乳がん検診のマンモグラフィー推奨年齢を45歳以上に引き上げ―アメリカがん協会

【ナース知っ得ニュース 2015/10/28】

 

乳がん検診のX線撮影検査「マンモグラフィー」について、米非営利団体「米がん協会(American Cancer Society, ACS)」は10月20日、推奨年齢を従来の40歳から45歳に引き上げることを発表しました。

背景には、マンモグラフィーの有益性が疑問視されていることがあります。

 

マンモグラフィー推奨、40歳から45歳に引き上げ…米指針(yomiDr.)

 

マンモグラフィー推奨年齢 引き上げの理由

がん協会は毎年マンモグラフィーを受信することを推奨していますが、これまではその対象年齢を「40歳以上」としていました。

しかし、40歳代前半では発症リスクが比較的低いことや、体に影響のない小さな腫瘍までがんと診断してしまう「過剰診断」の問題などを考慮し、推奨年齢を「45歳以上」に引き上げることを決めました。

 

新指針では、45歳からは毎年の受診、55歳以降は2年に1回の受診を推奨するとし、もし家族にがん患者がいる場合などは、早めの受診を呼びかけています。

 

マンモグラフィーの推奨年齢をめぐる議論

そもそもマンモグラフィーは、乳腺が多い場合はがん病巣があっても区別がつかず見つけにくいため、若い女性にはあまり適さないといわれています。また、40代以上の女性であっても、乳腺の密度によっては見つけにくいのが現状です。

 

アメリカには、米がん協会(American Cancer Society, ACS)以外にもいくつかの専門団体がありますが、この問題についての意見は割れています。

 

米国予防医学作業部会(USPSTF)は2009年に「40歳代の女性に対して、マンモグラフィーを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」との勧告を出しており、その際米国がん協会は、米国放射線医学会(American College of Radiology, ACR)と共に反対意見を表明していました。

なお、米国の対がん戦略である国家がんプログラムを調整する役割をもつ米国立がん研究所(National Cancer Institute, NCI)は中立的な立場をとっています。

 

日本での推奨年齢は40歳以上

日本では、2004年から40歳以上の女性に対して2年に1回の受診が推奨されています。

厚生労働省は、アメリカの乳がん患者は60歳代以上が多いのに対して日本では40~50歳代が多いという状況をふまえ、現時点では対象年齢を変える必要はないとしています。

日本乳癌検診学会(Japan Association of Breast Cancer Screening, JABCS)は、日本でも国内のデータを収集し、検討の必要があるとしています。

 

(参考)

マンモグラフィーは有益でない?乳がん検診での「過剰診断」問題とは

厚生労働省

日本乳癌検診学会

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