膀胱留置カテーテルを挿入したが、尿が流出しない!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、膀胱留置カテーテルの挿入時には抵抗がなかったが、尿が流出せずどう対処すればよいかわからない場合について解説します。
新潟大学医歯学総合病院集中治療部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
解剖を理解してカテーテルを挿入しましょう。
著しい抵抗がある場合や、カテーテルが尿道の中で屈曲して前進しないように感じられる場合は、カテーテルの挿入を続けてはいけません。
カテーテル挿入が困難な場合、泌尿器科医へのコンサルテーションが必要な場合もあります。
1人で悩まずスタッフ間で相談しながら行いましょう。
- 男性の場合は、尿道内でカテーテルが折れ曲がる可能性があります。
女性の場合は、尿道口と腟口を間違える可能性があります。
また、膀胱損傷やカテーテル迷入の可能性があるので、カテーテルを無理に挿入し過ぎないように注意が必要です。
起こった状況
症例
患者Aさんは、心不全で入院してきたばかりです。
体液管理のため、医師から利尿薬の注射と膀胱留置カテーテル挿入の指示が出ました。
指示を受けた看護師が膀胱留置カテーテルを挿入し始め、抵抗なく挿入できたのですが、カテーテル内に尿が流出して来ないため、どう対応すればよいのかわからず困っています。
どうしてそうなった?
1 男性の場合はカテーテルが折れ曲がることがある
成人男性の尿道は長さが15~20cmあります。
膀胱の直前には括約筋がありますが、強引にカテーテルを挿入すると、括約筋の手前の尿道が若干拡張しているため、カテーテルが180度折れ曲がって先端が反転し、あたかも膀胱内に挿入したように感じることがあります(図1)。
図1尿道カテーテルが挿入されているところ

括約筋のあたりで尿道は拡張しており、そこで尿道カテーテルが180度折れ曲がっている。
2 女性の場合は腟への誤挿入の恐れがある
女性の外尿道口は陰核のすぐ下にある開口部で、腟開口部の上方に位置します。
しかし、尿道口が正中にあるとは限らず、大きく上下左右にずれていることもあります。
外尿道口が腟側にある場合や、陰唇が狭い場合は、外尿道口の観察が困難になる可能性があり、盲目的にカテーテルを挿入しようとすると腟に誤挿入してしまうことがあります。
どう切り抜ける?
1 男性の場合はリラックスしてもらい、挿入しやすくする
前立腺が肥大すると、その内部の尿道が圧迫されるため、カテーテルを挿入しづらくなります。
深呼吸をしてもらい、リラックスしてもらうと括約筋が弛緩します。
また、陰茎を引き上げると、尿道球部の屈曲が軽減されるので、挿入しやすくなり、尿道損傷を予防できます(図2)。
図2男性の尿道(矢状面)

陰茎を腹側に引き上げると尿道球部がまっすぐになっている。
それでも抵抗が強く挿入できない場合は無理せず医師に報告しましょう。
2 女性の場合は体位を整え、尿道口を確認する
尿道口を確認することが重要です。
そのために患者さんの体位調整をします。
まず、患者さんを仰向けのフロッグポジション(股関節と膝関節をやや屈曲し、踵をベッド上に置き、股関節を不快感のない範囲で外転したカエルのような体位)にします。
認知機能障害などがあり、患者さんの協力が得られない場合は、助手に下肢または膝を保持させます。
それでも尿道口が観察できない場合は、小陰唇を開き下方(肛門側)へ押すようにすると尿道口が確認できることがあります。
小陰唇を先ほどと逆方向の上方(腹側)へ引っ張ると、尿道口が縦方向へ伸びるので確認しやすくなります(図3)。
図3フロッグポジションをとり、陰唇を動かして尿道口を探す

膝を立て、股関節を外転し上下左右に陰唇を動かして尿道口を探す。
尿道口を確認せずにカテーテル挿入を試みることは「闇夜に鉄砲」(目標を定めず当てずっぽうに実行する例え)のようなものです。
成人女性の尿道は3~4cmです。
それ以上挿入しても尿の流出が確認できない場合は、腟への誤挿入を疑います。
カテーテルが正しく入っているように見えても尿が出てこない場合は、以下の3・4を確認します。
3 脱水がないか確認する
脱水や腎機能障害、直前に排尿していることなどによって、膀胱内に尿がない可能性が考えられる場合は、手技を再度試みる前に、患者さんの臨床状態に応じた水分補給を考慮します。
4 カテーテルの潤滑剤による閉塞を解除する
膀胱内に尿が貯留していることが予測され、膀胱に留置されている可能性が高い場合、挿入時にカテーテルに塗布した潤滑剤が尿の排出を妨げている可能性があります。
カテーテルをその位置に保持した状態で、カテーテルを生理食塩液でフラッシュして潤滑剤を洗い流し、尿が出るか確認する方法もあります。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



