「こんな看護師にはなりたくない」と思った看護師になりそうで不安｜バク先生のナースお悩み相談室【15】

（大学病院・1年目）

どんな人でも余裕がないときは人に優しくできないものです。でも「そうなりたくない」と思っていることが大事ですよね。そんな相談者さんへ、余裕がないときでも態度が悪くならなくてすむ、とっても簡単な方法をお伝えしましょう！

看護学生への態度、なんでそんな冷たいねん？

こんにちは！バクです。

既にいっぱいになっているくらい仕事が忙しいんですね。おつかれさまです！

そして私も気になっておりました……、「看護師さんって看護学生さんになんでそんな冷たいねん？」問題ですね。今も続いているのかなぁと思っていたら続いていそうですね。

一回、興味本位でガン無視タイプナースステーションの看護師さんに「何で看護学生さんを無視するんですか……？」と聞いたことがありますが、「私たちがそうされたので、そうしている」という人と、「周りがそうしているから、怖くて一緒に無視してしまう……」という人がいました。

ちなみに私がいろんな勤務先で見た感じ、「◯◯大学看護学部学生◯名、ただ今よりお昼休憩をとらせていただきます！午前のご指導ありがとうございました！（したー！）午後からもご指導よろしくお願いいたしますー！」みたいなコール（コールじゃないんでしょうけれども）に、ナースステーション全員が無視するという極寒の世界と、「おつかれさま！」と返事をしてくれる温かい世界の二種がありました。

私は普通にその場にいたら「おつかれさまでーす」と挨拶をしたり、まだ紙カルテだった頃には学生さんが使ってないところだけ抜かせてもらったりしていました。

……なんですけども、ガチで急いでるのに学生さんがカルテを病棟から持ち出してどこかに消えてたときは、さすがにキレ気味に探し回りました。その上、休憩室で笑いながらカルテを肘の下に置いて見ないで学生同士が喋っていたりしたら、感情が爆発してました。

その頃は余裕が全くない、急変バリバリの腫瘍内科だったのだと言い訳させてください。

バチクソ忙しくてもキツくならない簡単な工夫

基本的には余裕がないとき、人は他者に優しくしづらいと思います。だけど、相談者さんのように「そうなりたくない」と思ってるか思ってないかで話はだいぶ変わるんじゃないでしょうか。

相談者さんが後者にならないようにしつつ、バチクソ忙しいときにもなんとか無視やキツい物言いをしなくていいようになる簡単な工夫を少しだけ考えました。

それは挨拶と敬語です。

は？と言われるかもしれませんが、「こんにちは」「おつかれさまです」「さようなら」だけでも口にすると印象はかなり変わります。

廊下で学生さんを見かけたらまずは挨拶をしましょう。最初は恥ずかしいかもしれません。言われた方も「え！？」となって咄嗟に返せないかもしれません。

でも自分が学生だったときに挨拶をされていたら、そこまで怖いと思わなかったのではないでしょうか？

私は著書でも「とにかく挨拶はして損はなし」とずっと言ってきていますが、本当に何も損はしないし、一言、口を動かすだけで済みます。中には「その態度、何やねん？？」という学生さんもいるかもしれません。でも挨拶さえしていれば相手からの好感度はあがります。

挨拶・敬語・おつかれさまで無敵！

そして敬語。

これはもう絶対、敬語の方がいいです。ここで先輩風吹かせても怖いだけです。部活じゃないんだよ、職場だよ。

まぁ医者は部活の先輩後輩みたいな雰囲気が強いので、上からタメ口で話されることは多いですが、基本的には、どの職場も相手に敬意を持って敬語で話して損することはありません。学生さんにもガンガン敬語で話しましょう。

タメ口とか威圧的な話し方をしないと舐められると信じて疑わない人もいますが、敬語でも十分スキルがあれば舐められたりはしません。

あとは語尾に「おつかれさま」とかのねぎらいをつけられたらもう無敵です。 　

✕：「学生さんさぁ〜！言ってた記録できた！？できたらすぐ報告して！？」 　

◯：「こんにちは！◯◯さん記録できましたか？できたら教えてください。おつかれさま！」

「〜できた！？」とか言うだけで無駄にカロリーを使うんですよ、実は。イライラしても相手の動きは鈍るばかりで効率よくなるわけありません。だって怖いと萎縮しちゃいますから。

それにこれ、どっちが自分が焦らなくなるかっていうと後者なんですよ。自分の声で自分も焦り出す人も多いんです。

これから学生さんがきた時にこのお話が役に立ちますように。

しんどい中、これから来る学生さんの気遣いができてる相談者さんは立派な先輩先生ですよ！マジでおつかれさまです！

執筆

バク@精神科医

ADHDをはじめとした発達障害持ちの元文系。理転した後、無事に医学部に合格。国家試験も何とかクリアしたものの、専攻した内科で適応障害になり休職し、精神科医として無事？復活。精神科でジェンダー外来を通じ自分の性自認が完全に無いことに気付く鈍感さ。そんなアセクシャルながらもご縁があって結婚できた、いろいろぼんやりしている精神科医。
雑誌連載や書籍を出したり、依頼があれば講演会をしたりしながら「生きてみるもんだなぁ」と日々感謝しながら今日も日本のどこかで働いている、はずです。

編集：烏 美紀子（看護roo!編集部）