肺の構造

 

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は「肺の構造」について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

肺は縦隔と心臓を除く胸腔の左右両側をほぼ満たしています。スポンジのように軽く、左右合わせても約500gです。左肺は心臓が位置するため、右肺よりも小さくなっています〔8区(右肺):7区(左肺)〕。

 

図1肺の構造

肺の構造

 

肺の上端を肺尖といい鎖骨の奥にあり、肺底は横隔膜の上に位置します。肺は多角形小葉の集まりである葉で構成され、左肺は上葉、下葉の2葉、右肺は上葉、中葉、下葉の3葉でできています。

 

肺の表面は壁側胸膜と臓側胸膜の2つの胸膜でおおわれています。この2つの胸膜に囲まれた腔を胸腔といい、少量の胸水(漿掖)があります。肺の入口は肺門と呼ばれ、気管支の他、肺動脈や肺静脈、神経などが出入りしています。

 

肺の入口は肺門と呼ばれ、気管支の他、肺動脈や肺静脈、神経などが出入りしています。

 

肺胞

気管支の末端にある肺胞は、直径約0.2mmの小さな袋で、左右の両肺で約3億個あるといわれ、広げると肺胞の表面積は約60〜70m2です。

 

図2肺胞の構造

肺胞の構造

 

肺胞の壁は0.2〜0.6μmと薄く、扁平なⅠ型肺胞上皮細胞と立方形のⅡ型肺胞上皮からできています。その周囲を、肺動脈や肺静脈につながる毛細血管が網の目のように取り囲んでいます。

 

肺胞に届いた酸素は、肺胞壁に隔てられた毛細血管内の赤血球に渡され、血液中の二酸化炭素は肺胞内へと送り出されます。これをガス交換と呼びます。

 

肺血管

全身から心臓に戻された静脈血は右心室から出る肺動脈によって肺胞を取り囲む毛細血管に送られ、二酸化炭素を放出します。ガス交換で酸素の供給された血液は肺静脈に集められ、心臓に戻されて全身に送り出されます。

 

⇒〔病気のなぜ?〕記事一覧を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護知識トップへ