後輩に嫌われるのが怖くて、うまく指導できない|バク先生のナースお悩み相談室【27】

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精神科専門医
今回のお悩み
(総合病院・3年目)看護師3年目になり、後輩を指導する場面が増えました。ですが、どう思われるかが気になって、うまく指導することができません。
私自身、1年目のときに細かく指摘してくる先輩がちょっと苦手でした。そのせいか、いざ教える立場になったら、後輩に嫌われたくないという思いが強くて、必要以上に気を遣ってしまいます。指摘が曖昧になってしまってうまく伝わらず、注意してほしいことも優しい言い方になりすぎて、軽く流されている感じがします。
指導しなきゃいけない立場なのに、嫌われるのが怖くて言えない自分にモヤモヤします。どうすれば割り切って指導できるようになるでしょうか。

嫌われたくないって気持ち、なかなか消えないですよね。
なので「割り切る」のではなく、そもそもの考え方を変えて、指導への心の負担を減らしてみましょう!
優しく言うこと自体は問題じゃない
こんにちは、とんでもない酷暑に悩まされているバクです。
さて、「嫌われたくなくて指摘が曖昧になってしまう」「優しく言いすぎて軽く流される」。読んでいて、ものすごく真面目な方なんだろうなと伝わってきました。
ただ、そのお悩み、もしかしたら「優しく言うこと」「割り切れない自分」が問題なんじゃなくて、そもそもゴールの置き方がちょっとズレているのかもしれません。
まず気になったのが、相談者さんご自身が「軽く流されている感じがする」と書いていることです。これ、実はもうご自身で答えに半分たどり着いている状態ではないでしょうか。
優しく言うこと自体は全然悪いわけじゃないんです。
でも、優しく言った結果、後輩に伝わっていない。これは残念ながら、指導としては機能していないということです。
厳しい言い方をすると、嫌われない言い方を優先した結果、後輩が「知っておくべきこと」を知らないまま現場に立っている可能性がある。
それって、嫌われない代わりに、後輩にとんでもない不利益を背負わせている可能性がめちゃくちゃ高くないですか?
こんな言い方をしたら怖いと感じさせてしまうかもしれませんが、看護の現場では、知らなかったことが患者さんのリスクに直結することもありますよね。「優しく言ったけど伝わらなかった」では済まない場面が、たぶんこれから出てきます。

厳しい先輩、振り返ってみると…?
ここで一回、1年目のときのことを思い出してみてください。
相談者さんは「細かく指摘してくる先輩がちょっと苦手だった」と書かれています。当時、実際にそう感じていたのは事実だと思います。
でも今、自分が指導する側になってみて、その先輩の気持ち、ちょっと分かる部分が出てきているのではないでしょうか。
ちょっと苦手だなぁと思いつつも受けた指導が、あなたの今の技術の血肉になって、今のあなたのしっかりしたスキルとなり、あなたの仕事に自信を与えていませんか?
そうなると、あの先輩は「嫌われてもいいから、この子にちゃんと身につけてほしい」と思って細かく指摘してくれていたのかもしれない、と思えてきませんか?
当時の自分には「うるさい先輩」に見えたけど、今振り返ると「ちゃんと指導してくれてた先輩」だった、というパターンは結構あります。
私も研修医のころ、口うるさい上の先生のことを「細けぇなぁ…」と正直!ぶっちゃけ!思っていたんですが!自分が指導する側になってから「あのときちゃんと言ってくれてよかったー!!」と心底思いました。
というか、指導って優しいだけだと下が育たない、むしろ優しい放置になりかねないんですよね。
「後輩のためになる」がゴールだと考えてみよう
あなたが考える「割り切って指導する」を目指すのは、たぶん難しいです。嫌われたくない気持ちって、そう簡単に消えるものじゃありません。
そこを目指す代わりに、指導するときの「主語」を入れ替えてみるのはどうでしょうか。今、相談者さんの指導はたぶんこうなっています。
▼私が嫌われたくないから、優しく言う
これを、こう変えてみる。
▼この子(後輩)が困らないように、ちゃんと伝える
主語が「私」から「後輩」に変わるだけで、出てくる言葉が変わります。
たとえば、今までは、
「これ、ちょっと気をつけてね〜」(曖昧)
だったのが、
「ここ間違えると患者さんに〇〇のリスクが出るから、一緒に手順確認しよう」(具体的)
に変わります。
後者は別に厳しくないですよね。でも、伝えるべきことはちゃんと伝わる。
「優しい/厳しい」じゃなくて「相手のためになる/ならない」で考えると、言い方は自然と決まってくるんじゃないでしょうか?
「優しい先輩」ではなく「信頼される先輩」に
最後に。
「嫌われるのが怖い」気持ちは、たぶんこれからも消えません。私も今でも「この言葉の意味、意図、ちゃんと伝わってるか?」と毎回怖いです。
ただ、長期的に後輩から信頼されるのは、たぶん「優しい先輩」じゃなくて「ちゃんと教えてくれる先輩」のほうなんですよね。
短期的には煙たがられても、半年後、1年後に「あのとき言われていた意味ってこれなんだ…」と思われるほうが、結果的には嫌われません。
怖さは持ったまま、それでも「この子のために言う」を選ぶ。それで十分だと思います。
ではではまた来月お会いしましょう。
バク@精神科医
ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事?復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。
編集:北井 寛人(看護roo!編集部)
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