褒められるとプレッシャーに感じてしまう｜バク先生のナースお悩み相談室【18】

（急性期病院・3年目）

わかる。せっかく褒めてくれたのに、なんか素直に受け止められないんですよね。

 

でも、それって相手から見たらどうでしょうか？

 

今回は、きっとあなたも褒められ上手になれちゃう秘訣を教えます！

自分が誰かを褒めたとき、どう返されたい？

こんにちは！私も褒められるとしどろもどろになってしまうタイプのバクです！

急に褒められるとびっくりというか「え！？」となってしまう気持ち、めっちゃわかります！

しかし褒められたい。どうしたらいいんだこの気持ち！

というときは、まずは自分が褒められたら、と考える前に「自分が他人を褒めたら」のシチュエーションに脳内を切り替えてみましょう！

これはなんのためにやるのかというと、「相手の立場ではどう見えているか？」の確認のためです。 自分が5年目になったとしましょう。そして、後輩が書いた申し送りや記録がすごくわかりやすい！と思ったとしましょう。もうこれは褒めたい！と思ってあなたが「申し送りや記録がいつも的確でわかりやすいね！」と後輩を褒めたとして……

どう返されるとうれしいか？ 褒めがいがあるか？ そして「今後も褒めたいなぁ！」と思うか？ を考えてみませんか？

褒められリアクション 4つのタイプ

私なら、こう返されたらこう思うな〜というのをいくつか並べてみました。

まず最初、私がやりがちなやつ。「いや、そんなことないです……」という褒めを否定してしまうタイプ。

これを言われると、「あ、あれ？この人は褒められるのは苦手とか重荷なのかな？申し訳ないことしたな……」と反省モードに入ってしまうかと思います。そして、もう褒めなくなってしまうかもしれません。褒めたくても相手が嫌そうだったり、負担であればやめた方がいいですもんね……。

次は「本当ですか！？ ありがとうございます！ やる気出ます！」という単純に褒められたら感謝するタイプ。

こう言われると「おお〜！やる気が上がったっぽい！今度も褒めよう！」って思いますし、嫌味な感じがしませんね。

3つ目、「いや〜実は先輩のやり方から学んだんですよ！」という褒めたら褒め返してくれるタイプは、言う側と言われる側のキャラによります。

単純に私はうれしいですが、シャイで自己否定気味な人だと「あ、そ、そう……？（なんかヨイショされちゃったな……、無理やり言わせたかな）」と受け取られちゃうかもしれません。でも褒めてくれた相手が、いつも自分を指導してくれるプリセプターなら褒め返してもいいんじゃないでしょうか？

そして、一番困るというか褒めたらアカン人かもしれん……と思うのは「そうでしょう！私自信あるんです！」という万能感満載なタイプでしょうか。

こいつ絶対いつか重大なインシデントやってしまいそうで不安……ってなります。「私、失敗しないので」はやはり師長クラスでもなかなか言えないセリフです。ドラマ以外は成り立たない世界観かもしれませんね。

褒めを受け止めるのは礼儀！くらいでいこう

という感じで立場をひっくり返してみたわけですが、相談者さんはどれが一番「こう返されたらうれしいな」と思ったでしょうか？

他にもたくさん案があると思いますし、コメント欄で「こう返されるとうれしいかも」というご意見をいただけると、今後、私が助かります。

やはり無難なのは「ありがとうございます！」タイプでしょうか。

そうは言っても、自分が褒められたとき反射的に否定せず、相手の褒めを受け止めることがなかなかできない！という悩みがありますよね。

でも、自分が褒めたらと考えてみるのがやっぱり大切だと思うんですよ。褒めるのだって勇気が必要です。難しいですよ、褒め道は（武道みたいだな）。中には「後輩を褒めたら自分が負けてる感じがする」という思考回路の持ち主だっているんです。

だから、相手の「褒める」という勇気や評価を真っ当に受け止めることが礼儀ってもんなんだよ！という感覚で褒めてもらっていいと思います。

それが、たとえ気を遣っての軽い嘘だったとしてもいいじゃないですか。やる気を出してもらおうって気を遣わせたなら、堂々と「ありがとうございます！」でいいのですよ。 そこで「褒められるほどじゃ……」となると、褒めた先輩の見る目がないみたいになっちゃいかねません。

「今の調子でコツコツやろう」でいい

あと、一度褒められたらずっと褒められなくてはというプレッシャーは、それこそ「私、失敗しないので」系看護師の思考の卵です。

そんな危ない卵は捨てましょう。

人間は絶対ヒューマンエラーをします。それは新人でも中堅でも主任でも師長でも看護部長でもそうです。

だから、褒められたからといって「ずっと毎回褒められるようにしなくてはいけない！」ではなく、「これからも今の調子でコツコツやろう（それを認めて褒めてくれる人がいるんだから）」でいいんです。

これからも褒められたら受け止め、注意されたら改め、どんどん成長していけちゃいますって！ だってもう質問者さんはとても難しい「褒められる」をクリアしているのですから。

ではでは、また次回お会いしましょう〜！相談できたの偉い！！

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事？復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

編集：烏 美紀子（看護roo!編集部）