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2016年04月24日

神経情報の伝達のしくみ(2)|神経系の機能

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

〈前回の内容〉

神経情報の伝達のしくみ(1)|神経系の機能

今回は、神経情報の伝達のしくみについての解説の2回目です。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

Summary

  • 神経系の情報・指令の伝達方式は、神経線維とシナプス間で異なり、神経線維上は活動電位の伝播(電気的)により、シナプス間は化学伝達物質(化学的)を介して行われる。
  • 中枢神経系には多数の化学伝達物質が存在し(アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、GABA、グルタミン酸、NO等)、放出された伝達物質はシナプス後膜に存在するそれぞれ固有の受容体に結合する
  • 中枢の化学伝達物質には、シナプス後膜を興奮させる興奮性伝達物質と抑制させる抑制性伝達物質がある。

 

〈目次〉

 

神経線維の興奮伝導-電気的情報伝導(図1

細胞膜はリン脂質二重層でできているので、イオンは膜を通過できないことになる。ところが、細胞膜にはさまざまなイオンチャネル・タンパク質がたくさん埋め込まれており、このチャネルを介してイオンの出入りは可能となる。

静止時には細胞内はマイナスに、細胞外はプラスになっている(図1-A)。この理由は、静止時にはカリウムイオン(K)チャネルのみが開くからで、これにより、細胞内に圧倒的に多く存在するKが拡散により細胞外に出ていく。プラスイオンが出ていくので神経線維膜の内側はマイナスになるのである。

図1神経線維の興奮伝導

神経線維の興奮伝導

 

静止膜に刺激が加わるとイオン透過性は変化して、まずナトリウムイオン(Na)チャネルが開く。Naは細胞外に圧倒的に多く存在するから、細胞外から細胞内にNaが流れ込む。Naはプラスイオンなので、細胞内電位はマイナスからプラスに傾き、細胞内外の電位が逆転する(脱分極)。

やがてNaチャネルが閉じ、電位依存性Kチャネルが開く。するとKが流出して、細胞内の電位はもとの静止電位まで戻っていく。この一連の活動電位は隣接する細胞を興奮させ、次々と情報(興奮)を神経線維である軸索の終末まで伝播する(「生体機能の統御(1)」参照)。

なお、髄鞘は電気絶縁性が高いので、ここではイオンの流れを生ずることはできないが、髄鞘がとぎれているランビエの絞輪ではイオンの流れ(活動電位)が生ずる(図1-B、図2 )。したがって、興奮(活動電位)は絞輪から絞輪へと飛び越えるので、興奮の伝導が加速される。

図2ニューロンの構造

ニューロンの構造

有髄神経では、シュワン細胞の細胞膜が軸索の周囲をいく重にも取り巻いている。

(堺章:新訂目でみるからだのメカニズム.p.146、医学書院、2000より改変)

 

 

シナプス間隙の情報伝達-化学伝達物質による情報伝達方法(図1-C、図2

興奮が軸索の終末まで伝播すると、シナプス前膜を脱分極させ、終末の小胞に貯蔵されている特有の化学伝達物質の放出を引き起こす。放出された化学伝達物質はシナプス間隙を拡散し、シナプス後膜上にある化学伝達物質特有の受容体と結合することによって情報を伝える。

シナプスにおける化学伝達には、放出される伝達物質の違いにより、興奮を伝える場合(興奮性伝達)と抑制を伝える場合(抑制性伝達)がある。

神経線維上の情報伝達の方法はすべて共通(活動電位の伝播による)であるにもかかわらず、興奮したり抑制したりと異なった反応を生ずることができるのは、化学伝達物質とそれを受け取る受容体の違いによる。シナプス伝達についての詳細は「生体機能の統御-シナプス伝達(2)」で述べた。

化学伝達物質(神経伝達物質ともいう)には興奮性伝達物質と抑制性伝達物質があり、科学の進歩により化学伝達物質とそれを受け取る受容体の構造が相次いで発見されている。

代表的な化学伝達物質に、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸、ガンマアミノ酪酸(γ-アミノ酪酸;GABA)、グリシン、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)、カイニン酸、ATP、アデノシン、一酸化窒素(NO)、サブスタンP、エンケファリン、ニューロペプチドY、バソプレッシンなどがあり、その他にも多数みつかりつつある。

 

<参考>生体機能の統御

〈次回〉

中枢神経系|神経系の機能

 

⇒〔ワンポイント生理学一覧〕を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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