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2016年11月20日

発熱|体温とその調節

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

〈前回の内容〉

発熱物質|体温とその調節

今回は、発熱について解説します。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

〈目次〉

 

Summary

  • 発熱は、発熱物質の作用でセットポイントが正常体温より高くなることに起因する。
  • 発熱初期の悪寒は、現象として運動初期の酸素不足と似ている。
  • 回復期の発汗は、現象として運動終了後の酸素負債と似ている。

 

発熱の起因

発熱 fever、pyrexia は、発熱物質 pyrogen の作用でセットポイントが正常体温より高くなることに起因する。

図1“熱負債”と酸素負債の比較

“熱負債”と酸素負債の比較

 

図1のように体温調節のセットポイントが上昇したときに実際の核心温はすぐには追随できないので時間遅れが生じる。これは運動初期に、その運動に必要な酸素消費量 oxygen consumption に実際の酸素摂取量 oxygen uptake が追いつかないため、酸素不足 oxygen deficiency が生じる現象に似ている。

酸素不足は解糖系 glycolysis などの嫌気的 anaerobic ATP産生系によりO2不足を補う。発熱の場合も視床下部 hypothalamus で設定されたセットポイントまで実際の体温を上げるために皮膚血管収縮で熱放散を抑制し、ふるえで熱産生を亢進させる。これが風邪の引きはじめに経験する悪寒 chill である。

 

 

熱型

発熱は、日内あるいは日間の変動のパターンにより熱型に分類される。発熱を伴う疾患のなかには、次のような特有の熱型を示すものがある。

弛張熱 remittent fever
最高体温および最低体温の日内差(日差)が1℃以上あり、最低体温も37℃以上の発熱。敗血症 sepsis や結核 tuberculosi の末期でみられる。

持続(稽留)熱 continued fever
体温が38℃を超える値で持続して、日差は1℃未満の発熱。腸チフス typhoid fever の極期に認められることが多い。

周期熱 periodict fever
無熱期と有熱期が一定の間隔をおいて規則的な周期で現れる発熱。代表的な疾患としてマラリア malaria がある(図2)。

図2熱型

熱型

 

NursingEye

発熱物質が除去されると、体温調節のセットポイントが正常値まで下がる。このとき実際の体温は急に下がるわけではないので、皮膚血管拡張で熱放散を亢進させたり、発汗が起こる。汗をかくと風邪が治るとよくいわれるが、実際には風邪が治って、体温調節のセットポイントが正常に戻り、実際の体温をそこまで下げるために汗をかくのである。すなわち、風邪が治ったから汗をかくのである。

 

〈次回〉

高熱|体温とその調節

⇒〔ワンポイント生理学〕記事一覧を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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