2017/11/15 のクイズ

あなたは今日、3日前に右肺全摘術を受けた75歳男性患者さんの担当です。離床はトラブルなく早期に行うことができ、術後2日目にはベッド周囲のADLは自立できています(個室内にトイレあり)。鎮痛薬を毎食後に内服していますが、コントロールは不十分な状態です。術後に右反回神経麻痺の診断を受け、飲水は誤嚥するために禁止となり、嚥下食を摂取しています。労作による呼吸困難感を訴え、自室から出ようとしません。担当看護師の対応として最も適切なものは次のうちどれでしょうか?
  1. 1. 息切れがあっても徐々に軽減していくため、可能な限り歩くことを促した。
  2. 2. 誤嚥を懸念して、座位でゆっくりよく噛んで食べるように指導した。
  3. 3. アイスマッサージの看護プランを立案した。
  4. 4. 息切れが生じないように、歩行速度や呼吸法、活動範囲の指導を行った。

挑戦者4022人 正解率69%

1. 息切れがあっても徐々に軽減していくため、可能な限り歩くことを促した。
不正解

術後早期から息切れが生じてしまうほどの労作は、過度の運動負荷になっている可能性があります。片肺を全摘していますので、運動耐容能は低下しているはずです。脈拍数や呼吸回数が、安静時からどのくらい変化しているかを評価することで、過負荷になることを予防できます。
なお、どのくらいの運動負荷が適切かを把握するために、目標心拍数が計算できるKarvonen法があります。
目標心拍数:{(220-年齢)-安静時心拍数}×運動強度+安静時心拍数
運動強度は40〜80%で設定します1)。特に急性期では病態の変化が著しいので、患者個々の身体予備力や病態によって運動強度を設定していく必要があります。目安として、目標心拍数を「安静時心拍数+20」とすると安全です。たとえば、年齢が75歳で安静時の心拍数が80だった場合、「目標心拍数={(220-75)-80}×X+80」、運動強度を40%とすると、目標心拍数が106となります。

2. 誤嚥を懸念して、座位でゆっくりよく噛んで食べるように指導した。
不正解

「ゆっくりよく噛んで」といっても、患者は日ごろの生活習慣からなかなか実践できるものではありません。この症例における嚥下障害の原因は反回神経麻痺です。短期間で麻痺自体の改善は望めないので、機能を代償するために嚥下リハビリテーションが必要です。実際の食事では、右反回神経麻痺なので「右回旋嚥下(顎を引きながら右肩を見る姿勢での嚥下)」を行うと、麻痺側を圧迫し、食物が麻痺のない左側を通過するので誤嚥の予防につながります。

3. アイスマッサージの看護プランを立案した。
不正解

アイスマッサージは、口腔内の知覚に刺激を与え、嚥下反射を回復させるアプローチの一つとされています。しかし、その効果に対するエビデンスは高いものではありません。摂食・嚥下障害看護認定看護師や言語聴覚士などの専門職種のアセスメントにより介入を検討する必要があります。また、この症例では反回神経麻痺が嚥下障害の原因です。嚥下反射に問題はないと考えますので、不適切な介入となります。

4. 息切れが生じないように、歩行速度や呼吸法、活動範囲の指導を行った。
正解

正しい記述です。歩行速度や歩行時の呼吸方法で息切れは軽減します。歩行速度を落とし、呼気を意識させて動作時に息を吐くこと(4〜6歩で呼気をする)で息切れの自覚症状や脈拍の上昇、酸素化の低下が改善すると考えます。これが、退院後の日常生活動作にもつながります。

引用参考文献など

1)日本呼吸ケア・リハビリテーション学会、日本呼吸器学会、日本リハビリテーション医学会、日本理学療法士協会編.安定期における運動療法の実際.呼吸リハビリテーションマニュアル:運動療法.第2版,照林社,2012,p46.

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