ディズニーオタクだったおかげで、怖そうな先輩や患者さんと急接近できた話|ナースの推し事(2)

この連載では、さまざまな「推し」と一緒に日々を乗り切るナースに、推しのいる日常や、推しに救われた経験をインタビューしていきます。

 

第2回に登場してくれたのは、ディズニーが好きでたまらないというカナさん(仮名)。なんでも、ディズニーオタクであることで、仕事にポジティブな影響があったとのこと。

 

一体どんな経験だったのか、生粋のオタク気質である筆者が、じっくりお話を伺ってきました!
 

 

取材・文/於ありさ(ライター)

パークに行く頻度が減っても愛は減らない! カナさんの推し活事情

ショー&グリーティングが最優先! カナさんの推し活スタイル

――本日はよろしくお願いします!まずはカナさんのプロフィールを教えてください。

 

看護師10年目です。去年、小児科病棟から異動になって、退院支援や地域連携を担う部署で働いています。

 

物心ついた頃からディズニーに囲まれた生活をしていて、特にミニーちゃんが大好きです!


カナさん宅のグッズの一部。メタルラックいっぱいに、ぬいぐるみが!

 

――いつ頃からディズニーオタク(以下、Dオタ)になったんですか?

 

答え方が難しいんですよね。小さい頃から家族でディズニーに行くことが多くて、オタ歴=年齢みたいなところもあるので

 

ただ、年パス(年間パスポート)デビューしたのは、大学生になってアルバイトを始めてからです。そういう意味では、本格的にDオタを始めたのは14年ほど前ですかね?

 

――Dオタさんってとにかくグッズがほしいという人もいれば、ショーが好きな方、パークでのグリーティングが好きな方と、愛し方が多様なイメージがあります。カナさんは、どのように推し活されているのでしょう?

 

完全にショー優先です! ショーを最前列で見たいがゆえに、開園時から、その日最後のショーの列に並び続けたこともあるくらい好きです(笑)。

 

ただ、ショーは時間が決まっているので、お目当てのショーが終わったら、あとはひたすらミニーちゃんのグリーティング(※)をループします。

 

(※)グリーティング:キャラクターたちと来園者が直接触れ合い、コミュニケーションをとったり、写真撮影をして楽しむこと。

2016年、香港ディズニーランドのグリーティングでの1枚。クリスマス限定コスチュームが素敵!

 

――グリーティングを何度もループして、何をするんでしょうか?

 

その日のショーが、いかに良かったかを本人に伝えています! あとは、グッズが発売されたら「買ったよ!」ってアピールしたりしますね。

 

アピールすると、ミニーちゃんが「わたしだ!」って喜んでくれるんですよね。すでにたくさん持っているのに、新しいグッズをついつい買ってしまうのは、そんな姿を見たいからというのが本音です。

 

――今回のグッズはいいやと思っても結局買っちゃうの、オタクあるあるですよね…!

 

はい!喜んでくれたら実質タダですから…!

 

コロナ禍でもモチベが落ちない理由

――お仕事と推し活のスケジュールの組み方を教えてください。

 

病棟で働いていた頃は、休みと明けで週1〜2回行ってました

 

現在の部署は、平日の5日勤、8時半~17時15分が定時と、一般的な会社員の方と変わらない勤務体制なので、行くとしたら土日ですね。

 

――正直、Dオタさんって平日休みの方が動きやすいのかなと思うのですが…

 

そうなんですよ!推し活に関しては正直、異動前のほうが動きやすかったですね

 

――その上、コロナ禍の感染対策で、年パスがなくなって完全予約制になったり、来園システムがかなり変わりましたよね。

 

そうですね。1日あたりの人数制限もありますし。最近は「チケットが取れれば行く」くらいなので、行く頻度はすごく減りました。

 

コロナ禍になってからは、海外のグッズを集めるのが推し活の中心になりましたね。今年上海ディズニーが5周年で、去年は毎月違うテーマのぬいぐるみが出ていたので、バイヤーさんにお願いして、せっせと集めていました(笑)。

 

カナさん宅のグッズの一部。真ん中には、上海限定のぬいぐるみが鎮座

 

――正直、推し活へのモチベーションが下がってしまうことはないんですか?

