最終更新日 2018/06/06

ノロウイルス

ノロウイルスとは・・・

ノロウイルス(のろういるす)とは、急性腸炎を引き起こす原因ウイルスの一種である。感染力が強く、10~100のウイルス粒子が経口的に侵入しても感染が成立する。空腸の上皮細胞に感染して、絨毛の萎縮と脱落による吸収障害や、酵素の活性低下により、激しい下痢症状を引き起こす。

【原因】
患者の手についた糞便感染や、下水を通して海に運ばれたウイルスを取り込んだ貝類を、生や不十分な加熱で食すことによる感染、汚染された貝類を調理した手や包丁・まな板を通した感染がある。感染を防ぐために85℃以上、1分以上の加熱が勧められている。

【症状】
潜伏期間は12~48時間で、下痢・嘔吐・嘔気・腹痛・発熱等の症状を呈する。症状は通常発症後1~3日間持続するが、中には長引く場合もある。ウイルスは症状が消失した後も3~7日間は患者の便中に排泄されるとされており、感染予防対策も重要である。

【診断・治療】
電子顕微鏡によるウイルス粒子の検出、遺伝子検出、迅速抗原検出がある。特異的な治療方法はないため、全ての胃腸炎症状を呈する患者にウイルスの同定診断を行う有用性は低いと考えるが、感染性腸炎の集団発生の際等、診断が必要な際には迅速抗原検出法が広く用いられている。感度92%、特異度98.3%と、感度・特異度ともに良好である。しかし便中のウイルス量が少ない場合に偽陰性となったり、新生児の便は偽陽性の頻度が高いとされており、検査結果の解釈は、臨床症状と併せて行う必要がある。

【感染対策】
食品の加熱や調理者の手洗いは必須である。ノロウイルスはアルコール消毒が無効であり、石鹸と流水による手洗いが基本である。病院内や長期療養施設内で感染が判明した場合、患者は原則個室隔離をするのが望ましい。入院中の感染予防策としては、標準予防策に加えて手袋・ガウン等の接触感染予防、マスク着用等の飛沫感染予防策が必要である。症状が消失しても3~7日は糞便に排泄されるため、症状改善後も標準予防策は続ける必要がある。さらにマット等に付着し乾燥したウイルスでも20日程度生存することが可能とされており注意が必要である。また、吐物が乾燥すると含まれていたウイルスが大気中を浮遊するため、飛沫感染予防策としてマスクの装着は必須である。

執筆: 畑 菜摘

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科 救命救急センター

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