ストーマ装具を交換したばかりなのに、漏れが発生した!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、ストーマ装具を交換したばかりなのに、漏れが発生した場合について解説します。
東京医科大学病院看護部
皮膚・排泄ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
ストーマ装具を交換したばかりなのに、漏れが発生したときに一番初めに行うことは、まず自分の心を整えることです。
焦りや、イライラした気持ちでは、普段見落とすことがないことでも見落として、失敗につながることがあります。
何より、失敗したときの看護師の対応はそのまま患者さんのストーマに対する印象となります。
そして、次に漏れないようにするために、剥がした面板をよく観察するとともに、スキンケア方法も確認しましょう。
- ストーマ造設を受けた患者さんは、手術侵襲からの回復に加えて、排泄方法の変容を余儀なくされ、精神・心理的支援のニーズも高まっていることが少なくありません。
ストーマ装具からの排泄物の漏れは、さらなる危機をもたらす経験となりうることから、看護師は漏れた原因を突き止めて速やかに対応を行うことが重要です。
起こった状況
症例
患者Aさんは、6日前に直腸がんに対する超低位前方切除術+一時的人工肛門(小腸)造設術を受けました。
翌日の日勤帯で装具交換を予定していましたが、消灯前の21時30分に装具の漏れがありました(図1)。
図1漏れがあった装具

ダンサック社のノバ1 イレオストミーを使用していましたが、耐久性を強化するためにダンサック社ノバ1 イレオストミー X5に変更して貼付しました。
しかし、23時にはまた漏れてしまいました(図2)。
図2装具を変更したが再び漏れた

どうしてそうなった?
21時30分に装具から漏れが発生した際に、ストーマ近接部のくぼみを考慮して装具変更を行ったことは適切な対応でした。
しかし、消灯直前で他の患者さんの眠前薬の与薬などで忙しい時間の中で装具交換をしなければなりませんでした。
そのため、患者さんには臥床のまま装具を剥がし、ストーマ周囲の皮膚の清浄をしながら待っていただきました。
そのとき患者さんは、皮膚の清浄剤でスキンケアを行うところ、間違えて皮膚の撥水剤を使用してしまいました。
その後、担当看護師が消灯前の一通りのケアが終了したので、装具交換に入りました。
その貼付の際、正中創側のくぼみに向かって排泄物がわずかに流れ込みましたが、看護師は気がつかずに貼付を完了しました。
これらの結果、皮膚保護剤がうまく貼付されずに1時間半後に漏れることになりました。
どう切り抜ける?
1 まずは、落ち着いて装具交換を行うように気持ちを整える
夜勤中にストーマ装具が漏れることは外科系ナースの“あるある”ではないでしょうか。
予定していなかった処置が、忙しいあるいは休憩の直前などの時間に当たると、ついつい心を穏やかに保つのが難しくなることもあります。
焦っていたり、イライラしたりとそんなときこそ、ていねいなケアができず、皮膚清浄剤と撥水剤を間違えていることを見落としたり、皮膚の近接部が濡れていることを見落としたりしてしまいます。
また、患者さん自身にも、忙しい看護師に本来必要ではなかった処置をお願する、それが排泄の処理であれば情けない気持ちや悲しい気持ちを持たせてしまうことにもなります。
これからベッドサイドで大事なケアを行う看護師として自分自身が焦っていないか、イライラしていないかを患者さんのベッドサイドに立つ前に確認し、その気持ちのままケアしてもいいかどうか確認することが重要です。
2 腹壁やストーマ近接部が漏れの原因となっているのかを剥がした面板からアセスメントする
図2を改めてよく見ると、正中創の方向に皮膚保護剤がうっすらと吸水変化を起こしているのが確認できます(図中Aの部分)。
これは、まさに濡れている皮膚に面板を貼付した際に、その部分が皮膚に粘着せずに漏れにつながった証拠です。
一度漏れてしまった装具を貼り直しすることはできないため、新しい装具の貼り直しが必要です。
漏れた原因は面板が教えてくれますから、いつも面板をよく観察することが必要です。
今回は、面板をよく見ると皮膚がきちんと乾燥していなかったことに気づくことができました。
3 漏れが腹壁やストーマ近接部以外にないかをアセスメントする
今回のケースでは、皮膚清浄剤と撥水剤を間違えたことも装具の粘着を悪くした一因でした(図3)。
図3皮膚洗清剤と撥水剤(保湿剤)の例

この間違いに気づくポイントは、装具の剥がし(剝がれ)やすさでした。
装具交換を始める時点では、排泄物が漏れた部分の面板は浮いていますが、まだ大部分は皮膚に粘着しています。
ですから、この装具を剥がす際に、剥離剤を使わなくても簡単に剝がれた場合には、スキンケア方法の確認を行います。
皮膚清浄剤と撥水剤の間違いや、粘着剥離剤を使った後に剥離剤の成分が皮膚に残っているときなどに粘着が悪くなるという事例にたびたび遭遇するので、スキンケアを何で行ったかの確認は意外と大事なプロセスとなります。
目次に戻る
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