 

うーん…コロナでの外出自粛もですが、部署異動で休みが平日じゃなくなって、そもそも生活サイクル自体が変わっていたので、しょうがないかという感じですね

 

逆に、病棟勤務のときみたいに、平日にも自由に行ける状況だったら、「行きたいのに!」ってもっとストレスをためていた気もします(笑)。だから、気軽に行けなくなったのは逆にラッキーかもしれないですね。

 

ディズニーのおかげで、患者さんや怖そうな先輩と急接近

 ――日々働く中で、ディズニーオタクで良かったと思うことはありますか?

 

ディズニーって、知らない人がいないと言っても過言ではないので、患者さんともスタッフとも、話すきっかけになるんですよね。

 

特に、好きなキャラがミニーちゃんなので、小さなお子さんの患者さんでも「ミニーちゃん見て」「ミニーちゃんだよ」って見せると興味を持ってくれるんです。
 

――お仕事で使っているものでは、どんなグッズがお子さんに喜ばれるんですか?

 

ハンコをぶらさげている、伸びるストラップはかなり好評です!

 

ミニーちゃんが描いてあるので、「これ、なーんだ?」って見せて気を引いて。ハンコの部分を引っ張って手を離すと、一気に巻き戻るので、小さい子たちはこれだけで何度も遊んでくれます

 

実際に職場で使用されているという、伸びるストラップ。ハンコを引っ張るとひもが伸び(右)、離すと一気に戻ります。ハンコにもミニーちゃんが!

 

――たしかに! 楽しく遊んでくれそうです。

 

あと、Apple Watchの文字盤をミニーちゃんに設定していて、音が出る状態でタップすると「◯時◯分よ、おはよう!」と挨拶してくれるんですよ。これも、子どもたちには喜んでもらえることが多いです。

 

昔は大きな飾りがついたペンも使ってたんですが、重要な病状説明でサインをいただくときに、場にそぐわない感じがして、使わなくなりました(笑)。

 

――工夫しながら、お仕事にグッズを役立てているんですね。ディズニーが好きって、職場では公言しているんですか?

 

最初から公言していました。1年目の時、スタッフ向けの自己紹介カードを貼り出されたのですが、そこにディズニー好きって書いて…(笑)。

 

実はそれがきっかけで、1年目の時、ちょっと怖いと思っていた先輩と急接近できたんですよ!

 

――え!なんでですか?

 

その先輩もディズニー好きだったんです。

 

1年目全体の教育を担当してた方なんですが、頭が良くて、仕事もバリバリできるからこそ、ピリッとしたような雰囲気があって。入職したての私たちからしたら、ちょっと緊張しちゃうような方で、勝手に怖い印象を抱いていたんですよね。

 

でも、先輩から「私も好きなんだよ」って話しかけてくれたんです。それを機に一気に距離が縮まりました。
 

――すごい偶然!素敵ですね。

 

同期には「あの先輩と仲良いの⁉」って驚かれました(笑)。ディズニーをきっかけに仲良くなれたおかげで、「私たちが勝手に怖がってたのは誤解だったんだ」と気づけたんです

 

業務の面でもたくさんアドバイスをいただけたり、助けてもらえました。今でもずっと仲良くしてもらってて、海外のディズニーにも一緒に行きました!

 

――趣味が職場の関係づくりにも役立っていたんですね!

 

2018年、香港ディズニーランドにて、ディズニーをきっかけに仲良くなった先輩(中央)と。向かって右がカナさんで、左はカナさんの同期のプリセプターだったディズニー好きの先輩

 

待ち時間は勉強などに有効活用! カナさん流、推し活のこだわり

――パークではショーに並び、グリーティングをループするとのことでしたが、長い待ち時間を過ごすための工夫があれば教えてください。

 

まず、できるだけ疲れないように、リュックで行くようにしています。撮影用に一眼レフを持っていったり、何かと荷物が多いので、リュックじゃないと肩がバキバキになっちゃうんです(笑)。

 

レジャーシートと、100均で売ってる折り畳める椅子と、日傘も必ず持っていってます。あと、スマホの充電器は必須ですね。

 

1年目のときは、ショーの待ち時間に、疾患についてのレポートを作ってました(笑)。本を持っていって、待っている間に読んだり線を引いたりして、スマホに打ち込んでましたね。
 

2018年、ホテル・ミラコスタでのグリーティング。ミッキーアンドフレンズのキャラクターたちが、みんなでカナさんにハグ!

