突然の人事異動が納得できない!ナースが師長にモノ申すための“一言”

こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。

私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。

 

この連載では、スタッフが悩みやすい「師長とのイザコザ」について、私が提示できる解決策をお伝えします。

さて、今日のお悩みは?

 

師長とのイザコザ解決策【4】

「異動を一方的に命じる師長」に困ったときの対処法!

 

◆ナースのお悩み

いまの消化器外科に勤務して1年、急に異動を言い渡されました。

異動先は神経内科だそうです。

 

そのときの、師長の言い方がひどいんです!

忙しい時間帯に、ついでみたいに「神経内科で急に人手が足りなくなったの。来月からヨロシクね~!」と一言。

 

えっ、それだけ? なぜ私なの?

私はあなたの部下としてお払い箱ですか? 

必要ないってこと…?

 

それに、私は外科のスピード感が好きなので、内科系があっていない気がします…。

つまり、異動したくないんです!

 

こんな師長には、なんて伝えたらいいんですか!?

 

◆目次

 

 

異動を一方的に命じる師長への伝え方

◆こんな師長にモノ申す!◆

「異動した先でも元気に働きたいので、どうして私なのか教えてもらえませんか?」

 

「異動を一方的に言い渡す師長」には、このように伝えてみましょう。

 

ポイントは、「異動したくない!」という自分の希望を話す前に、「師長の意図を聞きたい」という姿勢を示すことです。

 

まずは師長の意図を聞いたうえで、それでもやっぱり異動したくないと感じるときには、自分の意向や希望を伝えて話し合うことが重要です。

 

お悩み主さんは、師長の対応に怒っていますが、私には悲しんでいるナースの姿が見えてきます。

「お払い箱ですか?」「必要ないってこと?」という言葉から、“排除されるような感覚”を覚えているように思えます。

 

確かに師長の言い方が一方的であれば、「自分は必要とされてない」「自分は重要な存在じゃない」と裏切られたような気持ちになってしまいますよね。

 

外科に適性を感じながら、1年間一緒に働いてきた師長であるならなおさらだと思います。

 

でも、そんなふうに思い込んで泣き寝入りするのはもったいない!

まずは師長にどんな意図があるのか、考えてみませんか?

 

 

異動を一方的に命じる3つの理由

師長はなぜ異動を一方的に命じるのでしょうか。

その理由には3つのパターンが考えられます。

 

【パターン1】

説明しなくても、異動の意図をわかってくれていると思っている

師長の気持ち:「信頼しているあなただから、異動をお願いしているのよ。あなたなら、わざわざ言わなくても異動の意図はわかってくれてるわよね」

 

【パターン2】

異動が看護師にとってどんな意味があるのか、自分で考えるべきだと思っている

師長の気持ち:「看護師が成長するためには異動は不可欠。異動の意義は、私が説明することではなくて、自分で経験して学んでいくことなのよ」

 

【パターン3】

組織の一員なのだから、異動があるのは当然で特に説明する必要はないと思っている

師長の気持ち:「師長間の話し合いで、病院全体の運営を考えて決まったことなのだから、スタッフナースに詳しい理由を説明する必要はないわ。言われたとおりに動けばいいのよ」

 

 

3パターンそれぞれの師長の考え

【パターン1】

説明しなくても、異動の意図をわかってくれていると思っている

この場合、師長は全面的にあなたのことを信頼しています。

わざわざ説明をしないのは、「あなたならわかってくれてるわよね?」という態度の表れです。

 

そもそも、師長をはじめ看護管理者が実施する人事異動の目的は、「病院全体の看護の質を向上させること」です。

つまり、「病院全体の看護の質を向上させる」ために、異動の人材とタイミングが選定されています。

 

しかし急な異動は、命じられたナースのモチベーションを下げるきっかけにもなる因子です。

 

そのため、病院全体の看護の質を向上させるためには、「異動しても看護の力を発揮できる人材」を選ぶことが必要です。

師長としては、「その人材として、あなたを選んだのよ」という気持ちがあるのでしょう。

 

この場合の師長の行動は、「あなただからお願いしているのよ」という信頼感と、「その意図をわかってくれているわよね」という二重の信頼感の表れです。

 

