2018/01/17 のクイズ

数日前から感冒症状のあった6歳Fちゃん。学校は休まずに通学していましたが、本日になりせき込みがひどくなり、呼吸困難を訴えたことから受診しました。既往歴として喘息がありますが、現在は通院していません。来院時には会話はかろうじて可能でしたが、陥没呼吸と喘鳴が強く認められました。来院時のバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍160回/分、呼吸数46回/分、SpO₂96％（room air）でしたが、徐々に顔色は白くなり、会話も不可能な状況になりつつあります。Fちゃんの来院後の状態はどう判断しますか？最も合うものを以下の中から選んでください。

1. 喘息の小発作
2. 喘息の中発作
3. 呼吸窮迫
4. 呼吸不全

挑戦者5318人　正解率34%

1.　喘息の小発作: 不正解
喘息の小発作時の会話は一文区切りで話せる状況であり、陥没呼吸も小発作では軽度です。Fちゃんの症状とは一致せず、より重度であると判断できます。
2.　喘息の中発作: 不正解
喘息の中発作時は、「私の／名前は／●●／です」というように、句で区切って話せる状況です。しかしながら、Fちゃんは会話が不可能な状況にあり、症状と一致しません。また、中発作では、陥没呼吸・喘鳴は明らかにわかります。また、Fちゃんのバイタルサインから見ても、より重度であると判断できます。
3.　呼吸窮迫: 正解
Fちゃんの症状ならびにバイタルサインから喘息の重症度においては大発作と考えられます。しかし、顔色や会話、また頻呼吸・頻脈から考えると、呼吸窮迫の状況です。血液データが正常範囲内であったとしても換気不良が進行しはじめていると考え、呼吸窮迫から呼吸不全に陥る前兆ととらえ、モニタリングやルートの確保などのケアを早急に開始しましょう。
4.　呼吸不全: 不正解
症状ならびに、脈拍160回/分、呼吸数46回/分のバイタルサインからは、呼吸窮迫の状況と考えられます。しかし、症状の進行が進むにつれて、意識レベルの低下、呼吸数・脈拍の低下の状況となれば呼吸不全となることが考えられます。呼吸窮迫から呼吸不全に陥ることを考えてケアを早急に行いましょう。数値のみで判断するのではなく、全身状態を含めて判断する必要があります。

引用参考文献など

1）萩岡あかね．呼吸．特集：子どものからだの生理と日常ケアの根拠．こどもケア7（1），2014，9-16．
2）吉原重美ほか．小児・新生児呼吸器看護のポイント．特集：異常のサインを見逃すな！．こどもケア．6（2），2011，36-42．
3）及川郁子監．呼吸喘鳴．フィジカルアセスメントと救急対応．中山書店，2014，150-160．