2018/10/05 のクイズ

78歳女性。脳梗塞の既往があり、ADLは杖歩行です。娘家族と同居しています。膀胱がんのため、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)5回、BCG療法、3年前に膀胱への放射線治療を施行されました。半年ほど前より頻尿症状が悪化し、1日の尿回数は15回程度でした。抗コリン薬を試していますが、ここ最近は、膀胱に蓄尿されてくると切迫感やいきみ感があり、排尿回数がさらに増えてきました。本人より、諸々の排尿症状に対する苦痛の訴えが聞かれるようになりました。膀胱内圧測定を行ったところ、膀胱の蓄尿機能は50mL程度と推測されました。排尿後の残尿、尿失禁はみられていません。この患者さんへの対応として、最も適切なものは次のうちどれでしょうか?
  1. 1. 切迫感や尿漏れに備えて、500mL吸収の尿取りパッドを使用する。
  2. 2. 膀胱訓練のため、尿意を感じてから10分~20分くらいはトイレに行くのを我慢するよう促す。
  3. 3. 尿道留置カテーテルの使用を提案し、カテーテル挿入後はキャップ管理とし、小まめに排尿するよう促す。
  4. 4. 尿道留置カテーテルの使用を提案し、カテーテル挿入後は、レッグバッグやウロバッグを併用して、なるべく膀胱内に貯留させずに管理するよう促す。

挑戦者3123人 正解率29%

この患者さんは、抗コリン薬を試した上での膀胱内圧測定で、畜尿機能が50mL程度です。膀胱内圧測定では、正常の場合には、300~500mLは蓄尿することができるはずですので、この患者さんは、膀胱壁の拡張がほとんどできていない状態だといえます。このような蓄尿機能の低下の原因としては、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)や、放射線治療の晩期合併症である「萎縮膀胱」であることが考えられます。萎縮膀胱は、膀胱の筋層が収縮し、容量が減少する状態のことをいいます。症状である切迫感やいきみ感は、QOLを損なうため、症状コントロールが必要とされます。また、萎縮膀胱は難治性のため、蓄尿機能を改善させるためには、外科的治療が必要となります。

1. 切迫感や尿漏れに備えて、500mL吸収の尿取りパッドを使用する。
不正解

この患者さんは、膀胱畜尿量は50mL程度であるため、500mL吸収の尿取りパッドは大き過ぎます。また、不必要に吸収量の大きい尿取りパッドを使用することは、オムツ内の皮膚の浸軟(ふやけ)を助長したり、体動を妨げたりする要因となります。よって、この選択肢は誤りとなります。

2. 膀胱訓練のため、尿意を感じてから10分~20分くらいはトイレに行くのを我慢するよう促す。
不正解

萎縮膀胱の患者さんへの対症療法としては、外科的治療が必要となり、選択肢のような膀胱訓練による畜尿量の増加は期待できません。よって、この選択肢は誤りとなります。

3. 尿道留置カテーテルの使用を提案し、カテーテル挿入後はキャップ管理とし、小まめに排尿するよう促す。
不正解

患者さんの訴えにもあるように、膀胱に蓄尿されるといきみ感が生じるので、カテーテルは、キャップ管理ではなく、なるべく尿を膀胱内に貯留させないよう、ウロバッグにドレナージ(排出)する管理が望ましいです。よって、この選択肢は誤りとなります。

4. 尿道留置カテーテルの使用を提案し、カテーテル挿入後は、レッグバッグやウロバッグを併用して、なるべく膀胱内に貯留させずに管理するよう促す。
正解

萎縮膀胱の患者さんは、極端に膀胱容量が少ないため、膀胱内になるべく尿を貯留させないよう、カテーテルをウロバッグにドレナージ(排出)する、選択肢のような管理が望ましいです。また、在宅の患者さんですので、排尿管理によりQOLが低下することがないよう、レッグバッグなどを紹介することが必要です。なお、カテーテル管理開始時は、違和感が生じることもあるので、鎮痛薬でのコントロールも必要です。
萎縮膀胱は、切迫感やいきみ感のような症状があります。また、不可逆的な(元には戻らないような)症状であり、患者さんの苦痛コントロールのために医療者の介入が必要です。これらの内容について、本人へ改めて説明し、膀胱留置カテーテルによる排尿管理を試す必要があると考えられます。

引用参考文献など

1)小島美保ほか.西村かおる監.3 膀胱がんによる排尿障害.ケースで納得!排尿障害のケア 病棟・外来編.ウロ・ナーシング2003年夏季増刊,2003,70-93.

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