「短時間正職員制度」は本当に活用できるのか?「看護師の子育て・介護支援」の課題

今春、日本看護協会(以下、日看協)が内閣府に向けて提出した「働き方革命の実現」に関する要望書の中には、「仕事と家庭の両立支援」という項目が盛り込まれました。

 

看護師の仕事と子育て・介護を両立するために、日看協が推奨する「短時間正職員」とは何か、その実情と課題を含めてご紹介します。

 

「短時間正職員制度」は本当に活用できるのか?課題と実情

 

◆目次

 

 

短時間正職員制度とは

短時間正職員制度の勤務形態と、待遇を以下にまとめました。

 

◆勤務形態

・フルタイムよりも労働時間が短い

1日の労働時間が短い

(例:1日5時間、週5日勤務等)

1週間の労働日数が少ない

(例:1日8時間、週4日勤務等)

「働き続けられる職場づくりを支える制度や取り組み」(日看協)より要約

 

短時間正職員制度は、その名の通り「フルタイムより時間が短い勤務」となりますが、定められたシフトがあるわけではありません。

 

1日あたりの勤務時間を短くしたり、勤務する日数を少なくしたりと、施設やその人に合った方法で調整できます。

 

◆待遇

正職員と同じ待遇

(賞与、昇格、退職金など)

基本給は労働時間に比例する

子どもの年齢の上限が定められている場合もある(子どもが○歳になるまで適用、等)

「働き続けられる職場づくりを支える制度や取り組み」(日看協)より要約

 

短時間正職員制度の最大の特徴は、正職員と同じ待遇を受けられることです。

この特徴が、育児・介護と両立しながら看護師として長く働き続けるために、大きなメリットとなります。

 

 

短時間正職員制度の活用例とメリット

【短時間正職員制度の活用例】

〔通常の日勤〕

8:30~17:30

〔短時間正職員制度での勤務〕

9:00~16:00

 

たとえば、子どもを保育園に預けている場合、通常保育が8:00~18:00だと考えると、通常の日勤では送迎はギリギリになるでしょう。

しかし、短時間正職員制度で勤務していれば、余裕をもって送迎することができます。

 

また、保育園によっては、通常保育時間外には延長料金がかかる場合もありますが、延長する必要もなくなります。

 

この制度を活用すれば、「保育園の送迎時間に間に合わない」という理由でパート勤務をする必要がなくなります。

 

筆者の周囲で実際に「短時間正職員制度」で働いている人の話を聞くとこんな声が聞かれました。

 

「短時間正職員制度を活用していても、仕事が終わらなくて少し残業することもある。でも、周囲がサポートしてくれるのでだいぶ楽になった」

「受け持ち人数を減らしてもらったり、受け持ちをもたずに、普段はフリー業務のような形で働いている」

 

このように周囲と協力しながら、柔軟に働けることは、この制度の大きなメリットです。

 

 

短時間正職員制度の課題

一方で、短時間正職員制度には大きく3つの課題が考えられます。

 

◆担う職務が勤務時間に対して過剰な場合がある

短時間正職員制度は、待遇が正職員と同じであると同時に、昇格なども同等に扱われます。

スタッフ配置によっては、リーダーを任されたり、緊急入院や手術などの患者さんを受け持つ場合、時間内で勤務が終わるとは限らないケースもあるようです。

 

 

活用者の人数が限られる

短時間正職員制度が推奨されているとはいえ、シフトの関係上、病棟に多くの活用者がいると業務がまわらなくなります。

病棟内での活用人数を制限している場合は、育休明けで異動となったケースもあるようです。

 

 

◆常勤者へのフォローが不可欠

たとえば9:00~16:00までの勤務の看護師に、受け持ち患者が数人いた場合、16時から夜勤者の出勤までは、リーダーやほかのスタッフが担当することになります。

 

このように、短時間勤務者から業務を引き継ぐ常勤スタッフへのフォローも不可欠になります。

 

 

おわりに―短時間正職員制度の導入推進のために

日看協が推奨している「短時間正職員制度」ですが、まだまだすべての施設で導入され、活用されるまでには至っていません。

 

また、短時間正職員制度を活用するためには常勤スタッフの協力が必要ですが、常勤のスタッフにばかり業務のしわ寄せが来るのは考えものです。

 

ただ単に導入を推進するのではなく、「短時間勤務者への協力体制」「常勤者へのフォロー」や、「適正配置」「シフトの工夫」など、周辺の労働環境も併せて整うことを願います。

【ライター:白石弓夏(看護師)】

 

 

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