最終更新日 2019/10/24

滑車神経

滑車神経とは・・・

滑車神経(かっしゃしんけい、trochlear nerve)とは、目を内下方に動かす上斜筋を支配する神経の一つである。脳神経の中で最も細い神経で、第Ⅳ脳神経とも呼ばれる。
 
滑車神経は、脳の背側から走行している唯一の脳神経で、滑車神経核は中脳の下丘下部にある。経路は、中脳の背側を交差し、中脳外側面を回って左右の神経が交叉した後、脳外に出て背面から腹側に向かい、前方の上眼窩裂より眼窩に入って、上斜筋を支配している。
 
上斜筋は、眼球の内側上方にあり、眼球運動を司る外眼筋の一つである。眼球運動のなかでも眼球を内側に回転させることによって、内側(側)や下向きに動かす働きがある。
 
【障害されると発生する症状】
滑車神経に障害が生じた場合、上斜筋の麻痺により滑車神経麻痺が起こる。患眼は外旋し(右目の場合は反時計回りに回旋)、外上位に偏位(急性期は内上位に偏位する)となり、階段の下降が困難になる。第Ⅳ脳神経麻痺ともいわれる。
滑車神経麻痺は、しばしば原因不明であるが、外傷性や先天性、脳血管障害、腫瘍などが原因となることがある。原因が特定された場合は、原因疾患に対する治療を行うが、場合によっては手術が適応になることもある。
 
【検査】
上下斜視や、上下左右の4方向に目を動かして眼球運動の異常の有無を診察する。滑車神経麻痺の場合、麻痺している眼球と反対方向に頭を傾ける代償性頭位という特徴的な姿勢になるため、診断がつきやすい。
また、頭の位置の異常がないか、麻痺を起こした眼球側に頭を傾けると上下斜視が増加するかどうかの頭部傾斜試験を行う。

執筆: 永澤成人

東京慈恵会医科大学医学部 看護学科老年看護学助教

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