最終更新日 2019/05/13

Rh血液型

Rh血液型とは・・・

Rh血液型(あーるえいちけつえきがた、Rh blood group)とは、血液型の一種である。
Rh抗原に対する抗体は、不規則抗体の一つで、最も重要な不規則抗体である。

【Rh陽性・陰性】
Rh系にはC、c、D、E、e という5種類の抗原が存在することが分かっている。そのうちDの免疫原性が輸血の際に最も影響を与えることから、D抗原の有・無をRh陽性・Rh陰性として表示する。D抗原がない場合(D抗原陰性)をRh陰性という。日本人のRh陰性は200人に1人の割合(0.5%)で、白人(15%)に比べるとかなり低い 1)

【抗原抗体反応】
体内に入ってきた抗原を排除しようと免疫抗体が反応して溶血が起こることを抗原抗体反応という。この抗原抗体反応はすべての不規則抗体で起きるわけでなく、Rh陰性 (D抗原陰性)者が産生する抗D抗体が赤血球血液型に対する不規則抗体では最も強いことが知られている。

■輸血
Rh陰性である場合に問題となるのは、輸血を受けるときである。
Rh血液型において、Rh陰性の患者にRh陽性の血液を輸血すると抗原抗体反応が起こる可能性が高いため、通常Rh陰性の患者にはRh陰性の血液しか輸血することはできない。一方で、Rh陽性の患者にRh陰性の血液を輸血することは問題なく行うことができる。

■妊娠
妊娠でも輸血時と同様の問題が起き得る。
具体的にはRh陰性の母親がRh陽性の児を妊娠した場合である(Rh式血液型不適合妊娠)。
初回妊娠ではまだ抗体が産生されていないことが多いため、問題になることは少ないが、第1子出産時に、胎児の血液が母親の血液に混ざることで、母親がD抗原への抗体(抗D抗体)を獲得することが多い。そして、第2子以降、母親が抗D抗体を獲得している場合にこの抗体がRh陽性(D抗原陽性)の児へ移行して抗原抗体反応が起こり、児の赤血球が破壊される。
ただし、現在はこのような反応が起こることが知られているため、第1子妊娠時に抗体を獲得しないよう、妊娠中や出産後の適切な時期に母親に抗Dヒト免疫グロブリンの投与を行う。また、たとえ抗体を獲得していても、適切な妊娠管理や出産後の児への交換輸血、光線療法などの処置を行うことで対応することができる。

 

引用参考文献
1)日本赤十字社 大阪府赤十字血液センター.“Rh血液型について”.

執筆: 浅香葉子

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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