の人と結婚したのかな・・・

19匿名2014年07月20日 00時50分

日本が当たり前じゃないんですよね

18匿名2014年07月20日 00時48分

すごいなー!!!

17独白日和2014年07月18日 23時14分

テレビで取り上げられているのを見ました!タンザニアに看護学校をつくる夢、ぜひ叶えてほしいです!

16匿名2014年04月01日 08時17分

辛い現実ですね

15匿名2013年12月14日 13時43分

健診ってやっぱり必要。

14匿名2013年10月15日 14時48分

色々な環境などがあるんですね。日本てめぐまれてるんだなと改めて思いました

13匿名2013年10月14日 23時17分

髪型ステキ

12匿名2013年10月08日 15時51分

輸血をどの子にあげるか。そんな状況、想像するだけで涙が出てくる

11匿名2013年10月07日 11時52分

17歳の妊婦さん。日本なら助かったかもって思うと辛いです。

10えり2013年10月02日 22時07分

なんか考えさせられました。

9匿名2013年09月29日 07時12分

応援してます。頑張って下さい( ´ 〓 ` )ノ

8匿名2013年09月28日 21時41分

親も子も亡くなるなんて悲しいですね・・・
どっちかが生き残ってもツラいですけど・・・
親子ともども元気に生きていければいいのに¥

7匿名2013年09月28日 18時56分

日本の出産でも大変なのに。
タンザニアとの違いを知ることができました。

6匿名2013年09月27日 16時37分

スゴいですね。

5匿名2013年09月27日 15時59分

ご出産おめでとうございます!赤ちゃん可愛いですねー^^
世界で活躍する助産師さん、ステキです!

4匿名2013年09月27日 14時12分

どこの国でも出産は大変だと感じた。日本は恵まれていますね

3久美子2013年09月27日 11時11分

言葉の壁が厚くて私には勤まらない

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