術前の尿道カテーテル留置は必要?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

 

今回は「術前の尿道カテーテル留置」に関するQ&Aです。

 

大平豪
大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵外科病院講師
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

術前の尿道カテーテル留置は必要?

 

一般的な予定手術の場合は必要ありません。

 

〈目次〉

 

手術室で尿道カテーテル留置を行う場合

術前の尿道カテーテル留置は、基本的には手術室で麻酔がかかった後に行います。

 

患者が起きているときに行うと非常に苦痛で不快感を伴うことや、尿道カテーテル留置は尿路感染の原因となる危険性があるため、少しでも清潔な操作のできる手術室で留置するほうがよいからです。

 

患者の苦痛や感染のことを考えると、術後経過に問題がなければできる限り早期に抜去するほうが望ましいと思われます。1~2時間程度の短時間手術や低侵襲手術(ヘルニア虫垂炎乳腺などの手術)では、留置しない施設もあります。

 

病棟で尿道カテーテル留置を行う場合

緊急手術が必要な全身状態の悪い患者(腹膜炎、敗血症性ショック状態、出血性ショック状態や多発外傷など)や、術前から尿量の管理が必要な患者は手術を行う前に、外来や病棟で尿道カテーテルを留置しておくことがあります。

 

その他、直腸や骨盤内の腫瘍による浸潤や圧迫で尿が出にくく、膀胱が張ってきているような患者は、病棟で留置を行うことがあります。大腸がんの浸潤や憩室炎などのために結腸膀胱瘻を形成しているような患者で、膀胱に感染や炎症があるような場合は、術前に病棟で尿道カテーテルを留置して膀胱の感染や炎症を防いだり、治療したりすることがあります。

 

術後の処置方法は?

術後は膀胱部分切除などを行った場合、尿道カテーテルは通常よりも長く留置します。切除部分に問題がなければ、2週間程度で抜去します。

 

硬膜外麻酔の影響で、排尿困難症状が出現する場合は、硬膜外カテーテル抜去まで留置しておくこともあります。前立腺肥大や神経因性膀胱などで術後排尿障害が出現するような場合は、それらの病気に対する薬剤を内服し、経過を見ながら抜去します。

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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