外来で倒れ、緊急入院となり、モニター装着し救急搬送中にVfになった!近くに除細動器がない!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、外来の患者さんが倒れ緊急入院となり、モニター装着し救急搬送中にVfになったが、近くに除細動器がない場合について解説します。

岡村 英明

NTT東日本札幌病院 診療支援部 診療看護師室
診療看護師

 

 

外来の患者が倒れ緊急入院となり、モニター装着し救急搬送中にVfになり、近くに除細動器がなく焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

急変時には、はっきりした声で呼びかけ、反応がなければ周囲のスタッフに声をかけ、即座に応援を要請することが鉄則です。
そして、A(気道)、B(呼吸)、C(循環)の確認をして、頸動脈の触知がはっきりしないなど判断に迷ったら、すぐに胸骨圧迫を開始することが重要です。

 

POINT
  • 脳心血管系疾患の急性発症時などは病状が刻一刻と変化し致死的な状況に陥ることがあります。
    このような場合は発見時から搬送まで心電図モニター等を装着し、低酸素や不整脈などの急変に気づけるようにします。
    搬送は必ず複数スタッフで行い、AEDを準備し致死的不整脈が起きた場合にすぐ対処できるよう備えることが重要です。

 

 

起こった状況

症例

心筋梗塞後で循環器内科外来通院中の患者Aさん。
外来待合室で体調が悪くなり、心不全の診断で緊急入院となりました。
心電図モニターを装着しストレッチャーで病棟に搬送される途中、心電図モニターアラームが鳴り響きました。
搬送を担当している看護師がモニターをみるとVf波形が確認されました。
外来廊下を搬送中で、近くに除細動器もありません。

 

 

どうしてそうなった?

この症例では、心筋梗塞後で何らかの原因で急性心不全となり、循環動態が破綻しているところに致死的不整脈(心室細動:Vf)が起こっています。
心機能が低下している患者さんはあらゆる不整脈を生じるリスクがあり、特に心不全を起こしている場合、そのリスクは顕著に上がります。

 

 

どう切り抜ける?

1 反応がなければまず応援を要請する

患者さんの肩に触れつつはっきりした声で呼びかけ、反応がなければ周囲のスタッフに声をかける、または緊急コールをするなど、すぐに応援を要請します。
「本当に人を集めるほどの事態なのか」と自身の判断を不安に感じるかもしれませんが、その判断も含めて人を呼ぶことが大切です。


「応援を要請する」ということは、チーム医療が必要な緊急場面において、最も欠かすことのできない行動の1つです。

 

2 ABCを確認し、すぐに胸骨圧迫を始める

次に、生命維持に最も重要なABC(Air way:気道、Breathing:呼吸Circulation:循環)を確認します(図1)。

 

図1ABCの確認(5~10秒以内)

ABCの確認(5~10秒以内)をあらわした図

 

呼吸と循環の確認は5~10秒以内に素早く行います。
患者さんの口元で呼吸音を聴取しつつ(A:気道)、視線は胸郭の挙上の有無(B:呼吸)を確認し、同時に頸動脈の触知を行います。
脈が触れなければ「C:循環」が維持されていないため、すぐに胸骨圧迫が必要です。
頸動脈の触知がはっきりしないなど判断が難しい場面があっても、「迷ったら胸骨圧迫を開始する」ことが重要です。

 

3 除細動器のある場所に搬送する

応援が来たら、気管挿管や除細動など蘇生処置が可能な環境に搬送します。
はやる気持ちを抑えつつ確実に胸骨圧迫を続けながら、安全かつ速やかに移動することが重要です(図2)。

 

図2蘇生処置が可能な環境に搬送

蘇生処置が可能な環境に搬送する様子をあらわしたイラスト

 

セクションごとに緊急搬送先(救急カートや除細動器が設置してあり、それらを実施できる十分なスペースがある場所、図3)が決まっている施設もあります。

 

図3救急処置が十分にできる物品やスペースがある場所

救急処置が十分にできる物品やスペースがある場所をあらわしたイラスト

 

あらかじめ緊急搬送先が決まっていると、よりスムーズな移動、対応が可能です。

 

4 緊急時こそチームワークが命

緊急時はBLSやACLS、ICLSに準じて、集まったスタッフが役割を重複することなく協働することが重要です。
そのためのポイントをいくつか述べます。


1)相手の目を見て具体的に伝える

指示を出す際は相手の目を見て、はっきりと伝えます。
「あなたは◯◯を用意してください」「あなたは胸骨圧迫を交代してください」など、具体的に伝えましょう。


2)必要最低限の情報共有を行う

蘇生処置をしつつ、現在に至った経緯など患者情報を簡潔にスタッフ間で共有します。
その際可能であればカルテや付き添いの方からアレルギー禁忌の有無、既往歴なども追加で収集します(表1)。

 

表1救急場面における「SAMPLE」聴取

救急場面における「SAMPLE」聴取を示した表


3)指示を受けたら周囲にもわかるように復唱する

指示を受けたら「はい、◯◯します!」とはっきりと復唱します。
自分がどんな役割を引き受けたのか他スタッフとも共有でき、役割の重複を防ぐことにもなります。


4)できないことははっきり伝える

指示された内容ができない(わからない)ことなら、その旨をはっきり伝えましょう。
一刻を争う場面では「できる人ができることをやる」ことが重要となります。

 

 

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引用・参考文献 閉じる

1) 三谷雄己:みんなの救命救急科.中外医学社,東京,2022.

2) American Heart Association:ACLSプロバイダーマニュアルAHAガイドライン2020準拠.シナジー,東京,2020.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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