カテーテルを固定するテープを剥がしたらびらんが発生した!(皮膚損傷、皮膚剥離)
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、患者さんのカテーテルを固定するテープを剥がしたら、びらんが発生(⽪膚損傷、⽪膚剥離)してしまった場合について解説します。
医療法人幸優会 訪問看護ステーションPono 所長
急性・重症患者看護専門看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
スキン-テアは、いったん発生すると治癒するまでに時間とコストを要し、そして何よりも患者さんに痛みをもたらします。
スキン-テアを発生させないためには、患者さんの皮膚の状態をアセスメントし、あらかじめ予防対策を講じておくことが最も重要です。
- 臨床の場では、治療や検査のために各種ドレーン類やカテーテル類を体内に留置している患者さんに対応する機会が少なくありません。
これらの管は誤って抜けることのないように体表にしっかりと固定する必要があります。
そのために用いられるのが医療用テープですが、この医療用テープによって起こる二次的皮膚障害を予防することが非常に重要です。
起こった状況
症例
70歳代の女性患者Aさん。胃がん、リンパ節転移により化学療法を受けています。
食事が摂れず動けなくなり、病状の進行と両下肢の浮腫を認めたため外来を受診しました。
検査の結果、さらなる状態の悪化が予測されたため、入院して今後の調整を行うこととなりました。
輸液が開始され、水分出納管理目的で膀胱留置カテーテルが留置されました。
数日後、受け持ち看護師Bさんがカテーテルを固定しているテープを交換しようとテープを剥がしたところ、びらんが生じてしまいました(下図)。
どうしてそうなった?
Aさんに起こった皮膚障害はスキン-テア(Skin Tear:皮膚裂傷)です。
スキン-テアとは「摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)」(図1)のことです1。
図1皮膚の構造

また、Aさんに発生したような”医療用テープを剥がす際に生じたスキン-テア”を”テープテア”と呼びます。
テープの粘着剤が表皮に固着し、テープを剥がす際に表皮を伴って剥がれるために起こる皮膚障害です。
テープテアが起こる原因には、①患者の皮膚の脆弱性、②医療者の剥がし方、③医療用テープの性能などがあります。
どう切り抜ける?
1 発生したテープテアを治療する
まずは発生したテープテアを治癒させなければなりません。
真皮までの深さの創傷ですので、外用薬を用いた治療、もしくは真皮に至る創傷用の創傷被覆材などを使用するとよいでしょう(図2)。
図2創傷被覆材(真皮に至る創傷用)

左上:デュオアクティブ®ET(コンバテック株式会社)
右上:ハイドロサイト®薄型(スミス・アンド・ネフュー株式会社)
左下:メピレックス®ライト(メンリッケヘルスケア株式会社)
2 新たなテープテアが発生しないように予防する
抗がん剤や分子標的治療薬の副作用として、発疹や紅斑、色素沈着、乾燥(ドライスキン)などの皮膚症状を認めることが少なくありません。
学会調査によると、スキン-テアが発生した周囲の皮膚の所見として最も多かったのは「乾燥(ドライスキン)」であり、その他「斑状紫斑」「浮腫」などもリスク所見として挙げられています1。
化学療法を受け、下肢に浮腫を認めるAさんに、今後新たなテープテアが発生するリスクは高いと考えられるため、次に示す1)〜3)の対策を講じる必要があります。
1)粘着剥離剤(リムーバー)を使用する
テープを剥がす際に粘着剥離剤を使用します。
皮膚と粘着剤の間(隙間)に剥離剤の成分を浸透させることにより、粘着力を弱めてテープを浮き上がらせるように剥がすことができます。
2)皮膚被膜剤を使用する
あらかじめ皮膚被膜剤を皮膚に塗布することによって、表皮に薄い膜を作ります。
粘着剤が剥がれる際に表皮ではなくこの膜が剥がれることによって皮膚を守ります。
3)皮膚保護材などを使用する
皮膚保護材を用いて図2のような対策をとるのも1つの方法です。
図3ではハイドロコロイドであるハイコロール(ニチバン株式会社)を土台として皮膚に貼付し、その上から固定用テープを貼付しています。
図3スキン-テア予防対策[ハイコロールTM(ニチバン株式会社)使用]
![スキン-テア予防対策[ハイコロールTM(ニチバン株式会社)使用]をあらわした写真](https://img.kango-roo.com/upload/images/kangonopinchi/51~/62-5.png)
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1) 日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理.照林社,東京,2015.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社




