4年目での異動。看護師の仕事は好きだけど、頑張れない|バク先生のナースお悩み相談室【1】

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バク@精神科医

精神科専門医

 

今回のお悩み

看護師4年目です。4月に異動になりました。以前の病棟も新しい病棟も人間関係は良く、看護師の仕事自体は好きです。
ただ、「新しい病棟でまた勉強して、やり方を覚えて…」と思ったら、「なんだか仕事に行きたくないなあ…」と思ってしまいます。こういうとき、何か対処法はありますか?

医師顔画像

果たして、全て本当に「1からやり直し」なのでしょうか?

 

診療科が違っても、活かせる感覚はある

看護師さんのつらいところが凝縮しているなぁと思う質問をありがとうございます。

 

われわれ医師は専攻を決めると、そこから病院は変われど大きな業務内容の変更は(病院によっての特殊なクセなどを除けば)ありませんが、総合病院の看護師さんではよくあるお話なのかもしれません。

 

ここで気になるのは「人間関係も仕事も好き」という気持ちと「また1からやり直し」という気持ちが生じているということです。

 

果たして、全て本当に「1からやり直し」なのでしょうか。

 

看護師としての仕事で大きなウエイトを占めるのは「患者さんのちょっとした違和感を見逃さない」とかだと私は思うのですが(なので看護記録はメチャクチャ見る派)、その違和感は患者さんと実臨床で接していなければ感じ取ることが難しい感覚です。

 

それは多分、科が変わっても活かせる感覚なのではないかなあと思います。そして、そこから考えると「完全に1からやり直し」というわけではないのではないでしょうか?

 

もちろん、科が違えば疾患や治療に関する処置も違ってくるので、そういった勉強は必要になるでしょうし、病棟によって、救急カートの場所とか中の物品がちょっと違ったり、師長の考え方のクセとかは異なるのかもしれません。

 

ただ、同じ病院なら電カルも同じシステムでしょうし、薬剤庫の位置も変わりません。清拭や患者さんの入院受けや退院前にやることも、そこまで変わらないのではないでしょうか(患者さんの細かい業務では把握しきれてない部分もあるので「変わるよ!」と言われたらすみません!なのですが…)。

 

「今しかやれないこの体験!!」精神で楽しむ

私がその立場になったら?というのを考えてみました。

 

私は、実は外科系の手技がかなり上手いらしく(これは外科をローテーションしていたときによく言われました)、専攻を決めるときにいろんな外科医から「うちに来ないか」とお誘いいただけました(外科は人が少ないので全員に同じことを言ってる気もしますが、ここはだまされておく方が幸せだったりするからそっとしておくとしましょう)。

 

でもそれは「外科は初めてや!!こんなことをするのか!やってみよう!難しいな!でもやってたらできるようになってきた気がする!楽しいなぁ!」という感じで、上級医から「この手技、やってみるか?」と問われたら即答で「はい!!」と言い続けた結果でした。

 

ちなみに、「できるようになってきた気がする」というのは、気がする程度で、本当に「できている」とは限りません。研修医のローテーションなんてものはそんな感じです。

 

だって、この時私は「ローテ研修が終わったら絶対に二度と外科はやらない」と思ってたので、「今しかやれないこの体験!!」というめちゃくちゃお客さん感覚で何でもやっていたのです。

 

そのほかにも3カ月くらい救命救急センターにいたときも「二度とここに来ないから毎日が新鮮!!」と思いながら、怒鳴られつつ18Gのサーフロー®でルート確保もしました。同じように、内科もマイナー科も全科、毎日「二度とやらんやろな!」の精神で二年間ローテーションで回りました

 

「いろいろな科を経験すること」はシゴデキ看護師さんの卵

これって看護師さんも同じじゃないかなぁと思います。

 

4年目というと看護師さんの中では「そろそろ中堅かな?」というくらいでしょうか。でも、多分、「この診療科を極めたい!と決めるにはまだまだ若手に入る年代かなと思います。
だから今は、看護師の仕事が好きで、周囲の人間関係にも文句はないなら「今しかやれないこの体験!!」というめちゃくちゃお客さん感覚でお仕事をするのはどうでしょうか?

 

ちなみに、われわれ医師も2年の研修が終わった後、専攻医になっても「やっぱり違うかも」と別の科に行くことはあります。
実際、私も専攻は内科でしたが、その後、精神科に移りました。その結果、内科である程度の入院患者さんの身体管理はでき、総合内科的な外来であればこなせるスキルを持ちつつも、精神科の専門医、指導医を持っています。

 

いろんな科を回ることは変化が大きく、ともすればマイナスな感情を持ってしまうかもしれません。でも、いつか自分が「この科でやっていこう」となった時に「あれ?これ別の科で見た気がする。放置したらダメなやつじゃない?」という感覚が持てるのも、いろいろな科を経験しているからこそです。

 

どの科で「この科でやっていこう!」となるかはわかりませんが、今、これまでとは違う専門分野でせっかく1からやり直せるなら、そのチャンスを楽しんでほしいなと私は思います。

 

私のことばかりで恐縮ですが、これまで、緊急開頭オペとかカテとか腎臓移植とかいろんな経験をしましたが、全てが今の私の診察の役に立っていると思いますし、無駄なことは何もありませんでした。

 

だから「また1からやり直し」を「やった!1からやれるんだ」に上手く変換できたらきっと、シゴデキ看護師さんの卵になれてしまうんじゃないかと、私は期待しております。

 

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事?復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

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