どう指導していいか悩む新人のタイプ4つと解決法|初めてのプリセプターこれさえ読んでおけば大丈夫【8】

どう指導したらいいか悩む新人のタイプ4つと解決法|初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫!【8】タイトル 予習・復習をしてこない・何度も同じことを聞いてくる・社会人としてのマナーが身についていない・反応が薄い新人看護師のイラスト。

執筆/白石弓夏 看護師

監修/上村美穂

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

教育担当副部長、集中ケア認定看護師

 

プリセプターとして一番の悩み。

それは「頑張って指導しても新人に響かないこと」なのではないでしょうか?

 

今回は、どう指導したらいいか悩む新人のタイプ4つと解決法をお伝えします。

 

連載:初めてのプリセプター。これさえ読んでおけば大丈夫!

Vol.8 どう指導していいか悩む新人のタイプ4つと解決法

 

【1】復習・予習の勉強をしてこない

復習・予習の勉強をしていないのに、堂々としている新人のイラスト

 

  • 私が担当している新人は、事前に課題を出してるのにきちんと調べてきません。なんでも私に頼ろうとします。(Aさん)
  • 課題はもちろん、自分ですると言ったこともやってきません。言われるのが嫌なのか? 危機感がないのか? やりたくないのか? アレコレ悩んでしまい、顔を合わせるのも嫌になってしまいました。(Bさん)

 

新人にとっては、毎日の勤務で精一杯…。

家に帰ったら何もできずにそのまま寝てしまうこともあります。

 

でも、毎回のように課題をやってこない新人に対応するのはさすがにつらくなってしまいますよね。

 

原因として、新人は出された課題がなぜ現場で必要なのかを理解できていないこともあります。

患者さんにとって、安全・安楽な看護を提供するために「学習をしたい」「しなければならない」と感じて学習行動をとれるように、伝え方やタイミングを工夫するのも有効です。

 

それでも改善せず、甘えや怠惰がみられる場合は、プリセプター会議で伝えたり、上長に相談するなど、組織的に解決していきましょう。

 

●このタイプの新人にどう対応する?

・まずはなぜ学習をしてこないのか、理由を聞く。「なんでやってこなかったの!」と責める口調ではなく、「理由を知りたいから教えてね」という雰囲気で発言を促す。

 

・できない理由を基に、必要に応じて上長に相談しながら改善策を考える。

 

 

【2】何度も同じことを聞いてくる!

説明したことを、覚えておらず何度も聞いてくる新人のイラスト

  • 私が担当している新人は、何度も同じことを聞いてきます。メモをとるように伝えても、とってくれません。(Cさん)
  • 何回も伝えているのに、覚えてくれない…。どう伝えたらいいの?(Dさん)

 

プリセプターの役割は新人の身近で相談相手になること。

とはいえ、何度も同じことを聞かれれば、げんなりしてしまいますよね。

 

メモをとっていない場合は、「メモとって!」と言うだけではなく、メモがなぜ必要なのか「最終的には患者さんの安全・安楽につながる」という観点から伝えましょう。

 

メモをとっているのに、何度も聞いてくるときは、新人がメモに書いている内容を見てあげることも、解決策として有効です。

メモのとり方が、実際の場面で活用できるものにしてあげるといいと思います。

 

また、プリセプターからすれば「また同じこと」と思っても、ケースが違ったり説明の仕方が少し違ったりするだけで、新人は「別のこと」だと認識している場合もあります。

 

できればその場で(時間がなければ振り返りのときに)、何がわからなかったのか、なぜわからなかったのか、確認してみましょう。

 

●このタイプの新人にどう対応する?

・プリセプターにとっては「同じこと」でも、新人は「別のこと」だと認識している場合もある。新人の認識を確認することも大切。

 

・メモをとっているのに何度も聞いてくる場合は、メモをとった後、どうしているのかを確認してみる。その後の看護にどうしたら活かせるか、一緒に考えてあげることも有効。

 

・新人の成長も大切ですが、一番大切なことは患者さんの安全・安楽。新人が何度も同じことを聞いてくることで、患者さんに不利益が生じる恐れがあるときは、自分のメモをコピーして渡すなどの対応も必要。

 

 

【3】社会人マナーが身についていない

先輩にタメ口を使うなど社会人マナーのなっていない新人のイラスト

 

