心臓リハビリテーション指導士になるには?受験資格や試験対策などを解説

心臓リハビリテーション指導士は、循環器科の看護師さんなどがスキルアップを目的に取得している資格です。
この記事では、心臓リハビリテーション指導士になるための流れ、受験資格、試験対策、取得するメリットなどを解説します。
目次
心臓リハビリテーション指導士とは?
心臓リハビリテーション指導士は、心臓に病気がある患者さんのリハビリテーションを手助けする資格です。通称、心リハ指導士とも呼ばれています。
心不全や心臓の手術を受けた患者さんが早期に退院し、元の生活を取り戻せるようにリハビリテーションをしたり、精神的なケアをしたりします。
2000年に日本リハビリテーション学会によって発足した資格で、現在(2024年6月)までに5000人以上の心臓リハビリテーション指導士が誕生しています。
心臓リハビリテーション指導士の仕事内容
心臓リハビリテーション指導士の仕事内容は、名称通り、心臓リハビリテーションを通して患者さんの療養生活をサポートすることです。
例えば、心臓リハビリテーション指導士は、以下のようなことを実施します。
- 循環器疾患の再発の予防
- 理学療法士や作業療法士の指導・連携
- 多職種を対象としたリハビリテーションに関する研修の開催
参考:日本心臓リハビリテーション学会「心リハ指導士とは?」
心臓の病気を発症した後の離床やコンディショニングだけではなく、病気の再発の予防を目的としたリハビリテーションや生活指導も役割の一つです。
患者さん一人ひとりの病気や身体の機能に合わせてさまざま方法で療養生活をサポートするため、患者さんの悩みにも寄り添った看護を行えます。
心臓リハビリテーション指導士になるには
心臓リハビリテーション指導士になるためには、試験に合格しなければなりません。ここでは、受験資格や合格までの流れ、合格率などを紹介します。
心臓リハビリテーション指導士の受験資格
心臓リハビリテーション指導士になるためには、以下5つの条件を満たす必要があります。

参考:日本心臓リハビリテーション学会「心リハ指導士とは?」
この条件のうち1つでも満たされないと受験ができません。受験を考えている方は確認してみましょう。
これらの募集要項や書類の書式などは変更となる可能性があるため、申請をする3月頃に日本心臓リハビリテーション学会のホームページを確認しましょう。
心臓リハビリテーション指導士になるまでの流れ

試験の申し込みから合格発表まで、おおむね半年かかります。申し込みは例年4月ごろですが、申し込み時に症例レポートを提出する必要があるため、準備はそれ以前から始める必要があります。
なお、合格発表は、日本心臓リハビリテーション学会のホームページで発表されます。また、合格後は5年ごとの更新が必要になります。
心臓リハビリテーション指導士の試験内容は?
心臓リハビリテーション指導士の試験は、以下の通りです。
心臓リハビリテーション指導士の試験内容
- 試験時間:60分
- 問題数:50問
- 形式:マークシート方式
心臓リハビリテーション指導士の試験は、年に1回開催される学術集会の際に行われます。
心臓リハビリテーション指導士の合格率
心臓リハビリテーション指導士の試験の合格率は全体で70〜80%くらいで推移※しています。
ただし、看護師の合格率は平均40%前後と、他の職種と比べて看護師の合格率が低くなっています。
その要因には、出題分野に理学療法士や作業療法士が得意とするリハビリテーションに関わる分野が多く、逆に看護に関わる分野が少ないことが考えられます。
※出典:日本心臓リハビリテーション学会「認定試験合格者と講評」
心臓リハビリテーション指導士に関わる10症例レポートとは?
心臓リハビリテーション指導士の受験資格のひとつである10症例レポートは、1症例につき1枚でまとめることが原則です。
10症例でレポート用紙10枚分を所定の用紙(A4サイズ)で提出します。手書きは不可とされているため、パソコンで入力しましょう。
また、心臓リハビリテーションの分野で、これまで経験したことやスキルをまとめなければなりません。例えば、以下のようなポイントが挙げられます。
- 運動耐容能を評価
- 心血管疾患を理解し評価
- 心臓リハビリテーションのリスクを評価
一方で、病歴や検査、リスクなどの評価が不十分であったり、患者さんに合わせた指導でなかったりすると、レポートの評価が下がる傾向があります。
詳しいレポートの記載例は、日本心臓リハビリテーション学会のホームページで確認してみましょう。
心臓リハビリテーション指導士の勉強方法
心臓リハビリテーション指導士の勉強方法は、日本心臓リハビリテーション学会が編集している「心臓リハビリテーション必携」で学習している人が多いです。
また、『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』などで知識の補強を行う方法もおすすめです。
さらに、日本心臓リハビリテーション学会の「心リハ看護師対策部会」が開催している研修や教育プログラムに参加すると、効果的に学習できるでしょう。
なお、心臓リハビリテーション指導士の過去問や問題集はありません。
心臓リハビリテーション指導士になるメリット
心臓リハビリテーション指導士になるおもなメリットは、次のとおりです。

1スキルアップにつながる
心臓リハビリテーション指導士はスキルアップにつながります。
心臓リハビリテーション指導士は食事療法や禁煙指導、退院後の運動などについて詳しく学ぶことができます。そのため、患者さんの身体の状況や生活に合わせた指導もこれまで以上にしやすくなるでしょう。
さらに、厚生労働省の調査によると、日本人の死因で2番目に多いのが心疾患(14.8%)※であり、心臓の病気を患う人は増加すると推測されています。そのため、今後心臓リハビリテーションの需要は高まると考えられます。
※出典:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
2他職種とコミュニケーションを取りやすくなる
心臓リハビリテーション指導士になると、他職種とコミュニケーションが取りやすくなります。
患者さんのリハビリテーションについて共通の理解のもとでケアができるからです。具体的には、理学療法士が考えていることを同僚の看護師に伝えられたり、医師からの指示を理解しやすくなったりするため、他職種との連携がとりやすくなります。
そのため、患者さんにより良いリハビリテーションやケアができるようになるでしょう。
まとめ
心臓の病気になった患者さんにリハビリテーションや生活指導、精神的なケアなどでかかわることができる心臓リハビリテーション指導士。
今の仕事を続けながら、専門的に患者さんにかかわりスキルアップしたい方におすすめの資格です。
看護師さんにとってやや難易度は高いと言えますが、やりがいのある資格の取得を目指してみてはどうでしょうか。
執筆:看護roo!編集部
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