骨の強度はどのようにして決まる?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「骨の強度」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

 

骨の強度はどのようにして決まる?

健康な骨を作るために不可欠なのは、栄養と運動です。

 

骨の強度に最も関連する栄養素はカルシウムで、摂取・吸収されたカルシウムのうち99%が骨に蓄えられています。残りの1%は、血液や体液に含まれます。 

 

血液中のカルシウム量は常に一定に保たれる必要があります。そのため、食事から摂取するカルシウムが減ると、骨に貯蔵されているカルシウムが血液中に溶け込んで補います。その結果、骨のカルシウム量が減ってしまうのです。

 

成人に必要な1日のカルシウム量は、男性700〜1,000mg、女性650〜750mgです。 

 

摂取したカルシウムの吸収をよくするためには、ビタミンDの活性化が必要です。ビタミンDは肝臓腎臓を経て活性化され、腸管からのカルシウム吸収を促進するとともに、腎臓でのカルシウムの再吸収を促進します。

 

骨に適切な負荷をかけるために必要なのは運動です。骨に縦方向の負荷がかからないと、カルシウムが骨に沈着しにくくなり、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて骨を弱体化させます。

 

COLUMN高齢になると骨がもろくなる理由

男女ともに45歳を過ぎると骨折が多くなりますが、特に女性は60歳を過ぎた頃から骨折が急増します。これは、閉経後ほぼ10年経ち、女性ホルモンであるエストロゲン分泌が減少し、その影響で甲状腺ホルモンのカルシトニン分泌が減り、骨吸収が抑制できず骨がもろくなるためです。 

 

それに加えて食事内容が変化してカルシウムの摂取量が減り、食事からの補充が減少するため、骨からカルシウムが溶け出しやすくなります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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