【パターン2】

異動が看護師にとってどんな意味があるのか、自分自身で考えるべき

「人事異動には看護師を成長させる目的がある」というのはよく言われることだと思います。

 

「成長=幅広い診療科の知識をもつこと」と考える人もいるかもしれませんが、実はそれだけではありません。

 

日本看護協会の「看護師のクリニカルラダー」によれば、看護の実践力は「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」です。

 

図 看護実践能力の構成


 
(日本看護協会「看護師のクリニカルラダーの開発について」より作成)

 

この図が示すように、各診療科の知識や適性を超えた普遍的な力をつけることが、本質的な「看護師の成長」です。

 

お悩み主さんは、外科に適性があると感じていますが、適性と感じている「やりやすさ」が、実は「環境」や「人間関係」によって成り立っているということもあります。

環境や人間関係が変わっても同じように発揮できる能力が、本質的な実践力です。

 

つまり、本質的な看護の実践力が伸びているかどうかは、実際に異動してみないとわからないことです。

もしかすると、師長は、「お悩み主さんは外科が好き」ということもわかったうえで、あえて、適性にかかわらない本質的な力をつけてもらうために、異動を命じているのかもしれません。

 

でも、「自分は外科に適性があると思っているうちは、何を言っても納得しないだろう」と考えて、異動先での経験で自分で学び、気づいてほしいと思っているのかもしれませんね。

 

【パターン3】

組織の一員なんだから異動があるのは当然だと思っている

この師長はとても厳しい人ですね。

トップダウン型の指示系統を重んじているようです。

「指示に従うのが社会人としてのあるべき姿」と思っているのかもしれません。

 

とはいえ、パターン1~3のどれだったとしても、自分の気持ちや意向をまったく聞かずに一方的に異動を言い渡されたらモチベーションが下がってしまいますよね。

 

どうやって解決すればいいのでしょうか?

 

 

師長の考えを聞いたうえで、自分の意向を伝える

異動の話があった時に、師長が一方的で理由を説明してくれない場合には、

「異動した先でも元気に働きたいので、どうして私なのか教えてもらえませんか?」

と投げかけてみましょう。

 

まずは師長の考えを聞いてみることからはじめると、話し合いがスムーズです。

 

この問いかけをすれば、「信頼されている」という評価も、「自分で考えて」という指導も、「あなたは知らなくていいの」という師長の考えも、聞くことができます。

 

そのうえで、自分が考える自分の適性やキャリアプランを師長に話すことが大切です。

 

お互いの考えを伝え合って話し合いをすることで、今回の異動が自分にとってどのように価値があるものなのか、判断することができるでしょう。

 

最近では、1年に数度の頻回な異動に悩んでいる看護師も多いと聞きますが、「組織の一員なのだから」と我慢せずに、お互いの考えを知る働きかけをすることが重要です。

 

また、師長との話し合いで、これまで自分が意識していなかった自分の長所がみえてくるかもしれません。

 

たとえば、(私って、細かいことをいろいろ指摘するキャラで、皆にうるさがられてるよな…)と悩んでいたとします。

そのあなたがもし、異動の際に師長から「あなたのその正確さが異動先では必要とされているのよ。うちの病棟はあなたがいてくれたおかげで後輩たちも育っているから、次の現場でもその強みを発揮してね」と言われたらどうですか?

 

自分は、決してお払い箱ではなく、「必要とされているからこそ異動する」のだと感じることができますよね。

こんなふうに、「自分が異動する目的」が明確になっていれば、次の現場でも楽しく、期待されている役割を発揮することができます。

 

また、もし師長があなたのキャリアに対して何のビジョンもなく異動を言い渡している場合には、「自分自身で役割をみつける」ことをモチベーションにすればいいのです。

「自分のキャリアは自分で育てる!」という心意気があればどんな現場でも通用するナースになれます。

 

理不尽と感じるときでも、相手に配慮しながら自分の考えを伝えることからはじめてみてください。

 

(文)

看護の悩み請負人 サト

 

(イラスト)

香川尚子(ホームページ)

 

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