 

――カナさんならではの時間の使い方ですね…! 服装は、グリーティングで一緒にお写真を撮ることを考えて選んだりするのでしょうか?

 

いえ、普段とあんまり変わらないことが多いです。行く頻度が高いのもあって、特に気合を入れることもないというか(笑)。

 

カチューシャはたまに買ってつけますが、グリーティングでミニーちゃんが喜んでくれそうなときくらい。
 

――ミニーちゃんとの写真は撮らないんですか?

 

あんまり撮らないですね。ミニーちゃんと一緒に映りたいというよりは、彼女を単体で撮影したいタイプなんです。推しがかわいく撮れたら満足です!

 

――なるほど! 推し活の一環でグッズも集められているとのことでしたが、どのように管理されているんですか?

 

正直、買ったまま袋から出ていないものもいっぱいあります…(笑)

 

コロナ前は年に何回か、海外のディズニーリゾートに行っていて。グリーティングのときに日本限定のグッズを持っていくと、すごく喜んでくれるんですよね。

 

友達と話を合わせて、持っていくグッズを決めても、いざ探すとなかなか見つからないんです(笑)。「買ったはずなのに、どこにしまったっけ?」って。

 

――わかります…! グッズをたくさん買うことについて、周りの人に何か言われたりとかしませんか…?

 

最近はないですね。

 

以前は、キャラクター好きではない人から「そんなにいる?」とか「前も買ってなかった?」って言われてたこともありました…

 

今では、恋人もDオタなおかげで、グッズを買うことにお互いためらいがないんです。身近な人から「いらなくない?」とか言われないので、ありがたいですね。

 

2017年、完全予約制の「ディズニーアンバサダーホテル」にて、限定コスチュームのミッキーを一眼レフで撮影。カメラもミニーちゃん仕様のカラーリング!


――恋人と同じ趣味って、めちゃくちゃいいですね…! 最後に、推しがカナさんに与えてくれた影響を教えてください。

 

気晴らしできる余裕、ですかね。仕事で嫌なことがあっても、「明日パーク行くし」って思えるのは強いなって思います。

 

「明日、仕事行きたくない!」って思うことも何度かあったのですが、そのときに友達が「明後日もパークで会えるし、そのときに話聞くよ」って励ましてくれて、乗り越えたことも多かったんです。

 

今は、前ほど自由にパークに行くことはできないけど、YouTubeのパレードの映像やショーのDVDを見たり、海外のグッズをサイトで見て買い物して気晴らししています。

 

結局のところ、生活が変わっても、気晴らしの先はディズニーなんですよね!

 

 

老若男女、誰もが知るディズニーが好きだからこその経験を感じた今回の取材。

 

多くの人に親しみのある推しだからこそ、どんな方とでも共通の話題ができて、打ち解けるきっかけや、良い関係を築ける力になってくれているんだなと感じました。

 

また、思うようにいかない状況でも、卑屈にならずポジティブに捉えるカナさん。推し活をする中で、「お客さまと社会にハピネスを届ける」を掲げるディズニーリゾートの前向きな精神を、自然と取り入れるようになったのかもしれませんね。
 

 

執筆

ライター於ありさ

エンタメ系のインタビューライター。Walkerplus・テレビジョン・マイナビなどで執筆中。サンリオ/男性アイドル/ラジオ/テレビ/お笑いなど多方面のオタク。サンリオの推しはマイメロちゃん。

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イラスト

イラストレーターあさなさくま

漫画家・イラストレーター。日常をコミカルに描いたコミックエッセイや、ポップなイラストレーションを発表。アパレル出身ならではのリアルなファッション描写を持ち味としている。

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