乳がん看護認定看護師になるには?役割やメリット、仕事内容を紹介

乳がん看護認定看護師は、乳がんの患者さんやその家族に対して、身体的・心理的・社会的なサポートを行う資格です。
この記事では、乳がん看護認定看護師の役割や仕事内容、メリット、資格取得までの流れなどを解説します。
目次
乳がん看護認定看護師とは?
乳がん看護認定看護師は、乳がん患者さんや、そのご家族をケアする認定看護師資格です。
乳がんの病態や治療法、患者さんの心のケア方法など、資格取得で身につけた高度な専門知識を生かして、乳がん患者さんとそのご家族のQOLが向上するようにサポートします。
2023年12月時点では、389名の乳がん看護認定看護師が誕生しています。
乳がん看護認定看護師は、どのような役割があり、どんな仕事をしているのか、解説します。
乳がん看護認定看護師の役割
乳がん看護認定看護師は、乳がん看護に関する高度な知識や技術を身につけて、患者さんの看護を行う役割があります。
特に乳がんは乳房の切除や抗がん剤の副作用による脱毛など、セクシャリティや精神的な負担に関わることが多い病気です。
そのため、乳がんの診断を受けた患者さんは、大きなショックを受けることがあります。乳がん看護認定看護師は、そのような患者さんに対して、治療だけでなく、心理的なサポートや退院後の生活のサポートを行う役割も求められています。
また専門知識を生かして、部下や後輩の看護師に乳がん看護の指導をすることや、多職種との連携を強めることで、チームワークを高めることも求められています。
乳がん看護認定看護師の仕事内容
乳がん看護認定看護師の主な仕事内容は、
- 医師の診察後の患者さんのフォロー
- 乳がん看護外来の開設
- 電話やメールでの乳がんに関する相談対応
など、治療の流れや抗がん剤の副作用の説明などを通して、患者さんが治療方針を決めるためのサポートや心理的ケアを行います。
その他に、スタッフ育成のための勉強会講師を務めることもあります。
乳がん看護認定看護師になるメリット
乳がん看護認定看護師になると、次のようなメリットがあります。

1スキルアップにつながる
乳がん看護認定看護師になれば、乳がん看護に関するスキルアップにつながります。
患者さんからの質問や相談に適切に回答するには、乳がんの病態や治療法だけでなく、心理的支援や家族ケアの方法も知っておかなくてはなりません。
乳がんの治療は、新しい治療法や薬剤、早期発見技術などの登場によってどんどん複雑になっていきます。そのような中で、乳がん看護認定看護師になるための学習を通して身につけた専門的な知識・スキルは、強みになるでしょう。
2リーダーシップを発揮できる
乳がん看護認定看護師になると、リーダーシップを発揮できるようになります。
乳がん看護認定看護師は、資格取得までの学習で、他の看護師に対する指導の仕方を学ぶことができます。
そのため、資格取得後は部下や後輩に乳がん看護の知識や技術を伝える場面が増えるでしょう。こうしたことを通して、乳がん看護の中心的存在になることができます。
乳がん看護認定看護師になるには?
乳がん看護認定看護師になるために知っておきたい、資格取得の流れや学習内容について確認しましょう。
乳がん看護認定看護師になるまでの流れ
乳がん看護認定看護師になるには次のような流れとなります。

乳がん看護認定看護師の受験に求められる実務経験
乳がん看護認定看護師を受験するには、以下の勤務実績が必要です。
- 看護師としての5年の実務経験がある
- そのうち3年以上、乳がん患者さんの多い病棟・外来などでの看護実績がある
- 乳がん患者さんの看護を5例以上担当している
- 現在、乳がん患者さんの看護に携わっている
参考:日本看護協会「特定看護分野の実務研修内容の基準」
実務経験は、常勤であっても育児休業の期間などは含まれないため注意が必要です。
自身の実務経験が足りているかどうかなどが気になる方は、指定された教育機関(後述)に問い合わせてみましょう。
乳がん看護認定看護師になるための学校と学習内容
認定試験を受ける前に、指定された教育機関(学校)で学習する必要があります。
教育機関に入学すると、1年以内に800時間程度の学習をすることになります。
教育課程は「共通科目」「専門科目」「演習・実習」の3つに分かれていて、医療施設・在宅を問わず、乳がんの予防から診断、治療期、エンドオブライフなどのさまざまな看護を学びます。
なお、乳がん看護認定看護師の学習ができる学校は、静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程の1カ所のみです(2024年4月現在)。
乳がん看護認定看護師の試験内容と難易度
認定審査の試験は年に1回実施されていて、内容は毎年、以下のようになっています。

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」
乳がん看護認定看護師の試験の難易度は低くはありません。公式な合格率の発表はありませんが、学習が約800時間あることから、学習のハードルは高いでしょう。
乳がん看護認定看護師になるまでの期間
学校に入学してから合格するまでには、1年9カ月以上はかかります。大まかなスケジュールを見てみましょう。
合格までのスケジュール例
- 4月~翌年3月までの1年 カリキュラムに沿った学習
- 10月 認定審査
- 12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録
参考:静岡県立静岡がんセンター「2025年度認定看護師教育課程(B課程)募集要項 」
少なくとも教育機関に通っている間の1年間は、仕事と両立するのが難しくなることから、一時的に退職や休職が必要なケースもあります。
勤務先によっては、認定看護師の取得のために積極的に休職を受け入れてくれたり、勤務扱いにしてくれたりする場合もあるため、確認してみましょう。
乳がん看護認定看護師になるための費用
乳がん看護認定看護師になるには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料などで120万円程度かかります。
表資格取得にかかる費用例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学試験の受験料 | 5万円 |
| 入学金 | 5万円 |
| 授業料 | 100万円 |
| 認定審査料 | 5万円 |
| 認定料 | 5万円 |
参考:獨協医科大学地域共生協創センター「2025(令和7)年度認定看護師教育課程感染管理新生児集中ケア(特定行為研修を組み込んでいる教育課程:B課程教育機関)募集要項」
また、上の表に加えて教材代がかかります。また学校が遠方にある場合は、引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。
すべて自分で支払うのが難しい場合は、日本看護協会の「認定看護師教育課程奨学金」を活用するのも1つの方法です。
まとめ
乳がん患者さんは病気になったことを知らされて衝撃を受けている時期に、治療方法や乳房再建をするかどうかなど、短時間でいくつもの選択をすることになります。
乳がん看護認定看護師は患者さん一人ひとりの気持ちに寄り添って、ベストな選択ができるよう支援するために役立つ資格です。興味を持った方は、取得を検討してみてください。
執筆:看護roo!編集部
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