  • 患者さんの前で「私無理」「やべーなこの血管」などと言ってしまう。(Eさん)
  • 一つひとつの所作が雑で、看護師として適切でない言動があります。患者さんの前でもやる気のない態度が出ているように思います。(Fさん)
  • 遅刻や無断欠勤が多く、連絡の仕方やタイミングなどを説明しても無断欠勤が続きました。(Gさん)

 

最近では入職時に接遇などの研修を受けるところも多いようですが、それだけではなかなか身につかないことも多いようです。

 

プリセプターとしては、「こんなことまで私が教えなきゃいけないの…?」と思うかもしれませんが、マナーは気がついたときに根気強く教えていくことが大切です。

 

言葉遣いや態度の悪さはその新人にとっては日常のことで、意識してやっているわけではないことも多いようです。

 

振り返りの場では、具体的な場面を例に、何が社会人として良くない行動なのかを考えさせ、無意識の行動を意識化させることが必要です。

 

●このタイプの新人にどう対応する?

・新人にとっては、今の態度が日常。「今のを敬語に直すと…」と一つひとつ伝えていく。

 

・多くの人と関わりながらチームで動くのが看護の仕事。そのような場面では、ちょっとした挨拶や礼儀が重要だと伝える。

 

・遅刻や休みの連絡は、部署で統一した方法を上長に確認したうえで、新人に伝える。

 

 

【4】反応が薄い!

丁寧に説明しても反応が薄く、理解しているかわかりづらい新人のイラスト

 

  • 反応が薄く、指導してもちゃんと響いているのかが今一つわかりません。いろんなスタッフから何度も伝えても同じ失敗をするとき、どうしたらいいのか本当に困ることがあります。(Hさん)
  • 確認事項はたくさんあるはずなのに、新人からの発信がなく、こちらから話しかけても反応が薄いです。(Iさん)

 

新人が「理解したのかしていないのかがわからない」「感情が読みにくい、何を考えているかわからない」とき、対応に困る気持ちはよくわかります。

 

新人それぞれの個性はなかなか変えることができません。

でも、その時々に合った反応や態度がとれないと「患者さんが不安になること」「自分から発信しないと結果的に困るのは患者さんであること」を伝えていくことは必要です。

 

また、反応が薄いと、プリセプターは強く伝えてしまいがちですが、「わかってる?」「聞いてるの?」などと強く言うと、さらに萎縮してしまい、新人が何も言えずかたまってしまうことがあります。
 

プリセプターが期待する反応がみられなくても、強く言いすぎないことが大切です。

状況を上長とも共有し、組織的に対応していきましょう。

 

●このタイプの新人にどう対応する?

・反応が薄いと、「患者さんが不安になることもある」と伝える。

 

・「わかってる?」「聞いてるの?」などと強く言うと、新人がさらに萎縮してしまうことがある。

 

・個性は変えられないので、上長と相談したうえでその新人に合ったペースや指導方法を考える。

 

 

まとめ

4つの解決策をご紹介してきましたが、共通するのは「新人がどういう状態なのか思いを巡らせてみること」です。

 

予習・復習をしてこない場合

なぜ予習・復習をしてこないのか新人の本音や実際の状態を把握したうえで、必要なら組織的に対応する。

何度も同じことを聞いてくる場合

新人が「同じこと」だと認識しているのか確認したうえで、メモをとらせる、メモのとり方を一緒に考えるなどの対応をする。

社会人マナーが身についていない場合

新人にとっては、日常のことである可能性も。意識してそうなっているわけではないことも考えて、怒らずに根気強くマナーを教える。

●反応が薄い場合

反応が薄いと、患者さんが不安になることもあると伝える。ただ、個性はなかなか変えることができないので、その新人のペースや反応に合わせた指導について、上長と相談する。

 

新人指導は思うようにいかず、苦労の連続だと思います。

こちらから伝えたいことを伝えていくだけでなく、「新人がどういう状態なのか知ること」が、回り道に見えて実は近道になる場合があります。

 

新人の成長を感じられたときの喜びは、とても大きなものです。

どんな新人を育てたいのか、どんな看護師に育ってほしいのかという思いを忘れず、新人に関わってほしいと思います。

 

編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

【監修者 プロフィール】

上村美穂(かみむら・みほ)

1996年 聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳神経外科病棟 入職

2003年 集中ケア認定看護師 取得

2006年 川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)ICU・CCU異動

2017年~ 同病院 教育担当師長

2019年4月~ 同病院 教育担当副部長

 

新人指導についてのみんなの経験談はこちらから

▷『新人指導って難しいです』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

▷『プリセプターの悩み』(看護師の掲示板:ナースカタリーナ)

 

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