呼吸器系のX線画像で見るべきポイントは?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「呼吸器系のX線画像」について解説します。

 

尾野敏明
杏林大学医学部付属看護専門学校非常勤講師

 

〈目次〉

 

X線画像とは

X線画像は、物質(組織)におけるX線の吸収度の違いを利用し、色の濃淡(白と黒のコントラスト)でさまざまな情報を表している。通常フィルムは白色で、そこにX線があたると黒く感光する。

 

X線画像を見る際の着目ポイントを以下に示す。

 

1左右肺のコントラスト

胸郭内臓器は左右対称ではないが、左右肺の濃淡(X線の透過性)はほぼ同様であるため、左右を比較して片方が白っぽい場合は、X線の吸収度が組織で高まっていること(透過性の低下)を意味する。例えば、肺炎などの炎症があると、その部分の水分含有量が高いため、白っぽい影(浸潤陰影)が写りこむ。

 

透過性の変化は、撮影条件によっても変化するため、肋骨・肩甲骨をはじめとした骨格、皮下などにも着目し、左右差がないか確認する。

 

2構造物の辺縁や境界

まず、横隔膜の高さを見る。横隔膜は、前胸部側で第6肋骨、背部で第10肋骨の位置にあり、右が若干高いのが正常である。COPDなどの場合は、腹腔側に下垂する。次に、肋骨と横隔膜で形成される辺縁を見る。通常、この部分の角度は鋭角に描出されるが、胸水などの貯留により、この角度は鈍化する。

 

さらに、心臓横隔膜角や縦隔陰影(心血管系の辺縁)を見る。これらが不鮮明な場合をシルエットサイン陽性といい、その病変の解剖学的位置関係(局在)を把握できる。

 

図1胸部X写真における観察ポイント

胸部X写真における観察ポイント

 

1.横隔膜の位置は?
第6肋骨(前部) 第10肋骨(後部) 通常右が高位(1/2肋間)
2.肋骨横隔膜角はシャープか?
3.心臓横隔膜角が追えるか?
4.縦隔陰影の辺縁が確認できるか?
①左第1弓:大動脈弓 ②左第2弓:肺動脈 ③左第3弓:左心 ④左第4弓:左心室 ⑤右第1弓:上大静脈 ⑥右第2弓:右心房⑦下行大動脈

 

3各種チューブ、ライン類の位置

現在の主流はコンピュータX線撮影(CR)である。コントラストや明暗の変更、拡大は簡単に行えるので、適正位置を理解し、観察していく。

 

図2各種ルート類の確認

各種ルート類の確認

 

気管チューブ:気管分岐部より3~5cm上方
経鼻胃管:先端および側孔が左横隔膜下で内に存在
中心静脈カテーテル:上大静脈
肺動脈カテーテル:肺門から2cm以内の肺動脈
IABP:大動脈弓部直下
胸腔ドレナージ:第6~8肋間から上前方(気胸)、後下方(胸水)

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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