2018/07/09 のクイズ

80歳男性のAさん。自宅の庭で倒れているところを近所の人に発見され、救急車で搬送されました。来院時はぼーっとしている程度の意識障害があり、血液検査の結果、脱水の診断で入院しました。既往歴はありません。喉が渇いてないか問いかけても、「どうもない」と言うだけです。嘔吐や下痢はなく、汗もかいていません。入院後のAさんへの対応として最も適切なものは次のうちどれでしょうか?
  1. 1. ぼーっとしているので、転倒リスクを考えて、ベッドから降りず動かないように指導する。
  2. 2. 本人も体を動かすのがきつそうで、汗もかいていないので、清潔ケアは行わなかった。
  3. 3. 本人の訴えだけでなく、体重なども含めた全身状態の観察を継続する。
  4. 4. 口渇の訴えもないので、飲水は本人が希望する時に行う。

挑戦者4696人 正解率96%

1. ぼーっとしているので、転倒リスクを考えて、ベッドから降りず動かないように指導する。
不正解

高齢者の脱水症状は、どこかいつもと違うようなぼーっとした見当識障害などの意識障害、または精神症状が現れやすく、認知症に間違えられやすいです。患者さんに指示が通りにくいことから、転倒リスクを恐れ、医療者から動かないように指導しがちですが、過度の安静によって廃用症候群を起こし、さらに筋力低下を起こしやすいのも高齢者の特徴です。状態に応じて、患者さん自身でできることはしてもらうなどの対応が必要となります。そのため、この選択肢は誤りとなります。

2. 本人も体を動かすのがきつそうで、汗もかいていないので、清潔ケアは行わなかった。
不正解

高齢者の皮膚は、もともと体内水分量の低下から、乾燥傾向で皮膚表面が薄く脆弱です。さらに高齢者が脱水症状になってしまうと、皮膚の乾燥(腋窩の乾燥)や舌・口腔粘膜に乾燥が起こります。これらは患者さんに搔痒感を与えるため、皮膚損傷リスクを高めます。また、口腔内は唾液量の減少から自浄作用が低下し、不潔になりやすいです。患者さん本人の体調に合わせる必要はありますが、清潔や保湿、口腔ケアを行い、皮膚や粘膜を保護することは、褥瘡形成や感染症などを防ぐため、重要となります。よって、この選択肢は誤りとなります。

3. 本人の訴えだけでなく、体重なども含めた全身状態の観察を継続する。
正解

高齢者の脱水の大きな特徴に、脱水の特徴的症状(口渇や尿量減少・濃縮尿など)が顕著に現れにくい、患者さん本人の自覚症状が乏しいなどがあり、そのことから発見が遅れ、重症化しやすくなります。そのため、本人は「どうもない」と言っても、血圧低下や体重減少などの客観的症状も含め、全身状態を注意深く観察する必要があります。

4. 口渇の訴えもないので、飲水は本人が希望する時に行う。
不正解

高齢者は口渇中枢の感受性低下から口渇を感じにくいのに加え、「トイレが近くなる」などの理由から、水分を意図的に控える傾向にあります。 また、入院という不慣れな環境で、医療者に気を遣い、水分摂取を要求できない人もいます。また、脱水症状の治療の初期は、輸液療法が主ですが、嘔吐や下痢がなければ水分の経口摂取も継続します。医療者は水分補給の重要性を指導しつつ、患者さん本人に合った水分摂取の方法も一緒に検討していく必要があります。そのため、この選択肢は誤りとなります。

引用参考文献など

1)木島輝美.山田律子ほか編.病態からみた看護過程の展開.生活機能からみた老年看護過程.第2版,医学書院,2015,356-367.
2)松岡千代.水谷信子編.老年期に特有な健康障害と看護.最新老年看護学.第3版,日本看護協会出版会,2017,149-155.

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