業務をこなすだけの毎日にモチベが低下…仕事が楽しくない｜バク先生のナースお悩み相談室【16】

（総合病院・3年目）

仕事のモチベに悩むなんて、なんて真面目な看護師さん…！

 

せっかく経験を積んで無理なく動けるようになってきたなら、次はちょっとしたムーブを業務に上乗せするのはどうでしょう？ きっと毎日が新鮮になります。

 

さて、そのムーブというのは……。

本当に毎日が同じ？

こんにちは！ 最近自分で自分に優しくしないと過労死するんじゃないかと焦り出しているバクです……。相談者さんもご自愛ください。

さて看護師さんとして、もともとやりたいことや目標がはっきりしていなかったとのことですが……めっちゃ真面目ですね……？

初っ端から相談者さんに煽りを入れているのか？と思われそうなのですが、私は医者になってやりたいことや目標が出てきたのは5年目くらいからだった気がします。

正直、3年目ではまだまだ未知の領域が多すぎてへっぴり腰だったので、何が何だかわからんかったというのが正確な気がします。

今は医者になって10数年ですが、それでもいまだに「初めて見た……」となる症例に当たります。

相談者さんが今、どんな病棟におられるのかはわかりませんが、毎日知ってる見たことがある、本当に全く同じことの繰り返しの日々なのでしょうか？

完璧でラグジュアリーでホストのように！？

例えばですが、患者さんと接するとき、これ以上にナイスな接し方はもうないほど完璧でラグジュアリーな接遇ができていたりするでしょうか。

実はこれ、私が日々意識しまくっていることなんです。

研修医で外科を回っているときの指導医から「全力でホストみたいになれ」とめちゃくちゃ衝撃的なことを言われました。何じゃそら！？

先生曰く、

「患者さんは常に心配だし不安なんだよ。そこで医者の自分らが偉そうにしたり、口調が優しくなかったりしたら、ますます心配になるし不安になるんだよ。だから丁寧すぎるくらい、気を配りすぎくらい、自分に余裕がないときはことさらに丁寧に接するんだ。ホストみたいに」

そこはホストでなくてもよくないか？と今でも思いますが、先生は心底丁寧に患者さんに接していました。

「◯◯さんこんにちは、今日は顔色いいですね！あれ？パジャマ新しいやつじゃないですか？」とか言いながら、「すみませんね、痛むときはおっしゃってくださいね」と創部を診て手早く処置し、「寒くなかったですか？」といたわりながら、相手のQOLに合わせて着衣を手伝ったり見ないように視線を配慮したり、かつ話しかけるときは膝まづいて目線を患者さんに合わせ……。

ほんまにそんなやつおるんか！？というレベルで対応されていました。

しかもキモくない絶妙なさじ加減。やりすぎるとキモいんですよね。

私は内科のときも精神科のときも、できる限りこの姿勢を見習っています。患者さんに合わせて対応を変え続けるというのは想像より大変で、これができるようになったのは「普段の業務でヘトヘトにならなくなった5年目」くらいからでした。

「最高にイケてる看護師ムーブ」してみるのはどう？

決まったことをやるだけ、でもカートの整理とかで常に改善点を探すとか、処置台の配置をこっそりええ感じにするとか、その先生は暇さえあれば、いろいろなポイントで「普段を変えよう」とされていました。

なので相談者さんにも提案なのですが、せっかくそこまで動けるようになったなら、今度は「自分の考える最高にイケてる看護師ムーブ」を業務に乗せてみませんか？

突飛もないことを言われているように思うかもしれませんが、私は過去に入院したとき、患者としての立場から看護師さんや主治医を観る機会があり、改めて「あ、あの先生が言ってたホストになれ！ってこう言うことか！？」とも思いました。

丁寧に接してくれている看護師さんを患者はとにかく覚えるものです。

そして患者からすると「あ〜流れ作業でこなしてるだけやな〜」とか「定型文読み上げみたいなバイタルチェックやな〜」とかが意外と透けて見えます。

転職も良いかもしれません。でも、ものすごくオーダーメイドに接してくれる看護師さんって患者の立場を経験した自分からすると、めっちゃありがたかったんですよね。ええ感じの塩梅を探りながら一回やってみてはどうでしょうか。

（ちなみに私はいまだに外来でそのムーブを継続しており、毎回新鮮な気持ちで仕事をしております）

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事？復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

編集：烏 美紀子（看護roo!編集部）