「リハビリパンツ、はきません!」の意外な理由|ぐるぐる訪問看護

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

菊間はっか

 

リハビリパンツ(リハパン)って、便利ですね。

 

リハパンは私が臨床で働いていた20年以上前には、今ほどメジャーではありませんでした。

 

今は薄型やローライズタイプのリハパンも出てきて選ぶのに迷ってしまうほどです。

 

ちょっとした尿漏れ対策などに抵抗なく取り入れている方もいますが、「自分には必要ない」とかたくなに拒否される方もいます。

 

そのような場面に遭遇すると、「外出のときだけでもちょっとはいておくと安心なのに。

 

やはりオムツを使うということはプライドが許さなかったりするのかしら?」などと思っていました。

 

リハパンをはくか迷う高齢女性

 

リハパンを薦めてみたら…

キクコさん(88歳)は息子さんと2人暮らしです。

 

キクコさんは、パーキンソン病と診断されて内服治療を続けています。

 

息子さんは仕事があり日中は独居、週3回デイサービスを利用しています。

 

動きは緩慢ですが料理や洗濯など丁寧に行っていて、それが生活の張り合いにもなっている様子でした。

 

ある時期から、キクコさんに尿失禁が見られるようになりました。

 

デイサービスでも間に合わずに洋服まで汚してしまい、着替えを借りて帰宅することが何回か続いたようです。

 

ケアマネさんからも、「デイでもリハパンをおすすめするのですが、絶対に嫌だと言ってはいてくれないんです。訪問看護師さんからも説得してください」と電話が入りました。

 

次の日、キクコさんを訪問しました。

 

ケアマネさんから電話があったと言うとご気分を害されるかもしれないので、「たまにはデイサービスの連絡帳を見せてください」という話から切り出し、ページをめくり、「あれー? キクコさん、トイレに間に合わないことが増えているのかしら」と初耳感を前面に出して、失禁の話題に持っていきました。

 

キクコさんは不機嫌そうな顔をして、「漏らしてないよ。トイレが間に合わないなんてことはないよ」と言います。

 

彼女の言い分は聞きつつも、「最近は紙でできているパンツとか、良いものがたくさん売られていて、実はみんなひっそりとはいていたりするんですよね」と、やや強引な提案。

 

ステーションにあった試供品を見せて、「結構温かいし、うっかりちびってしまっても安心なんですよ」と、触ってもらいます。

 

キクコさんは、試供品のリハパンをじーっと見ていました。興味がないわけではなさそうです。

 

そして、「でも、自分で買いに行けないよ。息子にこんなの頼むわけにいかないでしょ。あと、どこに捨てたらいいのか分からないよ」と話したのです。

 

 

提案を拒むのには理由がある

そういえばキクコさん、いつも、ごみの心配ばかりしている人でした。

 

朝一で訪問すると「ごみ、回収されていた?」と聞かれることが多かったのです。

 

キクコさんの暮らしている自治体のごみ分別はとても細かくて、きちんと分別できていないと回収されずに残されてしまいます。

 

上手に分別できないことが多いキクコさんはごみを回収してもらえないことも多く、ちょっとナーバスになっていました。

 

さっそくスマートフォンで市のホームページを開いて、おむつの出し方について2人で確認しました。

 

キクコさんの自治体では、オムツはコンビニエンスストアの袋などにまとめて入れて「オムツ」と記載しておけば可燃ごみで回収してもらえることが分かりました。

 

また、購入については息子さんにメモを残して用意してもらうようにしました。

 

翌週、ケアマネさんから電話があり、「キクコさんがリハパンをはいてデイに来るようになりました。洋服も床も汚すことがなくなってよかったです」との報告を受けました。

 

訪問時に、胸とお腹の音を聴診するのですが、ズボンを少し下げて聴診器をあてたときに、リハパンのゴムがちらりと見えました。

 

「おお、はいてる、はいてる」とほくそ笑んでいると、キクコさんも「ちゃんと、燃えるごみで出しているよ」とニヤリ。

 

キクコさんがリハパンをはきたくない理由は、プライドを保ちたいというよりも、「どうやって捨てたらよいのか分からない」部分が大きかったようです。

 

その部分が解決したら、比較的あっさりと受け入れてくれました。

 

そして、履いてみると快適に生活できるということが分かり、気に入ってくれているようです。

 

リハパンに限らず、新しい提案を受け入れてもらえないときは、意外なことが理由だったりするものです。

 

じっくりと話を聴いたり、生活の様子を観察することによって解決策を見いだしたりできることが、訪問看護のやりがいだったりするのかもしれません。

 

ここで一句。

 

夏の昼 残されてゐる ゴミ袋

 


 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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