ミスを繰り返して足手まといの自分がつらい｜バク先生のナースお悩み相談室【17】

（総合病院・2年目）

とんでもないミスを連発しながらも、少しずつミスする回数を減らしてきた「ミスのプロ」である私がお答えしましょう！

真面目な人ほどミスにとらわれやすい

こんにちは！ミス！？ そんなの人間ならやって普通だろ！ワイはマレーバクだけど！

と謎にキャラを守ろうとしているバクです。

まず今回の相談文を見るに、いかに相談者さんがめちゃくちゃ真面目かがバンバン伝わってきます。

真面目な人ほど些細なミスを、とっても大きくとらえがちなことが多いように思います。真面目すぎると、誰でもやってしまうミスを、それこそ「誰もこんなミスをやっていないのに自分だけやってしまった……」というくらいに大きくとらえてしまうこともありえます。

真面目なことはいいことだけれど、なんでも過ぎたるは及ばざるがごとし。簡単に言い換えるならば「なんでもやり過ぎはよくない」ってことです。

人はミスをする生き物です。誰でも毎日多分なんかミスってます。自分も外来中に数回薬局から疑義照会を受けてますし、公文書的なのでも抜けがあって返却されたりしてます。

でも一応、言われたミスを繰り返さないようにはしてたら、少しずつミスは減ってるかなぁと思います。

超絶ヤバすぎるミスを毎日しているのか？？

さて、相談者さんはどんなミスをして、先輩の足を引っ張っていると「感じて」いるんでしょうか？

相談文を読むと、「あれ？先輩から『足を引っ張ってるよ！』って直接は言われてないの？」という疑問が生じます。

毎日記録の時間を間違えていて、先輩が修正しているとか？

患者さんのカルテ記載をしようとしてログインしっぱなしのPCから、別の人の名義で記載をしちゃったとか？（でもこのミスってログアウトしなかった人にも責任がありますよねぇ）

点滴を違う患者さんに投与してたら確実にアクシデントで会議になりそうだし……。

果たして相談者さんは本当に「超絶ヤバすぎるミスを毎日しているのか？」というのがわからないけど、多分やってないんじゃないでしょうか？

1年目にしんどくなって3カ月の休職をした、とあるのも「一年目こそミスをして良い！それが成長につながるのだ！」ということを知らずに自分を追い込んでしまった結果なのか、本当にとんでもないミスをしてしまった結果なのかはわかりません。

ただ「いつもミスをしてしまい」という文章と「あのとき時間があったから、もっと確認すれば」という文章から、「毎日人が死んでるようなミスはしていないんじゃないか？」と私は推察しておりますが、いかがでしょうか。

（そんな致命的なミスを毎日連発していたら、普通に退職勧告が出ているんじゃないかと思います）

まずは先輩から忌憚のない意見をもらおう

私は公表している通り、注意欠陥多動障害（ADHD）がありますが、そういう意味ではかなりミスを連発してきました。

自分の場合は「書類が遅れる＝患者さんの不利益になる！」という思考から、患者さんに迷惑がかかるミスだけはしないように必死でしたが、勉強会を忘れたり、遅刻をしたり、外勤日がイレギュラーになると出勤を忘れて他の先生に外来を代わってもらったりなど、めっちゃとんでもないミスをしてきて、とにかくミスの数を減らすことをまず第一の目標にしていました……。

だって無くならんので……ミス。

相談者さんはまず一回、信頼できる先輩に自分がミスを繰り返している（と思っている）ことを伝えて、どうしたらそのミスが防げるのか？と、そのミスが先輩から見てめちゃくちゃ足を引っ張っているのか？を忌憚のない意見として確認した方がいいかもしれません。

「足手まといになっている気がしてつらい」と言うのに、先輩から一度も注意をされていないっぽいのが本当に気になるんです。ガチめにやばければ、絶対注意を受けているはずなんです。先輩も聖人君子じゃないんですから、堪忍袋の尾が切れる前に、一回二回は注意してるんじゃないかなぁと思いますよ。

ここでもし「いや、私は一度休職しているから、先輩も言いづらいんじゃないかと思いますし……」と思われるなら、なおさら聞いた方がいいと思います。

人間はエスパーじゃないから相手がどう思っているのかはわかりません。

「きっとこう思われているに違いない」と相手の気持ちを決めつけて、それで自分を追い込んでいたとしたら、とってももったいないと思います。

そこでちゃんと先輩が「言いにくかったけれど実は……」と教えてくれたとしましょう。それをコツコツ直していくのが、質問者さんの問いである「これからどう仕事をしていけばいいか」の答えになるんじゃないでしょうか？

確認したけど、先輩からは「え？いや別にあれくらいのミスは私もするかなぁ？？」という回答が返ってくるだけなら、少し気にしすぎなのかもしれません。気にしすぎという癖を治したいな、と思われたら休職時にお世話になった医師に一度相談されてもよいかもしれません。

わからないけどきっとそうに違いない！という思い込みを抱えたまま仕事をする方が、医療はでっかいミスを呼ぶんじゃないかなぁとミスのプロの私は思っております。

どうぞ良い解決策に巡り会えますように。

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事？復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

編集：烏 美紀子（看護roo!編集部）