血圧測定|循環器系の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、血圧測定について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

血圧測定とはどんな検査か

血圧とは、心臓のポンプ作用により全身に血液を送り出すときの血液が血管壁に及ぼす圧力のことで、心臓(心室)が収縮したとき最高血圧収縮期血圧)に、心臓が拡張したときに最低血圧(拡張期血圧)となる(表1)。

 

表1WHO-ISHによる血圧の分類(1999)

WHO-ISHによる血圧の分類(1999)

 

(mmHg)

 

最高血圧と最低血圧の差を脈圧という。

 

血圧は血管の場所によって大きさが異なるが、普通は動脈、それも上腕動脈を用いて血圧測定を行っている。

 

血圧測定の目的

血圧は主に心臓のポンプ力と血管の機能を反映しており、バイタルサインの1つとして極めて重要である。また、血圧は高血圧患者発見の第一歩であり、高血圧症の予防、管理、経過観察に欠かせない検査である。

 

血圧測定の実際

聴診法

  1. 座位の姿勢をとらせ、右上腕で測定する。これ以外での測定の場合にはその旨を記載する。
  2. 測定部位が心臓の高さになるように上腕を支持する。上腕を心臓より高位にすると10mmHg程度低くなり、低位では高くなる。
  3. 上腕にマンシェットを巻き、肘窩で上腕動脈の部位(マンシェットの直下)に聴診器を当て、カフを握ってマンシェットに空気を送り加圧する。
  4. 水銀柱の水銀が上がりだし、ある程度の圧になると血管の拍動(Korotkow、コロトコフ音)が聴取できる。
  5. Korotkow音が聴こえなくなってから、さらに20〜30mmHg上まで加圧する。
  6. カフを緩めてマンシェット圧を減圧(1秒間に2〜3mmHg)しながら水銀を下げる。
  7. 再び血管音が聴取できた水銀柱の目盛り(Swanの第1点)を読む。これを最高(収縮期)血圧とする。
  8. さらに徐々に下げていくと血管音が次第に変化し、ある点で急に減弱し(Swanの第4点)、ついにはまったく聴こえなくなる(Swanの第5点)。この第5点を最低(拡張期)血圧とする。
  9. 第5点が明らかでない場合には、第4点を最低血圧とする。

図1Korotkow音と血圧の関係

Korotkow音と血圧の関係

 

触診法

Korotkow音が弱くて聴診法での測定が困難な場合には触診法で代用する。

 

  1. 橈骨動脈の拍動を触れながら、徐々に加圧していき、脈が触れなくなったところから、さらに20〜30mmHgほど圧を上げる。
  2. 圧を徐々に下げて、再び橈骨動脈の拍動が触れるようになった時の圧を最高血圧の目安とする。
  3. 触診法では最低血圧の測定はできない。

 

血圧測定前後の看護の手順

1)患者への説明

  • 血圧は心臓のポンプとしての機能と血管壁の機能・形状を知るための検査である。
  • 右上腕にバンドを巻いて加圧する検査であり、肉体的な負担は少ない。
  • 緊張しないでリラックスするよう伝える。

2)準備するもの

・血圧計 ・聴診器

 

3)検査後の管理

  • 特になし。

血圧測定において注意すべきこと

血圧測定前

  • 尿意:尿意がある場合には排尿させ、その後5分間ほど安静をとらせてから測定する(尿意がある場合には血圧は高くなる)。
  • 体位:通常は座位とする。
  • 安静:検査前には5分以上安静にする。数回深呼吸させる。
  • 室温:20℃前後にする。寒さや暑さを感じない程度の室温に保つ。

血圧測定中

マンシェットの幅は上腕周囲の40%(大人用で12〜13cm)がよい。マンシェットの幅が狭いと血圧は高くなり、広いと低く測定される。

 

  • マンシェットは、その下縁が肘窩の2〜3cm上で、ゴム嚢の中央が上腕動脈(拍動を感じる部分)にかかるようにして、指が1〜2本入る程度に右上腕に巻く。
  • 患者に適した測定部位、方法を選ぶ。
  • 定期的に測定する場合は、測定部位、測定時間を一定にするように努める。
  • 麻痺がある場合は健側で測定する。
  • 点滴を施行している場合は、反対側で測定する。

 

その他

  • 血圧には日内変動があり、日中での活動時には高く、夜間就寝時には低値である。その差は20〜40mmHgである。
  • 病院を受診した緊張のために、血圧が上昇する患者がおり、「白衣性高血圧」と呼ばれている。再診時には低下するため、初診時には時間を変えて数回血圧測定することで正確な血圧が把握できる。
  • 血圧に左右差を認める病気を表2に示す。

表2血圧に左右差を認める病気

血圧に左右差を認める病気

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

この記事をシェアしよう

看護知識トップへ