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2015年07月17日

心臓は働きもの|流れる・運ぶ(2)

解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より
今回は、循環器系についてのお話の2回目です。

〈前回の内容〉

多細胞生物が備えた物流システム|流れる・運ぶ(1)

解剖生理を学ぶため、体内を冒険中のナスカ。血管の世界へと入り、心臓の構造をじっくり見学しました。
今回は、心臓の働きについて学びます。

 

心臓は働きもの

大きさにすると「握りこぶし」ほどしかない心臓ですが、その仕事量は相当なものです。
成人男性(体重60kg)の場合、全身に流れる血液の量はおよそ5L。この血液が流れる血管の長さは、10万kmにも及ぶといわれています。10万kmといえば、地球を2周半もする長さです。そんな気が遠くなるような長さの管に、毎日大量の血液を送り、循環させているのですから、心臓のポンプ作用がいかに強いかがわかるでしょう。
安静時に心拍数を測定すると、1分間におよそ60~80回くらいになります。これが1日続くと、合計で9~12万回。80年間生きたとすると、25~35億回も収縮を繰り返す計算です。
1回の収縮あたり送り出す血液の量は70~100mLですから、1日あたりではなんと、6~10t(トン)という量。たまには、「ごくろうさま」とねぎらいたいですね。

動物学者の本川達夫さんが書かれた『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)によれば、寿命を心臓の鼓動時間で割ると、哺乳類はみんな20億回くらいになるんですって

寿命はそれぞれ違うのに、心臓を打つ回数は同じって、どういうことなんだろう?

要するに、心臓が拍動するスピードが、生物の生きるスピードになっているってことじゃないかしら

じゃあ、長生きしたければ、ゆっくり心臓を動かせばいいってことですか

いえいえ。残念ながら、心臓の筋肉は自分の意思では動かせません

なんだー、そうなのか

 

 

心臓はどうやって自分を養う?

1日あたり約10万回も収縮を繰り返している心臓は、それだけたくさんの酸素と栄養素を必要としています。それを供給するのは、大動脈から最初に分岐する冠状動脈(冠動脈ともいいます)です。
右冠状動脈と左冠状動脈は大動脈の付け根のところから、左右向かい合わせで起こり、心臓全体を囲むようにして分布しています(図1)。

図1冠状動脈

冠状動脈

右冠状動脈
枝:後室間枝(左心室、右心室に枝を与えながら心尖部に至る)
左冠状動脈
前枝:前室間枝(左心室、右心室および心室中隔に分布)
後枝:回旋枝(左心房、左心室後部に分布)

 

冠状動脈が閉塞すると、そこから先の末梢部分の心筋に血液が流れなくなり、その部分の細胞は壊死(えし)してしまいます。これがいわゆる心筋梗塞です。

 

心臓を出た血液は、どこへ向かうんでしたっけ?

それは、心臓の右側から出るのか、左側から出るのかで変わってくるわね

えーとたしか、左心室から出るのが全身へ向かって、右心室から出るのが肺へと向かう

そう。ちなみに、左心室から全身に向かって右心房へ戻るルート体循環、右心室から肺を経て左心房へと戻ってくるルートを肺循環とよんでいます(図2

 

図2全身の血液循環

全身の血液循環

 

〈次回〉

動脈と静脈|流れる・運ぶ(3)


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『解剖生理をおもしろく学ぶ』(編著)増田敦子/2015年1月刊行

解剖生理をおもしろく学ぶ

引用・参考文献 

著作権について

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