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2016年12月14日

血圧が低下した患者さん ベッドは下肢挙上?フラット?

自分で考えて行ったケアが、後から先輩看護師に注意されることってありますよね。「それなら先に指示してくれればいいのに…」なんて思ったり…。
本企画では、新人看護師が普段のケアで間違いやすい、もしくは気付きにくいポイントについて、ベテラン看護師が解説します。ぜひ、ベテラン看護師の「考え方」を知り、日常の看護で実践してみましょう。

 

どう考える?どう動く?場面別でわかる看護のポイント【1】

血圧が低下した患者さん ベッドは下肢挙上?フラット?

上川智彦
山梨県立中央病院 救急看護認定看護師

 

〈目次〉

◆ここがポイント!
POINT1 「様子がおかしい」に気付いたら、緊急かどうか見る
POINT2 「様子がおかしい」患者さんから離れない
POINT3 「血圧低下」だけに注目しない

◆どうすればよかった?
1)患者さんの変化を発見したら、その場から離れない!
2)緊急度が高いと判断したら、行うことは6つ!
3)「血圧低下=下肢挙上」は間違い?!

 

患者紹介Aさん、40歳代、男性

入院時の診断名

不安定狭心症

 

既往歴

検診の時に糖尿病(DM)の指摘があるが放置していた。

 

現病歴

仕事中に胸痛があり、不安定狭心症と診断。経皮的冠動脈カテーテル(Percutaneous Coronary Intervention;PCI)目的にて入院となった。

 

経過

入院翌日、ベッド上にて座位保持で下をうつむいている患者さんを発見。ベッドの近くに寄りをかけると、受け答えはできるが反応が鈍く、顔を見ると顔面蒼白で冷や汗をかいている状態であった。

先輩看護師はなぜ低血圧の患者さんのベッドを
フラットにするよう指示したのでしょうか?

 

ここがポイント!

POINT1 「様子がおかしい」に気付いたら、緊急かどうか見る

新人看護師は、「何かおかしい」と患者さんの変化に気付くことができています。しかし、緊急を要する状態かどうかを判断することができていませんでした

 

患者さんの変化に気付けることは重要です。
なぜなら、患者さんの変化を見逃してしまうと、死に至ってしまうケースもあるためです。
変化に気付けたら、その変化が何かを追求するより先に、緊急か否かを判断することが重要となります。

 

POINT2 「様子がおかしい」患者さんから離れない

「患者さんの様子がおかしい」ことを発見した看護師がその患者さんから離れてしまうことは、やってはいけない行為です。

 

今回の患者さんは、特に「顔面蒼白」「頻呼吸」「冷汗がある」状態であり、これは緊急度が高いと判断できます。「何か変だな」と思ったときには、離れずに患者さんの呼吸回数橈骨動脈で脈拍の速さ、強さなどを確認するなど、触れることが大切です。
緊急度が高い患者は、目を離している間に急激に容態が変化し、心停止に至ってしまう可能性があります。心停止になった場合は、できるだけ早い段階で蘇生処置ができるかが救命率を左右するため、患者さんのそばは離れずに応援を呼びましょう

 

POINT3 「血圧低下」だけに注目しない

新人看護師は、血圧が低下したことだけに注目してしまい、「顔面蒼白」「頻呼吸」「冷汗がある」という患者さんの症状を多角的にとらえて、ショック状態であることを認知できていませんでした。
そのため、症状に適した対応ができず、「血圧低下=下肢を上げる」という教科書的な対応になってしまったと考えます。

 

どうすればよかった?

1)患者さんの変化を発見したら、その場から離れない!

患者さんの変化に気付いたら、その場から離れずに患者さんの全体的な印象をとらえながら、意識、気道、呼吸、循環表1)や、ショックの5P(蒼白・虚脱・冷汗・脈拍減弱・呼吸困難)があるかを観察します。
もし、それらに異常があった場合は、その場を離れず先輩や他のスタッフを呼ぶことが重要です。

 

表1意識・ABCアプローチを使った観察内容

 

ここでは、バイタルサインの数値などではなく、自分自身の五感を生かして患者さんの変化を評価することが重要です。

 

2)緊急度が高いと判断したら、行うことは6つ!

患者さんを観察して緊急度が高いと判断したら、以下の6つを行いましょう。
①応援要請
②ドクターコール、救急カート、AEDを依頼
③酸素投与
④モニターの準備(SpO2、心電図)
⑤静脈路を確保し、輸液負荷や薬剤を使用できるように準備
⑥呼吸、循環動態の著しい機能低下の場合はBLSを開始

 

独りでできることには限りがあるため、最初に応援を呼び状況を伝えます。
その際の報告は、「5W1H」(表2)や「SBAR」(表3)などの方法を使用して、簡潔明瞭に伝えましょう。

 

表25W1H

5W1H

 

表3SBARを用いた状況報告

SBAR

文献1から引用一部改変

 

 

3)「血圧低下=下肢挙上」は間違い?!

このケースで新人看護師が行おうとした下肢の挙上ですが、これは「ショック体位」を取ろうとしたと考えられます。
下肢の挙上(受動的下肢挙上)は、心拍数や平均動脈圧、心係数、1回拍出量を改善する可能性がありますが、7分未満の効果だけであり、臨床的意義ははっきりしていません。

 

しかし、受動的下肢挙上による有害事象を報告した研究がないため、一時的な手段として適切な場合があり、仰臥位、もしくは受動的下肢挙上を合わせた仰臥位を推奨します。

 

ただ、受動的下肢挙上は、あくまでも応急処置であり、ショック状態を根本的に回避するものではありません。ショック状態を根本的に回避するには、ショック状態の原因を取り除く対応が必要となります。 そのため、緊急度が高いと判断した先輩看護師はショック体位をとるよりも応援要請やドクターコールを指示したのです。

 


[文 献]

  • (1)日本医療教授システム学会監修:患者急変対応コースfor Nursesガイドブック、中山書店、2008
  • (2)一般社団法人 日本蘇生協議会監修:JRC蘇生ガイドライン2015、医学書院、2016
  • (3)篠澤洋太郎、岡本和文編集、ショック管理Q&A-迅速で、的確な対応のために-、総合医学社、2009
  • (3)パトリシア・ベナー著、井部俊子監訳、ベナー看護論 新訳版 初心者から達人へ、医学書院、2012

[マンガ]
おのようこ


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