2017/11/18 のクイズ
78歳女性、持続する発熱と下腹部から臀部回りの痛みを訴え、老健施設より救急搬送にて来院しました。肋骨脊柱角叩打痛もあり、尿路感染症の診断で入院となりました。尿の培養は104CFU/mLであり、検鏡にてブドウ球菌様のGPCが認められ、3日後にブドウ球菌と確定しました。当初から抗菌薬としてVCMが開始とされていました。1週間以上抗菌薬を投与してもなかなか発熱も痛みも治まらず、腹部CTを撮影したところ、腸腰筋膿瘍であることが判明し、血液培養からはMRSAが検出され、臓器移行性も考えて抗菌薬をLZDに変更されました。解熱と炎症所見の改善がありましたが、投与2週間目に白血球と血小板が減少、また貧血傾向になりました。次のうち最も考えられることと行うべきことはどれでしょうか?
- 1. 白血球や血小板減少は、抗菌薬による骨髄抑制が原因と考えられるため、再度、VCMに変更するなど、他剤へ変更することを検討する。
- 2. 貧血傾向は、抗菌薬投与による腎機能障害から来る、腎性貧血であるため、医師と相談し、腎性貧血の治療を実施してもらう。
- 3. LZDは臓器移行性が最も良いため、白血球減少や血小板減少、貧血に対し治療を行いながら使い続ける。
- 4. 解熱と炎症所見も改善していることから、抗菌薬を中止とし経過を見る。
挑戦者3391人 正解率19%
- 1. 白血球や血小板減少は、抗菌薬による骨髄抑制が原因と考えられるため、再度、VCMに変更するなど、他剤へ変更することを検討する。
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正解
LZDの副作用として骨髄抑制があるため、投与時は毎週、血液検査を行い、骨髄抑制の兆候をモニタリングする必要があります。腸腰筋膿瘍などの深部における感染症の場合、最低でも4~6週間は抗菌薬を投与しなければなりません。
VCMに変更後は、腎機能悪化をさせないように、VCM血中濃度を測定し、VCM投与計画を薬剤師に立ててもらいます。カルテに記載すると470点の特定薬剤管理料も算定できます。 - 2. 貧血傾向は、抗菌薬投与による腎機能障害から来る、腎性貧血であるため、医師と相談し、腎性貧血の治療を実施してもらう。
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不正解
腎性貧血は慢性腎不全において長期経過で出現する貧血なので、急激な血球減少は生じにくく、LZD投与による腎性貧血とは考えにくいです。そのため、腎性貧血の治療は行う必要はありません。
- 3. LZDは臓器移行性が最も良いため、白血球減少や血小板減少、貧血に対し治療を行いながら使い続ける。
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不正解
LZD投与2週間前後から顕著に骨髄抑制が併発するとされています。投与を中止すると数日で白血球や血小板は回復することが分かっています。薬剤が原因の病態なので、まず薬剤を中止することが優先です。
- 4. 解熱と炎症所見も改善していることから、抗菌薬を中止とし経過を見る。
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不正解
解熱、炎症所見だけで改善していると判断するのは危険です。腸腰筋膿瘍など軟部組織膿瘍は容易には原因菌は消滅しません。長期間の抗菌薬投与が必須です。
引用参考文献など
1)安武夫著.カラー写真でよくわかる薬剤師のためのリスクマネジメント実践マニュアル.羊土社,2010,p199.
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