2019/02/06 のクイズ

47歳女性。自転車で走行中に転倒してしまいました。膝に痛みがあり、歩行ができないため、あなたが勤めている整形外科医院を受診しました。膝には軽度の熱感、圧痛があり、また足全体に腫脹、可動域制限が見られています。そこで、疼痛コントロールと患部の安静を目的に、膝にニーブレースを使用することになりました。この患者さんへの指導として、正しいものはどれでしょうか？

1. ニーブレース装着時は、膝蓋骨が中心に当たるようにし、末梢から順番にベルトを固定する。また、緩みや締め付け過ぎがないように患者さんの装着する動作を観察する。
2. ニーブレース装着中はしびれや疼痛が発生しても、しばらくは鎮痛薬で経過を見るように指導する。
3. ニーブレースを装着していれば、膝関節可動域にある程度の制限がかかるため、患者さん自身で注意すべきことは転倒防止だけであると指導する。
4. 症状が完治してからリハビリを開始するため、ニーブレース装着中は運動を避け、自宅で安静にするよう指導する。

挑戦者4873人　正解率90%

1.　ニーブレース装着時は、膝蓋骨が中心に当たるようにし、末梢から順番にベルトを固定する。また、緩みや締め付け過ぎがないように患者さんの装着する動作を観察する。: 正解
ニーブレース装着時は、膝蓋骨が中心に当たるようにし、装着位置がずれないよう末梢から順番にベルトを固定するよう指導しましょう。ニーブレースの装着位置がずれてしまうと、腓骨神経麻痺を起こし、軽度屈曲位（約30度膝を屈曲させる姿勢）の保持が困難になります。また、緩みや締め付け過ぎがないか、装着時の患者さんの動作を観察することも大切です。
2.　ニーブレース装着中はしびれや疼痛が発生しても、しばらくは鎮痛薬で経過を見るように指導する。: 不正解
ニーブレース装着中にしびれや疼痛が発生した場合、鎮痛薬で経過を見るのではなく、まずは病院を受診するように指導しましょう。腓骨神経麻痺を起こしている可能性があります。
3.　ニーブレースを装着していれば、膝関節可動域にある程度の制限がかかるため、患者さん自身で注意すべきことは転倒防止だけであると指導する。: 不正解
ニーブレース装着中の患者さんは、転倒防止だけではなく、日常生活の動作でなるべく患部に負担がかからないよう注意することも必要です。そのため、患者さんに、自宅内での生活行動（敷布団とベッドどちらで寝ているか、自宅に階段があるか、どのような浴室の環境であるかなど）を聞き、膝に大きく負担のかかるようなものがあれば、ニーブレース装着中は控えるように促します。
4.　症状が完治してからリハビリを開始するため、ニーブレース装着中は運動を避け、自宅で安静にするよう指導する。: 不正解
ニーブレースを装着しているからといって、完治するまで自宅で安静にするのではなく、リハビリとして適度な運動を取り入れることで、症状の改善に努めるよう促しましょう。
なお、この場合、歩く、走るなどといった日常の基本動作に大きく関与している大腿四頭筋を鍛えることで、リハビリにつながり、症状の悪化予防にもなります。また、膝周囲の筋肉が硬いと半月板などの膝周囲の負担が大きくなるため、膝周囲のストレッチを行うこともよいでしょう。

引用参考文献など

1）平川雅士．膝関節周囲の骨折．整形外科看護．2017，22（5），38-42．
2）安藤恵ほか．第2章整形外科特有の看護．はじめての整形外科看護．独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院看護部編．メディカ出版，2016，32．
3）松島元子ほか．ケア編 CPM・アイシング・ニーブレース．整形外科看護．2009，14（2），28-32．