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2016年06月15日

GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)|知っておきたい臨床で使う指標[2]

臨床現場で使用することの多い指標は、ナースなら知っておきたい知識の一つ。毎回一つの指標を取り上げ、その指標が使われる場面や使うことで分かること、またその使い方について解説します。

根本 学
埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科診療部長

 

GCS(Glasgow Coma Scale)

GCS(Glasgow Coma Scale)はTeasdale Gらによって1974年に発表された意識レベルの評価指標で、現在、世界的に広く使用され、世界標準となっています。

〈目次〉

 


GCS(Glasgow Coma Scale)

GCS

 

GCSを主に使う場面と使用する診療科

GCSは救急外来集中治療室など限られた場所で使用されており、使用する診療科も救急科脳神経外科など一部の診療科であることが多いと思われます。

同じく意識レベルを評価する指標にJCS(Japan Coma Scale)がありますが、こちらは病院前救護(プレホスピタル)も含め、多くの場所で使用されています。

 

GCSで何がわかる?

意識レベルを「開眼」を4段階、「発語」を5段階、「運動」を6段階に分け、それぞれの最良応答で評価し、合計点で重症度・緊急度を判断します。
点数が低いほど重症度・緊急度が高いです。

GCSは3つの運動機能で判断するという多軸指標であるため、認知および覚醒反応をより具体的に知ることに長けています。
ただし、JCSと同じく、一次性脳障害、特に脳血管障害や頭部外傷の重症度や緊急度、あるいは進行度を知る目的で作成された評価指標であるため、精神状態を評価するには適していません。

 

GCSの使い方

開眼・発語・運動をそれぞれ「最良」で評価して点数をつけ、その合計点(最軽症は15点、最重症は3点)を付記します。

たとえば、目を閉じていても、軽い呼びかけで開眼するのであれば開眼は「4点」と評価して構いません。また、言語と運動は数回繰り返し、最も良い反応で評価します。

GCS8点以下は緊急度が高いと判断し、呼吸や循環に注意しながら早急に原因を検査する必要があります。また、短時間で合計点が2点以上低下した場合も病態が急速に悪化していると判断しましょう。
合計点が13点以下であった場合は頭部CT検査などで頭蓋内病変の有無を調べる必要があります。

 

さらにプラスαAVPU評価法

簡便な意識レベルの評価法で、主に救急現場や初療室集中治療室入室時などにおける初期評価で用います。

 

AVPU

 

 

GCSを実際に使ってみよう

症例1

24歳の女性。交通事故で搬送されてきた。
呼びかけでは開眼せず、痛み刺激でかすかに開眼するがすぐに目を閉じてしまう。
質問には応じず、「う~っ、う~」とうなり声を上げている。指先に痛み刺激を加えると指を引っ込める運動を示す。GCSを使って意識レベルを評価してください。

答え:GCS E2 V2 M4 合計8点

呼びかけで開眼せず、痛み刺激でかすかに開眼するのでEは2点。
質問に応じず、発語もなくて「う~っ、う~」とうなっているだけなのでVは2点。
痛み刺激に対して引っ込める運動を示す、すなわち逃避行動を示すのでMは4点となり、合計8点。

→GCSを確認

 

症例2

82歳の男性。いつもと様子が違うのに家族が気付き自家用車で救急外来を受診した。
目を閉じているが大きな声で呼びかけると開眼する。
質問には答えず、ぶつぶつと独り言を繰り返している。命令に応じることはできないが、痛み刺激に対して右手で払いのける動作を示す。GCSを使って意識レベルを評価してください。

答え:GCS E3 V3 M5 合計11点

大きな声で開眼するのでEは3点。
質問には応じないが独り言を繰り返しているのでVは3点。
痛み刺激に対して右手で払いのけるのでMは5点となり、合計11点。

→GCSを確認

 

症例3

78歳の女性。脳梗塞の診断で集中治療室に入院となった。
開眼しているが質問に対しては、「私どうしたの? ここはどこ? ごはんの準備をしなくっちゃ」など会話は成立しない。
「手を握ってください」と言うと右手は握るが左手は握らない。GCSを使って意識レベルを評価してください。

答え:GCS E4 V4 M6 合計14点

開眼しているのでEは4点。
質問に答えることができず、話はしているが会話が成立しないのでVは4点。
命令に対して右手で応じることができるのでMは6点となり、合計14点。

→GCSを確認

 

さらにプラスα

意識が清明であることを「クリアー(clear)」と表現されることがありますが、正しい医学用語は“alert”ですから注意しましょう。

 

 


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今日の看護クイズ 挑戦者210

Aさんは40代男性で、統合失調症と診断されています。18歳の時に発症し、これまでに5回の入院歴があります。入院後も自閉的な生活が続いており、ほとんどほかの患者さんとの交流はありません。最近は一日中コップを片手に持ち、洗面所と部屋を行き来するなど飲水行為が目立っています。身長168cm、今朝の起床時の体重は60kgでしたが、昼食後に再度測定すると、67kgまで増加していました。表情もボーっとしており、問いかけにも返答がありません。歩行時にふらつきが見られ、昼食前にズボンの前を濡らしたまま歩いていました(尿失禁)。このような状態の多飲水患者さんへの看護として最優先される対応はどれでしょうか?

  • 1.患者に朝と夜に体重測定を行ってもらい、1日で摂取できる水分量を伝え、それをうまく配分、コントロールできるよう看護師が教育的な援助を行う。
  • 2.水に集中している意識がほかのものに向くよう、作業療法やレクリエーションなどを導入し、気分転換を図るよう援助する。
  • 3.コップを看護師が管理し、飲水量を厳しくチェックする。それでも飲水が止まらず体重がプラス5kgになれば、保護室で隔離を行い、水分摂取を強制的に制限する。
  • 4.Aさんは、昼食後の体重が基礎体重よりプラス5%を超えており、意識障害も疑われるため、血液検査を考慮する。
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