がん罹患で3割が給与減、仕事と治療の両立に壁―看護師は相談相手になれる?

がんになってから1年間の間に「給与が下がった」などマイナスの変化があった人は3割に上ることがわかりました。

 

生存率の上昇とともに、「治る病気」となったがん治療ですが、生きるために必要な「仕事」と「治療」の両立で悩む患者が多く、問題となっています。

 

 

3人に1人が就労年齢でがんに

国民の2人に1人ががんになる時代。さらに、羅患者のうち3人に1人が25~64歳の「働く年齢」でがんになっています。

 

医療技術の進歩と共に、がんは「治る病気」へと変化してきました。国立がんセンターによれば、すべての部位をあわせたがんの5年相対生存率は62%(*)と6割を超えています。

 

 

生存率は上昇も、一般のイメージは「不治の病」

がんにかかっても治療によって生存が可能となった現代では、生き続けることに伴って、当然のことながら治療費や生活費の問題が発生します。

 

それにも関わらず、一般的にはがんに対して未だに「不治の病」というイメージが残ります。本人の意思に反して周囲から仕事を辞めるようにうながされるなど、社会的マイナスががん患者を悩ませています。

 

 

「給与減」などネガティブ変化が3割

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った「がん治療と仕事の両立に関する調査」では、罹患後1年間の待遇の変化について、「給与が下がった」「勤務評価が下がった」「昇進の見込みがなくなった」などネガティブ変化があった人は3割に上りました。

 

またがん罹患後に転職した人の2割は「退職をうながされたため」に転職していることもわかりました。

 

 

仕事を理由に治療を受けないケースも

病気を理由に、周囲から不本意に退職などをうながされるケースが後を絶たないほか、仕事上の理由で病気になっても適切な治療を受けられないケースが少なくありません。

 

これはがんに限ったことではなく、他の疾患でも同じ現象が起こっています。

 

糖尿病患者を例にとると、8%の患者が通院を中断していて、その理由は「仕事が忙しい」が最多(24%)との調査結果も出ています(厚生労働省)。

 

医療技術の面からは、仕事を続けながらでもがんや脳卒中などの治療を受けることが可能になってきたにも関わらず、就労現場では病気を持つ従業員を受け入れる体制が整っていません。

 

 

「生きがい」としての仕事の意味

厚生労働省が行った別のアンケート結果でも、がんの診断によって半数の人が「収入が減った」と回答。4割の人が会社からの指示で「退職」または「部署移動」を経験していました。

 

がん患者が仕事を続けるのは、「生計の維持」はもちろんですが、「生きがいだから」という理由も大きいはずです。病気を理由に仕事を奪うことは、その人の人生を大きく狂わせてしまうことになりかねません。

 

 

仕事の相談、看護師にはしにくいが満足度はトップ

患者が抱える治療と仕事の両立の悩みについて、看護師はいったい何ができるのでしょうか?

 

厚労省の調査では、治療と仕事の両立について相談する相手としては上司がもっとも多く、次いで家族、主治医と続き、看護師が相談相手となるケースは現状では少数のようです。

その反面、相談したことによる満足度は看護師がもっとも高く、看護師に相談した患者のうち、「とても役立った」とする回答は8割に上っています(上司は6割、主治医は4割)。

このことからも、患者のもっとも身近な存在である看護師が、患者の就労状況にも関心を寄せることの重要性が浮かび上がります。

 

在院日数が短縮する中、外来で治療を受けるがん患者は増え続け、およそ32万人は仕事をしながら治療を受けているといわれています。

 

労働力の高齢化が進めば、こうした状況はさらに加速することが予想されるでしょう。

 

「治療」か「仕事」――2者択一を迫るのではなく、双方が両立できる環境に向けて、私達の意識改革が求められています。


*5年生存率:がんの診断を受けてから5年後に生存している人の割合を、日本人全体の5年後の生存率と比べた数字

 

【ライター:横井 かずえ】

 

(参考)

がん治療と仕事の両立に関する調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)(pdf)

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